ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

恩師との想い出


植松さんからバトンを受け取りました、東京の加藤クリです。
お子さんの「出来ないところ」に注目するのではなく、得意なところ・できるところに焦点を当てるお話。
本当にそうだなぁ、もし自分が評価される立場だったら?
得意分野を認めてもらえると、嬉しくてパワーが湧いてくるんじゃないかな?なんて、想像しました。

「得意分野を認めてくれた大人」として思い出すのは、高校時代1年と3年で担任だった恩師・A先生です。
A先生は会社員から転職した男性英語教師で、ムスッとした表情のスパルタ教育者・・・そんな第一印象でした。

授業中、予習せずに当てられても答えられないと「はい、100回書き取り!」容赦なく課題が出されます。
復習を怠って書き取りテストの点が悲惨な生徒にも「はい、100回書き取り!」やはり課題が与えられます。

中学以来「英語落ちこぼれ」だった私は、この「100回書き取り」の常連でした。
そればかりか、ある時100回書き取ってる途中で手持ちのレポート用紙を使いきった私は
「あぁ、無くなったから帰ろう」
そう勝手に決め、提出を待っていたであろうA先生に何も告げず帰宅してしまいました!
今思えば、ヒドい生徒です。

翌日、職員室に呼び出され「未提出で帰った理由」を尋ねられたので正直に答えると、職員室での正座を言い渡されました。
珍しくて、ニコニコしながら職員室の中を見回していたらA先生は呆れた様子で
「おい、カトウ。反省する為に座らせてるんだぞ、ニコニコしてないで目をつぶって反省しろ、反省」
「はーい」

当時の私は授業中「ノートを取るフリをして先生方の似顔絵を研究する」という事をよくやっていました。
そうして完成した先生方の様々な風刺似顔絵を、教室一番後ろの壁にガビョウで貼っておきます。
すると、クラスメイトが休み時間に「おーーー!!」とウケてくれる。密かな楽しみでした。
授業中、先生方は教壇に立っているので後ろの壁に貼られた小さな紙なぞ目に入りません。

ある日、A先生の英語の授業でテストがありました。A先生が読み上げる日本文を、紙に英語で書き取るテストです。
カンニング防止の為もあってか、A先生は生徒の間を歩き回りながら問題を読み上げます。
一番後ろまで行ったA先生の動きが、しばし止まった気配がありました。そして、前まで戻って来たA先生の手には白い紙切れがありました。

最前列の女の子に、その紙切れを見せながら話しかけます。
「これ、誰が描いたの?」
「カトウさんです」
私は心の中で叫びました、「知りませんって言えーーー!!」と。

A先生に没収されてしまった作品はそれまでで一番の大作で、「反省会の図」というタイトルでした。
似顔絵として完成していた全ての先生が登場する飲み会の一場面(もちろん想像)で、泣きながらマイクで熱唱する先生や部屋の隅で1人インテリっぽく赤ワインをたしなむ先生、ヘビの様に舌を伸ばして隣の先生に絡む先生、そしてややメタボなA先生は「ドクターストップ中でしてね」と隣の先生からのお酌を断ってます。

あああああ、今まで隠れて楽しんできた事がバレてしまったー!
これからどうしたものか?と思っていると、その日から色々な先生に声をかけられる様になりました。
「カトウ、見たぞ」と、ヘビの様に舌を伸ばした様子を描いてしまった社会科の女の先生。
「カトウ、もう僕はカラオケで歌えなくなっちゃったよ」とはにかみ笑いを浮かべる物理の先生。
A先生は、あの「反省会の図」を職員室で回覧していたのです。

似顔絵の一件からしばらくして週番が回って来たので、週番日誌を書いて担任のA先生に提出しました。
するとコメント欄に「カトウは、絵も描く様に!!」と、赤ペンで書かれてました。

英語では毎回ヒドい回答やヒドいテストの結果を放っていた私の、「似顔絵を描く」という特技をA先生は認めてくれたのだなと、嬉しくなった気持ちを今でも忘れません。
翌日から週末まで、毎日描きました!「A先生一家」と題して、A先生の顔に髪型だけ変えて奥さん、息子さん、お嬢ちゃんの顔、とか・・・その他色々。

スパルタではあったけれど愛情深くもあったA先生のお陰でその後、ミラクルが起きました。
3年生になる頃には、7クラスあった学年で私の英語の成績がナンと!!学年5位以内に入る様になっていたのです。
A先生が、成績や生活態度で生徒を判断するのではなく「良い面」「得意なこと」にフォーカスしてくれたことで、私が「英語好きになる」という化学反応が起きたのではないでしょうか。

その後もA先生とは年賀状を欠かさず、先生が伊豆諸島の新島高校赴任中には友人たちと島まで遊びに行きました。実に、高校卒業以来12年ぶりの再会。楽しかった〜!!

さてお次は新潟の櫻井さん、バトンをお渡しします! どんなお話しが伺えるか、楽しみです♪

東京都/加藤クリ 





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