ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

見上げてごらん 夜の星を


埼玉の田中です。
今冬のインフルエンザ猛威、受験生がいる我が家も気が気じゃなく、ピリピリして過ごしてます。長野さん家族の温かい思いやり、なによりのお薬でしたね。こちらまで心が温かくなりました。

ある時ラジオから聞こえてきた、
故 坂本九さんの曲、
『見上げてごらん 夜の星を』

私の故郷への思いと両親への思いが交錯して、イントロから涙目になってしまう曲です。

私は福島の出身です。ふるさとは絵に描いたような何にもない田舎町で、隣近所は数百メートル先、街灯もなく、夜は家の灯りがぽつ、ぽつっと見える以外は真っ暗闇となってしまうような山あいに実家があります。実家は当時風呂場が外にあり、風呂上がりに空を見上げれば、濃紺の空に大小無数の星たちが散らばっていて、その瞬きを見つめていると自身が暗闇に吸い込まれるようで怖くなり、母屋の柔らかい白熱灯の光にホッとしながら家に入ったものでした。

地元中学では高校受験のために転校していった同級生がいました。羨ましさと見えない格差みたいなものを感じて、田舎は嫌だなあ〜もっと都会にうまれたかったなあ〜と思った思春期でしたが、進学・就職でふるさとを離れた20代は、盆暮れ正月は必ず帰省して日常の息苦しさから解放され、自然に癒やされて充電完了! 両親以上に私自身が帰省を心待ちにするようになります。

結婚が決まった頃でした。実家の茶の間でテレビの歌番組に見入る父と母の背中を見ながら、思いがけず涙が溢れました。流れていたのはこの曲でした。披露宴で両親への手紙を読む時はこれをBGMにしようと心に決め、伝え切れないたくさんの感謝と、幸せへの誓いをメロディーに乗せました。

子どもが産まれ家族で帰省するようになると、田んぼ野球、用水路で生き物探し、ローカル線に連れ立って乗車したりと、田舎の楽しみ方を主人と息子たちが教えてくれました。
両親も子どもたちがそれぞれに家族を持ち、帰省時には茶の間に座りきれないほど賑やかになる様子に目を細めていました。

ずっとずっと変わらずに
いつまでも続く光景だと思っていました。

今、実家は放射線量の高い帰還困難区域内にあります。帰省はおろか、家の前に立つのさえも簡単ではなくなりました。人の住んでいない家の荒れ朽ちるスピードは早く、歯痒いばかりです。
戻りたくても戻れない、帰りたくても帰れない…それが、受け入れなければならない現実です。

ラジオから流れる『見上げてごらん 夜の星を』を涙が溢れるままに口ずさみます。
いつかまた、あの真っ暗闇の満天の星空を見上げることが出来たら。両親と家族揃って賑やかに茶の間で過ごせる日が来ることが出来たなら。これからも私は、私のささやかな幸せを、星たちに祈り続けていきます。

また春が巡ってきます。今日は母の、明日は父の誕生日です。元気でいてくれることへの感謝を伝えたいと思います。

次は森屋さんですね。冬から春へ、バトンパスも軽やかに参りましょうね。

埼玉県/田中揚子









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