ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

息子と居酒屋


森屋さんから襷をもらった櫻井です。森屋さんのお話を読みながら
私も、我が家の息子達が野球を通して自己と向き合ったあの頃を思い出しました。

放課後暗くなるまでボールを追いかけていた彼らは、すでに親元から独立し東京で暮らしています。
先日仕事で上京した折、初めて息子二人と居酒屋に行くことになりました。アパートで一緒に
缶ビールを飲んだことはあっても、居酒屋で飲むのは初めてで、私は少しウキウキしていました。

小部屋に通され、「何たのむ?」と長男。タッチパネルでピッ!ピッ!とメニューを選択すると届くシステムにまず目を丸くする私。やがて飲み物と料理がそろい宴が始まりました。
最近どう?から始まり、やがて次男が今向き合っている問題を語り始めました。
言葉を選びながらぽつぽつと、でもしっかりと自分の思いを表現していく次男。それに対して長男は自分の経験を踏まえ、自分なりの考えを伝えていきます。私は言葉をはさむ余地もなく、じっくり話し合う二人を見ていました。

私は兄弟で助け合って生きていけるように、その素地を彼らが幼い頃から育ててきました。
例えば、贔屓をしないこと、兄だから弟だからを理由に行動を制限しないことなど。
中でも心がけた事は、お互いの思いを私が言葉にしてそれぞれに伝えたことです。
兄には、弟があなたのことをどれだけ慕い頼りにしているのかを。
弟には、兄があなたのことをどれだけ大切に思いかわいがっているのかを。
「○○がいなくて、兄ちゃんすごく寂しそうだったよ!」と、弟に伝え、
兄には、「○○って、ママが一緒の時より、兄ちゃんが一緒の方が嬉しそうなのよ!」
とわかりやすく具体的に。
それが功を奏したのか分かりませんが、兄は幼い弟を思いやり、弟は兄の言うことに一目置きながら成長
していきました。

彼らが自分の言葉を持つようになってからは、親子で「思いを伝え合うこと」を大切にしてきました。
彼らが思っていること、感じていることにまず「共感」することを心がけました。
共感することは同意することではありません。賛成することでもなく、ただ受け入れ聴くことです。
子どもは親に理解してもらえた安心感を感じます。そこに親子の信頼関係が生まれます。
自分を言葉で表現することは、社会生活に必要不可欠であり、まわりに左右されない心の軸は自分を語ることで構築されます。
私自身が親に自分の気持ちを言えず苦しい思いをした体験があるため、余計に、我子には思っていることを伝えてほしいと思ったのです。また、共感しながら丁寧に話を聞くことで、子どももまた、こちらの話に耳を傾けてくれました。
子どもと気持ちよくお互いの思いを伝え合えた時間は、私にとって子育て中の一番の宝物です。

居酒屋での二人は、お互いの思いに共感し語り合い、信頼関係がしっかり結ばれている様子でした。
(親がいなくなっても、ふたりで助け合って生きていける!)と、50歳半ばで体力落ち気味の母はホッと
胸をなでおろしました。
息子達との居酒屋タイムを楽しんでいるうちに、あっという間に夜も更け、乾杯から4時間がたとうとしていました。「おお〜銭湯が閉まってしまう!」の次男の掛け声でお開きとなり、この後ジムへ行く長男と別れ、私と次男は銭湯へダッシュしました。
家族みんなそれぞれの人生を歩みながら、大事な時は助け合う。離れていても心はひとつを実感した居酒屋の夜でした。

お次は、千葉の藤野さんへ襷をつなぎます。ふぁいと!!

新潟県/櫻井美奈子 





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