新宿区教育委員会主催/新宿区小学校入学前プログラム新宿区教育委員会主催/新宿区小学校入学前プログラム

東京都新宿区小学校入学前プログラム 
「ともだち たくさん つくろうよ」

《プログラムの歩み》

「ともだちたくさんつくろうよ」は、新宿区教育委員会が主催する、新入学児童およびその保護者に向けたプログラムです。入学する子どもたち同士、そして保護者同士が親睦を深めることで、親も子も安心して入学を迎えられるようにというコンセプトのもと、2005年に四谷第六小学校で始まりました。2006年度は東京都教育委員会の生活習慣確立プロジェクトの一環としての意味合いも加わって実施校が9校に増え、その翌年2007年度から現在至るまで、同区のすべての公立小学校で実施されています。

《プログラムの概要》

プログラムは各小学校の入学準備行事の日程に合わせて実施され、保護者を対象としたプログラムと、子どもを対象としたプログラムが同時に進行します。

ハーフルコミュニケーションはこのプログラムがスタートトして以来、2020年まで保護者プログラムを担当しました。

  

《保護者プログラムの様子》

教育委員会、各小学校、地域サポーター、子どもプログラム担当者、託児担当者、そして私たち保護者プログラム担当者がひとつとなって作り上げるこのプログラム、「ともだちたくさんつくろうよ」。そこにさらに保護者の方々の子どもたちへの思いが重なることで、入学後も切れることのないつながりが生まれます。また、普段はなかなかこのような講座に足を運ぶことのない方々にご参加いただけるのも、学校行事と同時開催している新宿区の取り組みの大きな特徴です。

◇ 保護者同士のつながりが生まれる ◇

うなずきながら、レクチャーの内容をメモに取る参加者。グループワークで話し合う時間も熱のこもったものとなり、レクチャーで学んだ子どもとのかかわり方をヒントに、日々の子育てでひとりひとりが感じていたこと、考えていたことを分かち合い、力づけ合う姿があります。

保護者プログラムを終えて親子で合流した際には、子どもプログラムでたっぷり遊んだ子どもたちの笑顔とエネルギーに触れて、参加者の皆さんはいっそう安心した様子になります。閉会後も子どもたちが遊ぶなか、親同士で話に花を咲かせる姿も見かけられます。

参加者アンケートには、「参加するのをためらっていましたが、来てみたら気軽に話せました。顔見知りにもなれ、子育てに悩む同世代の親と時間が共有できて良かったです」という声も寄せられています。

◇ 自立を促すためのスモールステップを見つける ◇

2007年以降、毎年開催されていることで、参加者から「上の子の時にも来ました」と声をかけていただくことがあります。あるお母さんは、「改めて今回の子どものことを思って聞くと新鮮でした! 下の子にはついつい手を出しすぎちゃってます。少しずつ子どもに任せていくって大切ですね」とコメントされていました。また、お父さんの参加も年々増える傾向にあり、「親子だけではなく、会社の上司と部下の関係も同じだなと思って聞いていました」といった感想を届けてくださることもあります。

2回目の講座は、顔見知りになった保護者同士の会話がすでに起こっているなか、和やかな雰囲気で始まります。「入学までにちゃんとしなくちゃと子どもにダメ出しばかりしていたけれど、講座を受けて、子どもができたときに『脱いだ靴、きれいに揃えたね〜!』って声をかけてみたんです。そしたら、子どもがすごくうれしそうで、それからは、靴を揃えるようになりました。あっ、もちろん忘れちゃうこともあるんですけどね!」といった参加者からの発言に会場がさらになごみます。このように2回目は、初回の学びと体験を土台に、子どもの自主的な行動をさらに引き出すために、親として今すぐできることは何かを話し合い、子育てのヒントを見つける時間となります。

実施した小学校からは、入学式でも保護者同士が積極的にコミュニケーションを取り合っていた、準備や片付け等の手伝いに率先して参加していたなど、親の姿勢に変化が見られたこと、 そして、子どもたちも落ち着いた態度で式を終えることができたとのうれしい報告を受けています。

《プログラムの発展》

◇ 他地域への拡がり ◇

新宿区での取り組みは他の地域の教育機関や教育関係者からも注目を集めています。
毎年のように自治体からプログラムの視察があり、2013年からは大田区教育委員会および新潟県燕市教育委員会でも同様の取り組みが始まり、ハートフルコミュニケーションが保護者対象の講座を担当しています。
また、2008年の江東区深川小学校に始まり、現在に至るまで、全国各地の小学校、幼稚園などの主催による講座も実施されています。

◇ 入学”後”プログラムの実施 ◇

「入学前プログラムを受講した保護者たちの入学”後”のサポートを」というご要望のもと、入学“後”プログラムを2008年度より新宿区で、2015年より大田区で実施しています。入学前プログラムでの学びを振り返った後、入学後の子どもたちに起きていることや保護者が感じていることを、グループで話し合い、分かち合います。入学後の「今」の課題をテーマに、より一層具体的な話し合いが持つことで、新たな気づきや具体的ヒントを得ることも多く、参加者の親睦と学び合い支え合う関係が深まる貴重な時間となっています。