活動記録

プログラム当日の様子や概要などをハートフルコーチがお伝えします

第19回ハートフルクラブ



3月30日(土)、第19回ハートフルクラブが開催されました。
今回は、「小さな哲学者たち」というフランスの幼稚園で「哲学」の授業を二年間行ったドキュメンタリー映画の上映会でした。
「愛とは?」「自由とは?」「豊かさとは?」。先生はいろいろな問いを投げかけ、子どもたちは自分の体験をもとに話していきます。

映画の序盤、先生から子どもたちへこんな問いかけがありました。
「頭で考えていることを相手に知らせるには?」。子どもたちが必至に考えてたどり着いた答え、それは「口に出す」「話す」というものでした。
単純で当たり前すぎることかもしれませんが、自分自身を振り返ってみたとき、自分の考えをうまく相手に伝えられず、誤解を招いたりすることもしばしばだなぁと。序盤からさっそく考えさせられる問答に驚きました。

この幼稚園には様々な人種や民族の子どもたちがいて、先生からの問いかけに対する答えも三者三様、感じ方・捉え方が全く違います。そんななか、こんなおもしろい問答がありました。
先生からの「リーダーって何?」という問いかけに、ある子どもは「敬礼している人」を身ぶり手ぶりで説明し、ある子は「軍人」と答え、またある子は「ひとりで服が着れて、ルノーの車に恋人を乗せるんだ」と、思わず笑ってしまうような答えもありました。
みんなが思い思いのリーダー像を語っていく中で、一人の女の子が「そうじゃないわ・・・」と、一瞬、場が静まります。ひょっとすると、周りの人とは違う自分なりのリーダー像が頭の中をよぎったのかもしれませんが、結局答えは出ませんでした。今でもその答えが何だったのかが気になりますが、いつかそれを自分の言葉で話せるときがくるのかもしれません。

子どもたちへの問いかけは続き、「何でリーダーになりたいの?」と、掘り下げていったとき、思わず息をのむような答えがありました。ある男の子が「ママが言ったから」と答えたのです。
ママが言ったからリーダーになるのかぁ・・・。
普段、子どもたちの身近にいる私たち大人が何気なく口にしている言葉が、子どもの思考や言動をコントロールしているのかと思い、改めてその影響力の大きさに気づかされました。

この「哲学」の授業では、ひとつの問いかけに対して、子どもの数だけ答えがあり、様々な言葉で語られます。子ども自身、自分の体験や考え方が今まで絶対的なものだと信じてきたのに、他者によって別の言葉で語られるとき、「そうじゃないこともあるのか!」と客観的に自分を振り返ることができるのかもしれません。

映画の子どもたちの姿は、実に生き生きとしていました。考え方や感じ方は全く違うのに、他の子どもが語っているときにはみんな素直に耳を傾けます。
一部では「今の日本人は考える力を失っている」と言われていますが、私たちにとって「考える力」とは何なのか。この映画からはそんな問いかけが聞こえてきそうです。
上映会の後は、参加者同士がグループに分かれてミニセッションを行いました。この映画で感じたこと、考えたこと等をみんなでシェアし合いました。

私がこのセッションでシェアしたことは3〜5歳の子どもたちの語彙力の高さを感じたことでした。その中のひとつに「うぬぼれ」と翻訳されている対話のシーンが印象的で、この年齢にしてこの語彙力。言葉を知っているということは物事を考える上でとても大切なんだなぁと改めて感じました。

堀 善雅




※ 次回のハートフルクラブは7月27日(土)に実施します。
テーマは、「いざというときのために〜親子で学ぶ地震対策ワークショップ〜」です。
詳しくはこちらのページをごらんください。
http://www.heartful-com.org/html/02_10.html
2013年04月06日(土) No.57 (ハートフルクラブ)

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