活動記録

プログラム当日の様子や概要などをハートフルコーチがお伝えします

第23回ハートフルクラブ


7月25日(土)に世田谷区内において、第23回ハートフルクラブが開催されました。

「ひとりで悩まないで〜どの子も心豊かに過ごすために私たち親にできること〜」と題して、高知大学 准教授 加藤誠之さんにお話をいただきました。

加藤さんは、少年院教官、保護観察官などを務め、現在は哲学的な人間学に基づいて非行や不登校について研究されています。

子どもたちが思春期にさしかかると、彼らには「変化」が訪れます。それは時に私たち親が戸惑うほど、荒れているように見えることがあります。
加藤さんは「非行と不登校はコインの裏表のよう」と表現されましたが、私は、今回のお話を伺うまで、「非行少年は凶悪で怖い子どもたち」という勝手な思い込みがありました。でも、現場で何年も彼らと接している加藤さんのお話を聞いた後は暴走族の総長に尊敬の念さえ感じるほどになってしまいました。

総長はメンバー2000人超の中から選挙で選ばれ、少しでもだらしないところや、性格に問題があると絶対になれないそう。仲間から信頼されている証こそが総長の座なのですね。

非行少年たちの受け皿になることの多い「 暴走族という名の 学校へ行けない子どもたちのための生活協同組合」は、自分たちの組織内に教育力を持ち合わせているおかげで、みんな18〜20歳くらいまでには非行から卒業するんだそうです。
非行に走る原因については、中学時代にスポーツが得意だった子が意気揚々とスポーツ名門校に入ったはいいものの、いったん挫折すると、もうそこに彼らの居場所はなくなるために学校へ行かなくなり、非行少年の道へ…という経緯が一番多いとのこと。
(いわゆる貧困家庭や劣悪な家庭環境が起因する例は意外に少ない)
思春期は、湧き出でるエネルギーをきちんと消化・発散させる必要があるということですよね。

一方不登校は、そのエネルギーの発散を遊びという形で体験していない子に多いようです。
「いい子」を演じ、自分の殻に閉じこもり、人との接触を避けるので、それらが「思春期の積み残し」として、大人になってからそのツケを払わざるを得ない結果になるとのこと。

いま大学2年生の息子は中学時代に不登校だった時があります。
たしかに、今思えば、親(私)が敷いたレールの上を歩くように要求され、弱音を吐くことも許されなかったわけですから、遊ぶひまなんてなかったはずです。
もっと遊びを体験させてやればよかった…と、講演後に沈み込んでいた私ですが、そのことを参加者に話すと、「お母さん自身は遊び上手だったの?」と問われ、ここでまた気付いた私。
そうか、私自身がまじめなタイプで、遊び下手だよね…と。
子どもの頃もそうでしたし、大人になった今も、ハメを外すことが苦手。
なんとも、息子に申し訳ない気持ちになりましたが、彼は今、サークルに、バイトに、サバイバルゲーム(エアソフトガンを使用した大人の戦争ごっこ)に、と、遊びに夢中なので、当時の積み残しのリベンジをしているのかもしれません。

非行少年が活発に非行を行う期間は意外に短く、16歳以降は二度と逮捕されない程度に立ち直るそうですし、中学3年の時に不登校だった子が5年後も「働いていない・学校に行っていない・専業主婦でない」という状態なのは25%に過ぎないそうです。
私たち親に出来ることは、非行も不登校も「成長の一過程である」と余裕を持ち、彼らはいままさに「自立する力をつけている真っ最中」と見守ることなんですね。

息子の部屋に日々増えていくサバイバルゲームグッズに、なんともモヤモヤしていた私でしたが、今日のお話を聞いたことで、余裕をもって見られるようになりました。

思い起こせば私にもあった思春期。人様には秘密にしておきたいことも…ありました。
でも、いまこうやって立派な(?)大人になっています。
現在16歳の娘は高校生になったとたんによそよそしくなりました。いまは寂しい思いをしている母ですが、10年後、娘から「信じて見守っていてくれてありがとう」って言ってもらえるよう、明日も陰からこっそり見守りたいと思います。

林田眞美




2014年07月28日(月) No.93 (ハートフルクラブ)

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