活動記録

プログラム当日の様子や概要などをハートフルコーチがお伝えします

第49回 ハートフルクラブ


11月23日(水・祝)10時〜12時に、遊びの現場で子どもたちのさまざまな声を社会に届ける仕事をしている神林俊一(かんぺー)さんをお招きして、ハートフルクラブ「子どもの声を聴く」@ZOOMを開催しました。

かんぺーさんは、いじめ・不登校の最中、世田谷区の冒険遊び場に出会い、今では、外遊びスペシャリストとして国内だけでなくイギリスやフィリピンなどでも幅広い活動をなさっています。東日本大震災以後は、東北にも拠点を置き、大人と子どもをつなぐ役割を果たしながら、子どもを中心としたまちづくり・遊び場づくりをしています。講座では、ワークもまじえて、今の子どもだちが置かれている遊びの現場を臨場感を持ってお伝えいただく内容となりました。

まず、はじめのワークは「子どもの頃、どんなあそびをしていたか」という質問でした。
4,5人のチームに分かれて自分の子ども時代の遊びの話に花がさきました。「家の前の道路で、どろけいや缶蹴りをした」「友達の住所を見つける」「学校帰りにそのまま遊べた」「草をむしって、草ごとに違うあそびをした」「暗くなるまでずっと靴飛ばしをした」などなど、夢中になって遊んでいた皆さんの様子に思わず笑いが生まれました。

次は、「あそびって食べ物や飲み物に例えるとどんなもの?」という質問。
「ごはんのような主食」「うきうきするデザート」「未知の食べ物」「おもわず没頭するから毛ガニ」など、それぞれユニークな回答がたくさんありました。選んだものも理由もそれぞれみなさんバラバラです。「あそびは必要」とよく言われますが、その「あそび」の前提はそれぞれまったく違うことがわかりました。
私たちの子どもの頃、遊びは水やご飯のようにいつでもそこにあるものであったけれど、今は、デザートやケーキのようにお金がかかって「ご褒美」となっている傾向にあるようです。
今の子どもたちの遊びを語るとき、「サンマ(三間:時間・空間・仲間)」がない、「自由に生み出す遊び」から「消費する遊び」への変化が言われているそうです。

でも、子どもたちは、自由に遊ぶなかでSOSの声を出している時がある、とかんぺーさんはおっしゃいます。子どもたちが遊びの現場でどんな声を発しているのか、被災地支援の現場をまじえてご紹介いただきました。

かんぺーさんは、被災地だから支援が必要なわけではない、とおっしゃいます。被災地は分かりやすく子どもの課題が浮き彫りになるけれど、本当に大変なのは、表面化されない子どもたちの心のあやうさかもしれない、ともおっしゃっていました。
現在、日本は子どもの自殺者数が世界と比較して高くなっています。自由に遊ぶなかで、ふともらす子どもたちの言葉を聞くにつけ、遊びたいというときに遊べる場所を保障して、遊びたいと思ったときに「あそこがあるよね」という環境をつくりたいとおっしゃっていました。自分たちが自由に遊んでいた子ども時代を思い出した後だからこそ、これらのお話は今の子どもたちの心の叫びを感じる時間となりました。

私が印象に残ったことは、「子どもにとって遊びとは生きること」という言葉です。そして、子どもは今も昔も変わらないということ。被災地であっても、コロナ下であっても、子どもは子どもです。被災地の大人とのやりとりは、コロナ下の私たちにも通じるものがありました。「避難所で子どもたちがおとなしくしているのは『良い子』と思っていたが、本来うるさいはずの子どもたちが、ただ抑圧されて我慢し続けているのかもしれない」ということに受け入れ先の大人が気づいて泣いていた、というお話を聴きました。

マスクをして、友達に触らないように遊んで、黙食をする。子どもたちは、いま、大人の社会に合わせて、こんなことまでできてしまっている。そこには、表面からは分からないたくさんのメッセージが隠されているのかもしれません。子どもの声を聴くということは、子どもの声なき声に気づく力ともいえそうです。
「子どもたちは、子どもなりに、起きたことに対して乗り越えていこという力を持っている」というかんぺーさんの言葉は、大人である私自身を鼓舞する言葉ともなりました。
最後に代表の菅原が「やることをやってから遊びなさい! といろいろな方から聞く、でも、もしかしたら、遊んでから宿題やったら? に変えても良いくらい、遊びが大切だと思った」と言ったことが印象的でした。

我が子の、そして地域の子どもたちの「あそぼう!」という誘いの言葉にこたえていける余裕をもちたいものです。でも、それがどんなに難しいことか実感する毎日なので、まずは仲間づくりからはじめようかな!
かんぺーさん、ありがとうございました!

ハートフルコーチ・岡田陽子



2022年12月09日(金) No.289 (ハートフルクラブ)

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