第58回 ハートフルクラブ
2025年11月30日(日)、ハートフルコミュニケーション・チームG主催の「ハートフルクラブ」を、東京・新宿区で開催しました。
対面での実施はコロナ禍以降久しぶりとなりましたが、今回は金沢・大阪・大分の3会場ともオンラインでつなぎ、子どもたちを含む10グループ、対面42名、オンライン25名の計67名が参加するハイブリッド形式での開催でした。
テーマは
「子育てのこんな場面 あなたならYESですか? NOですか?
〜クロスロードゲームで子育てを考える〜」。
クロスロードゲームは、もともと阪神・淡路大震災の経験を踏まえて考案されたゲームです。限られた情報と時間の中で判断を迫られる状況を疑似体験し、正解のない問いにYes/Noで答え、その理由を話し合うことで、多様な視点や価値観への理解を深めます。防災における事前合意形成や、いざという時の判断力・思考力を養うことを目的として開発されました。
ハートフルコミュニケーションでは、この仕組みを応用し、子どもとの関わり方をテーマにした「ハートフル版」として再設計し、活動に取り入れています。
ゲームの進め方はとてもシンプル。でも、奥深さがあります。提示された問いに対し、参加者はYesかNoのカードを裏向きで中央に出し、合図とともに一斉にめくります。その後、それぞれが選択した理由を順に語り合います。グループ内でカードの多数派には座布団を1枚、少数派が1人だけだった場合には、金色の特別な座布団「キンザブ」が与えられます。最終的に、獲得した座布団の枚数が最も多い人が勝者となります。
今回扱った問いは全6問。最初の1問目は災害時の判断に関する問いで、残り5問は子育てに関する問いです。たとえば、ハートフル版の問いの一つに、
「16歳の息子。スマホの位置情報の共有を外したいと言ってきた。あなたは外しますか?」
というものがあります。
YESなら「外す」、NOなら「外さない」。私は参加者としてこの回に参加しましたが、ちょうど息子とのリアルな体験と重なっていたこともあり、カードを出す瞬間まで迷いました。どの問いにおいても、カードが同じでも違っていても各メンバーの理由を聞くたびに「その視点もあったか」と心を揺さぶられました。
東京会場には7つのテーブルが並び、中央には青い手縫いの座布団と金色のキンザブが置かれ、場を温かく彩っていました。オンライン会場の参加者も含め、各テーブルのYes/Noの枚数が報告され、その結果が東京会場のホワイトボードに書き込まれていきます。報告のたびに、会場全体からどよめきが起こりました。
カードを先に出すことで迷いが断ち切られ、言葉がまっすぐに出てくるのも、このゲームの魅力です。同じカードを選んでも理由は人それぞれであり、違うカードでも背景にある願いが重なっていることもあります。どの選択にも、「子どもを自立させたい」「子どもに学ばせたい」といった、子どもを思うやさしさがにじんでいました。まさに、人の数だけ子どもへの願いの形があることを実感しました。
災害時の判断を疑似体験する原版と同様に、子育てもまた瞬時の判断を求められる場面が多くあります。安全な場で「考える・選ぶ・話す」を繰り返すことで、自分の判断の軸が少し太くなっていく感覚がありました。
2時間のプログラムは熱気と笑顔に包まれ、最後は座布団の枚数で勝者が決定。私たちのテーブルからは、全問で座布団を獲得した優勝者が誕生し、大きな拍手が起こりました。
次の問いが出される瞬間が待ち遠しくなる、そんな豊かな時間でした。
今回のクロスロードゲームを通して、子どもとの関わり方に正解は一つではないこと、価値観の違いがあること、そしてそれらを安心して語り合える場があることの大切さを改めて感じました。
ハートフルコミュニケーションでは、こうした「対話から気づきを得る体験」を大切にしながら、今後も子育てや自分育てに役立つ学びの場を広げていきます。
ハートフルコーチ・中野裕美子
2025年12月23日(火)
No.330
(ハートフルクラブ)




