ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

信じて任せる


徳島の濱田です。あっという間に2回目の登板です。

次女が中学生だった頃,ソフトボールの試合を応援していた時,強い口調で彼女に言われたことが忘れられません。
思うようなボールが投げられず,ピッチャーの仕事を果たせていない娘を,叱咤激励するつもりで「もっと声出して」「気持ちしっかりもって・・・」と大きな声を出していた私に,「いくらお母さんが声出しても,試合には出られないだから,ワアワアわめかないで欲しい。私はできる限りの事やっているのだから」。
自分の役割を自覚させようと言ったつもりが,お互いのイライラは募るばかり,試合は散々な結果でした。

私の場合は,中学校教員という立場でも,同じような失敗をくり返してきたように思います。「子どものできてないところを見つけ,できるようにしてあげることが教員・親の仕事」という強い信念のもと,仕事や子育てに情熱を傾けていました。今思い返しても切ないほど・・・。
しかし,熱く応援すればするほど,指導すればするほど,子どもや生徒との距離が開き,自分の思いが空回りするばかり・・・。
そんな,私の心にズドーンと打ち込まれたメッセージが,菅原裕子著『子どもの心のコーチング』の「ひび割れ壺」の項目の後に紹介されているメッセージでした。

私たち一人一人がひび割れ壺なのです。
私たちの仕事は,子どものひびを責めることではありません。
自分のひびを責めることでもありません。
子どものひびのために花の種をまくこと,それこそ親の仕事です。

それまでの私は,子どものひびを見つけては,せっせと上から塗り重ねて,ひびを隠そうとしていたのです。自分のひびを修理することにも,一生懸命でした。
そこで、「子どもは力をもっている」そう自分に言い聞かせて,次のことを心がけました。

まず,黙る。
「私が何とかしてあげる」的態度で生きてきた私にとって,これはなかなか試練でした。余計なことを言いたくなれば,その場を離れることも試しました。

そして,子どもの気持ちや状況を,そのまま一旦受け止めること。
「こうあってほしい」という親の期待は横に置いて,まず,共感を言葉で表す努力をしました。
私の場合,努力と練習がたくさん必要でした。「くやしかったねえ。」と言いながら,ついつい出てくる「もっとがんばれるはずよ」という思いを置いておくのですから・・・子どもたちはぎこちない親の対応に,最初「?」という反応でしたが,練習は少しずつ,成果を現し始めました。

それでも不安や心配がよぎるときには、「大丈夫。大丈夫」と声に出してつぶやき,どうしても,伝えておきたいことは,互いの機嫌の良い時を見つけて,自分の体験と,そこから学んだことを私メッセージで伝えました。落ち着いた口調なら,案外すんなりと伝わるものでした。

こう書いてみると,なかなかうまくいっているように見えますが,日々の生活は,すぐに,完璧に変化するものでなく,時には感情の波にのまれそうにもなります。
しかし,意識するとしないでは大違いです。試合後,ぶつぶつ説教をしなくなった母の変化に気付いた娘は,少しずつ,悩みや思いを話してくれるようになりました。親子の間に,安心して話せる関係ができるようになって,ほんとうに楽になりました。

今夏,大学4年生の次女は,14年間続けてきたソフトボールの最後の試合を迎えます。マウンドに立つ娘を応援するのは,これが最後です。
ひびを責めずに,まいた種がどんな花を咲かせてくれるでしょう。
楽しみにしています。

次は岡山の福田さんです。よろしくお願いします。

徳島県/濱田雅子



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