ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

学校に行きたくない


こんにちは。東京の佐藤です。
ゴールデンウィークですね。皆さん新生活にも慣れはじめて、ホッとひと息つける時でもありますね。
新しい環境に巣立った島さんのお子さんと同じように、我が息子もまだ小学生ですが今春、2年生に進級して、新たな生活にもようやく慣れてきたようです。クラス替えはなかったものの大好きだった担任の先生が男性に変わり、日々叱られないように彼なりに気を張っている様子。さぼりがちだった音読の宿題にもきちんと取り組み、なんとか忘れ物もなく過ごしています。

学校で頑張っているせいか気になるのは、休みが終わる日の夜になると、学校に行きたくないと言うようになったことです。
疲れるし、誰だって行きたくない日もあるだろうと思いつつも、「えー?だって毎日楽しいって言ってたじゃない」と受け流していましたが、それが次第に、毎週日曜の夜に言い出すようになりました。

…やっぱり学校でムリしているのかしら。
心配になって同じ小学校のママ友とランチをした際に、お子さんが学校に行きたくないと言ったりすることがあるか、聞いてみました。すると皆さん驚いて、逆にどうして?と聞かれました。皆さんのお子さんは楽しくてしょうがないようで、行きたくないと言われたことは一度もないとのことでした。
「学校でなんかあったんじゃないの?」
ママ友のひとりにそう言われて、不安がよぎりました。
…まだ2年生なのに、不登校にでもなったら大変!
今度学校に行きたくないと言われら、必ず理由を聞き出そうと思いました。

そして意外にもその日は早く来ました。日曜日の夕方。息子がとても楽しみにしていた映画を見終えて、席を立とうとした時でした。彼は急に泣き出して「明日学校に行きたくない」と訴えてきたのです。
…泣くほど嫌って、いったい何があったのだろうか。
私はいっそう不安になり、この状況をなんとかしなければと焦りに似た気持ちに襲われました。
「せっかく楽しい映画を見終わったばかりなのに、どうしたの?何か学校で嫌なことでもあったの?」
息子は何も答えずに、ただ涙を流すだけでした。
「ねえ、どうしたのよ。何があったのか言ってくれなきゃ、わからないじゃない」

外に出ると日が暮れかけて薄暗くなっていました。街にはネオンが灯り煌びやかで、すれ違う人は皆とても華やかで楽しそうに見えました。そんな中、私たち親子だけが薄闇にのまれていくような気がしました。
「もう暗くなっちゃったね…」
息子がぽつりと言いました。
「そうだね。でもしょうがないよ。映画は夕方の回しか席が空いてなかったんだから。それでもいいって言ったのは誰?」
帰りが遅くなるから、映画は別の日にしようという私の意見を聞かず、見たいと言い張る息子に負けて来てしまったことに、私は後悔していました。
明日は月曜日。朝早いのに、晩ご飯の準備も出来ていない。寝る時間を考えたら、駅に向かう歩みが自然と早くなりました。
「ほら、急ぐよ。明日は早いんだから!」
息子に対して、学校で何かあったとしてもクヨクヨせずに、もっと強くなってほしいと、苛立たしさもこみ上げてきました。また一方で、万が一学校でイジメなどの問題があった場合、親として現実を受け止められるだろうか、という恐れの裏返しだということにも気づいていました。

「なんか寂しい。暗くなっちゃったからかな…」
電車の車窓を流れる薄墨色の景色を眺めながら、息子がつぶやきました。
その言葉に、はっとしました。
…彼はもしかすると学校に行きたくない理由なんてないのかもしれない。単純に休みの日が終わってしまうことが辛く、楽しかった時間が恋しいのだ。
思えば私もそうでした。日曜の夜になると、翌日からはじまる忙しい一週間がたまらなく嫌でした。また厄介なことに、休みが楽しすぎるほどに、月曜の出勤が辛かったことが鮮明によみがえりました。

「ほんとだねえ、寂しいね…」
私はようやく息子の気持ちを受け止めると、彼はまた「明日やだなぁ…」と窓を向いたままつぶやきました。
「明日、やだね」
「学校行きたくないなぁ…」
「学校、行きたくないよね。ママも明日、仕事やだなぁ」
そう言うと、息子は目を見開いて「ママも嫌なの?」と聞いてきました。
「そりゃ嫌だよ。だって、今日がスゴく楽しかったからね!」
息子は黙って私に身体を寄せると手を握り、また外の景色に目を移しました。
車窓に映る彼の表情が、さっきよりも少し和らいだような気がしました。

翌朝、息子はいつも通り元気にランドセルを背負って学校に行きました。
きっと彼は、またこのゴールデンウィーク最後の日の夜に「学校に行きたくない」と言うことでしょう。
その時は私もまた、そっとそのまま「学校に行きたくないよね」と繰り返すことでしょう。

それでは、次回は神奈川の杉本さんです。
楽しい連休をお過ごしですか?

東京都/佐藤英子 





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