ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

温故知新


照子さんからバトンを受けとりました、「栗おこわ」と「栗の渋皮煮」に目のない東京の加藤クリです。
すっかり秋になりましたね。

照子さんや皆さんのリレーブログを拝読しながら、ふと母の若い頃に思いを馳せてみました。
今は飽食の時代と言われますが、80歳の母が子供時代を過ごしたのは戦中戦後の食糧難時代。
そして、私たち子どもを育てていた働き盛りの頃は、古くなって台風が来る度にガタガタ揺れる自宅を建て替えるべく節約の日々。
グルメとか、贅沢とは縁遠い人生を過ごしてきたことと思います。

そんな母がまだ十代だった頃の話ですが、八王子にあった家族経営の薬屋に住み込みで奉公に出されました。
幼くして父親を事故で亡くした母は、既に大事な一家の担い手。朝早くから夜遅くまで、テレビドラマ「おしん」の様に働かされ、毎晩くたくたになって床に着いたとか。

とても厳しいおかみさんの、実家の母上が遊びに来ると、まだ幼かった母のことを孫のように思ったのか、「サツマイモから作られた棒状の飴」をよくくれたそうです。
母はその飴がもったいなくて、親きょうだいに食べさせたくて、大事に大事に新聞紙に包み行李に溜めたとか。
テレビアニメ「アルプスの少女ハイジ」が、歯の悪いお婆さんに食べさせたいからと洋服ダンスに「白いパン」を毎日隠し溜めていたのと、そっくりな事をしていたのだなーって感心します。

案の定、柔らかかった当時の飴は母の里帰りを待たず行李の中ですっかり溶けてしまい、新聞紙や服がベトベトになっていた・・・幼い日の悲しい、だけど微笑ましくもある思い出をよく話してくれます。

私は、母の愚痴や不快なことについての発言を聞かされると、ついつい「強制終了」したくなったり、そそくさと立ち去りたい衝動に駆られますが・・・母の子ども時代から新婚時代にかけての貴重な体験談を聞くのは大好きです!!
そこには、映画やドラマ以上にリアルで興味深い様々な出来事と感情が在ります。
聞いててワクワクするし、「今」を生きる自分たちの世代と照らし合わせて「私たちは、こんなにも恵まれているし贅沢してるんだなぁ」とか「母の時代も、ドキドキハラハラするケド、色んな可能性と急成長の感動があって良かったのだなぁ」とか、物の捉え方・考え方に時間的・時代的な「広がり」を持てる気がします。

既に何度も聞いてるのに楽しいと思う母の思い出話を、是非とも更に若い世代にも聞いてほしいなぁ・・・と思い、つい先日「社会人2年生」の姪っ子が立ち寄った折に私から母に質問をして話してもらいました。

薬屋での奉公の次に働いたのは地元、立川基地。
基地所属のアメリカ兵とその家族の、お手伝いさんやベビーシッターをするに至る経緯、一言も英語を喋れない状態からのスタート、頑張って毎晩自力で学んだ英語や寮での生活のこと・・・・・
冷蔵庫も、洗濯機も、洋式のトイレも、ナイフとフォークも、ピクルスやポテトサラダも、エルビス・プレスリーやジェームス・ディーンも、すべてが「未知との遭遇」でカルチャーショックでビックリすることばかり。
アメリカの子どもたちが、とても懐いて母を大好きになった頃、辞令が出てアメリカへ帰らなければならない一家。大泣きする子どもたちに、つられた母も泣いて別れを惜しんだそう。

姪も、熱心に頷きながら母(姪からすると祖母)の話に聞き入ります。
あー、何か良いなぁ、世代を超えて貴重な「生身の人間」の当時の体験談が語り伝えられていく、この感じ。
きっと昔、大家族だった時代は囲炉裏を囲んで夜なべ仕事しながら、ばあちゃん・じいちゃんが孫やひ孫達に昔話を伝えたり、知恵を授けたりしていたのだろうな。

最近、めっきり物忘れが激しくなって来た母。
今、話したばかりのことをスグ分からなくなって何度も話したり、聞き直したり。
短気になって「ボケてるんだから、しょうがないでしょ!」と怒りだしたり、なんてこともしばしば。

でも、若かりし頃の話を披露してくれる時は、シャキッとして目の輝きが違うように思います。
なかなか家にいる時間を取れない私だけど、母の生きた時代の出来事をしっかり知っておくためにも、姪や甥達にも聴いてもらうためにも、また母の脳を活性化させるためにも、ちょくちょくと質問をしてできるだけ話を聞き出したいと思いました。

温故知新の意味を調べてみたら、「昔のことをたずね求め(=温)て、そこから新しい知識・見解を導くこと」とありました。
今、聞いても新鮮な、興味深い、ワクワクする母の話。また、長野から単身東京へ出てきた父の話も、機会を捉えては聞くことで私の心の財産(=知識・見解等)を増やし、次の世代へとバトンタッチしていけたらいいなぁと思うこの頃です。

それでは、リレーブログ新メンバー・新潟の櫻井美奈子さん!!
バトンをお渡しします♪

東京都/加藤くり 





No. PASS