ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

親の思いを受け取る


こんにちは。新潟の櫻井です。
春爛漫、もうすぐ新学期もスタートしますね。
たくさんの子どもたちに、クリちゃんのように先生からのあたたかい承認がありますように。

4月は始まりの季節ですね。うちの長男も今春から社会人となり、親としてミッション終了です!
お腹に宿った時から今日までの25年間、悩んだこと、嬉しかったこと、2人で大笑いしたことなど、
たくさんの思い出は、心の引き出しに入りきれない程です。
そして社会に無事に送り出すことができた今、深い安堵を感じながら、
これまでの親としての向き合い方に思いをはせてみました。

子どもとの関わりを思う時、とりわけ私が気になっていることは、父と子の親子関係です。
長男は、小学校3年生から野球を始め、5年生の頃には父親がコーチとしてチームに参加し、
その後中学野球引退まで、選手とコーチの関係は続きました。
その間は指導者の息子ゆえ、チーム全体のミスでも立場上理不尽に叱られる事が多々ありました。

高校では父の手を離れ強豪校で野球を続け甲子園へ。そして努力と苦悩の高校野球を終えた長男を待っていたのは、またもや、父の叱咤激励でした。
二年の浪人生活の間、良くも悪くも夫は精魂込めて彼を観察しながら伴走し続けました。

夫の子どもへの愛は、深く熱く! その優しさは、時として子どもにはわかりにくい変化球。
その上過度の心配性。その為、おおむね子どもが自分で解決できそうなことも、
自分の意見やアドバイスを丁寧に説明し、教え導こうとします。

子どもとの会話は時に二時間を超えるほどの熱の入れようで、
思いが伝わらないと感じると、ジレンマから怒りがこみあげ大爆発をおこし、子どもは大やけど!ということもしばしば。

それを見守る私はハラハラドキドキ…。思い余って口を挟むとこちらも撃沈!という図が我が家の常でした。
そんな父を子どもとしてどう感じているのか、私はずっと知りたいと思っていました。

大学卒業を目前に控えたある晩、それは突然私の知るところとなりました。

私が、このところ次男に意見しすぎる夫に辟易し、口を挟むとつい喧嘩になってしまうことを、長男にこぼした時のことです。
私の話をひととおり聞いた彼は、
「母さんは、父さんに何も言わなくてもいいと思うよ。
父さんが俺たちに何を言おうと、その気持ちの根底に、子どもを思う気持ちが
ある時は、たとえそれがまちがった意見でも母さんは口を挟むべきではないよ」
と、私を諭したのです。

大学に入りたての頃は、実家から離れた安堵感も手伝い、
かつての父の過干渉がいかに辛く疎ましかったかを、反発心むき出しで私に話していた長男。
そんな話を聴くたびに、父の変化球の愛情は彼には届いていなかったのかと寂しく思ったものでした。
しかしながら今、このように深く父の心情をおもんばり、
また、自分の思いをしっかり私に伝えられる様になっていたことは、
親としてとても嬉しく頼もしいことでした。

時には、(なにクソ! 今にみていろ! 父さんが口出しできない程がんばってやる!)といった父への反発がエネルギーになり、苦難を乗り越えられたことも話してくれました。

父が厳しい野球の指導や日々の叱咤激励を通して彼に伝えたかった思い、彼の中に育てたかった生きる力などをすべてくみ、父のこれまでの対応を今は肯定し理解してくれている息子に感謝するとともに、
大人になった彼を、しみじみと実感しました。

最後に、長男が私の目を見てきりっと言いました。
「かあさん、子どもは親が思っているより、ずっと大人だよ」

この瞬間、私の肩からすっ・・・と力が抜け、長男が私の手からふっ・・・と巣立っていきました。

夫の伝えたかった思いをしっかり受け取った長男は、もう立派な大人でした。
きっと厳しい社会でも自分らしく前を向いて生きていけると確信した夜でした。

バトンを藤野さんへ渡します。千葉は春のお花が咲き乱れているのでしょうね。

新潟県/櫻井美奈子 







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