Mおばちゃんから引き継いだもの
こんにちは。新潟の櫻井です。
くりちゃんがK先生との大切な思い出があるように、私にも思い出に残っている人がい
ます。
それは、幼い頃となりに住んでいた『Mおばちゃん』です。
彼女は、お料理が上手く、とてもハイカラな人でした。
我が家とは庭続きで、家で騒いでいる私や妹の声が聞こえてしまうほどのご近所でした。
夕ご飯のおかずを作りすぎた時などは、祖母に「Mおばちゃんに、持っていって」と言
われ、
私はよく夕食時に「Mおばちゃ〜〜ん!」と玄関で大声でおばちゃんを呼んだものでし
た。
私が鮮明に覚えているおばちゃんとの思い出は、おばちゃんちでご馳走になったおひるごはん。
それは、ごはんというより、洋風のランチという感じ。
テーブルの上には紅茶ポットと、ピカピカに光ったティーカップがならび(たぶん外国製!と思った記憶アリ)、スライスレモンの黄色が目に鮮やかに上品に添えてありました。
パンも焼きたてで、おばちゃんがぬってくれたバターは、私にとって非日常の外国のごはんの香り。
家族は今頃となりで、いつものそうめんかうどんのお昼を食べているであろう時に、
私だけおばちゃんにご招待されたランチ。
背筋も伸びる思いで、少し緊張しながら大人ぶってご馳走になった時間。
その時の情景、香り、感じた想いが、40年以上たった今でもあたたかくよみがえります。
おばちゃんが私の為だけに用意してくれた食事は、私にとって特別感満載な楽しい時間でした。
おばちゃんが私を可愛がってくれた心地良さは、今思い出しても嬉しく感慨深い感情です。
この感情は、不思議なことに今の私をも元気づけてくれます。それはなぜ?と考えます。
かつて私のことを、いとおしんで受け入れてくれた人がいたということ。自分が大事にされた思い。
私のあるがままを可愛がってくれる人がいたということ。
それらすべてが、自分の存在を認められた安心感となり、今の自分を元気づけ、時には前に進む勇気をくれるのかもしれません。
私は、この春から地域のお茶の間を月4回開いています。
対象は1歳から100歳まで。赤ちゃんからおばあちゃんまで、日がなのんびりお茶のみを楽しみます。主役はやはり子どもたち。たくさんの大人の目が子どもたちに注がれま
す。
(かわいいね。)の思いをのせて。子どもたちはたくさんの温かなまなざしの中で、はりきって挨拶をしたり、ボール投げを披露したり大忙しです。その自慢げな様子ったら!
そしてそれを見守るおばあちゃんたちの穏やかな笑顔が印象的です。
私はこの場をとおして、私がかつてMおばちゃんから感じたようなあたたかいまなざし
を子どもたちにたくさん感じてほしいと思っています。そして、今この時、大切にされている感覚を十分に感じてほしいと思います。なぜなら自分の存在をまわりの人が喜び、大事にしてくれる感覚は、
子どもの中に自己肯定感を育て、将来自分の力で自分の望む人生を切り開いて行く時の、大きな力となるからです。
ある日、常連さんの2歳のSちゃんが私にお
手紙をくれました。
私の顔の絵が書いてある、可愛らしいお手紙です。
「Sちゃん、なんて書いてくれたの?」と聞くと、
「さくらいさんは、いつもにこにこしていますって」と。
いつか私もSちゃんにとって、あたたかな思い出になるおばちゃんになれるかな?と思った出来事でした。
お次は、藤野さんです。
お話いつも楽しみにしています。バトンをはい!!
P style="float: right">新潟県/櫻井美奈子
2017年05月29日(月)
No.303
(日記)