ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

妹の誕生、そしてお兄ちゃんの我慢


はじめまして。神奈川在住の森屋弘美です。高2の息子、中2の娘、夫の4人家族です。どうぞよろしくお願いします。

田中さんからバトンを受け取った日は、我が家の長男も、初の海外に旅立った日でした。とは言え、高校の修学旅行ですから、さほど心配はしていなかったのですが、田中さんのお話は、ドキドキでした。息子さんの勇気と頑張りに背中を押され、様々な事にチャレンジを始めた田中さん、これからのお話も楽しみです。

さて、田中さんのお話を読みながら、私も修学旅行中の息子のことを、ゆっくり思い出していました。

甘えん坊の彼が、保育園に通い始めた日は、1歳の誕生日でした。保育室の前で、私から離れられずに大泣き。時には、私も涙しながら出勤する朝が半年続き、仕事中は彼の泣き顔が頭から離れず、何度早退したい!と思ったことか…

保育園に迎えに行くと、彼は必ず先生の背中におぶわれていました。
もちろん夜は、私の添い寝以外で寝付くことはありませんでした。

この頃から、カタコトを話すようになり、私に抱きついては「ママだいすき!」と言うようになりました。
遊びに夢中になっていても、思い出したように私のところへ来ては抱きついて、「ママだいすき!」と言うので、私もぎゅっと抱き返し「ママも大好き!」と言うと、安心してまた遊びに戻りました。これが二人の、儀式のような遊びになっていました。

私が娘を妊娠してからも、彼の甘えん坊は健在のまま、2歳9ヶ月でお兄ちゃんになりました。

出産のため入院している間は、彼に会うことができず、その間は実家で面倒を見てもらいました。
毎晩「ママ、ママ」と泣いているのでは…と心配していた私でしたが、ママ代わりの彼の祖母からは、
「一度も泣かないし、ママは?とも聞いてこないよ。お兄ちゃんになったね〜」
との中間報告。
嬉しいやら寂しいやら、複雑な心境のまま退院し、当然「ママー!!」と飛び付いてくることを想像しながら、彼の元へ帰りました。

きっと、彼も「ママー!!」と抱きつきたかったはず。でも、目の前に現れたママは、赤ちゃんを抱いていたので、彼は近寄ろうとしません。
私は娘をおろし、「ただいま!」と、彼を抱き締めましたが、いつもの儀式「ママだいすき!」もなく、私の腕から離れていきました。私は彼を追いかけることもせず(あれ?もうお兄ちゃんになったから、甘えん坊も卒業かしら?)などと軽く思っていました。

それからは、娘の世話をしている私を横目に、ひとりでトイレに行くようになったり、「ばーばと寝る」と言うようになり、今まで何をするにも「ママ、ママ」だった彼に「さすがお兄ちゃん!」と褒め、2週間が過ぎました。

その日、いつものように娘に授乳をしていると、私の背後から、涙をこらえた瞳の彼が、「ママ…」と呼びました。

「ママはぼくのことがきらいになったの?」

「ぼくはママのことがだいすきなのに……」

声を振り絞ってそう言うと、今まで我慢していた涙を一気に溢れさせ、「うわぁーん」と、身体全体を使って泣き出したのです。

しまった! この子はお兄ちゃんなんかになったんじゃない!
こんなに我慢していたんだ!

私が退院するまで、泣かずに我慢し、妹をつれて帰ってからは、自分でできることを頑張りながら、私からの「大好きだよ」を待っていたに違いありません。

「ごめんね、ごめんね、嫌いになんかなってないよ! ママも大好きだよ!」
と言って抱き締め、暫くの間、二人で泣き続けました。

この日から、妹にはちょっと我慢してもらい、ふたりの儀式が再開しました。

「ママは、僕のことが嫌いになったんだ」

彼にそんな気持ちを抱かせたまま、私の子育てが進んでいたら…と思うと、この時、私にお兄ちゃんの気持ちを気づかせてくれた彼には、頭が下がります。

なぜなら、子どもの頃の私も同じ気持ちを抱きながら、母に表現することができなかったことに気付いたからです。

もし、私も素直に母に伝えることができていたら…母から「嫌いになったんじゃないよ」と聞くことができていたら、妹をこっそりいじめたり、母に反抗することも少なかったかな…と、今思います。

子どもの気持ち、親の気持ち、どちらも素直に伝え合える関係でいたい、と思います。
修学旅行から帰国する彼を、抱き締めたくなりました。

さて、次回はベテラン桜井さんにバトンをお渡しします。
パワフルな桜井さんのお話を楽しみにしています。

神奈川県 /森屋弘美 






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