ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

娘のランドセル


奈良の長野です。

松下さんと娘さんの本気のごっこ遊び、とっても楽しそうです。これから、どんな時を過ごすのだろう、と、この話の続きも聞いてみたくなりました。

奈良では早くも八重桜が満開です。
そんななか、真新しいランドセルを背負った小学生の子どもたち。
ピカピカのランドセルは、1年生の子どもにはちょっぴり大きくて、それがまた可愛さを増します。

小学校へ行く前は色々と揃えるものがありますが、なかでもランドセルは、子どもも親もワクワクするものではないかと思います。私もランドセルを背負った我が子を見るのが楽しみでした。

年長になったある日、「水色のランドセルにする!」と言った娘。気持ちが変わるかもしれないと様子を見ていましたが、考えを変えることなく、半年が過ぎ、いよいよ購入する日がやってきました。
理想のランドセルを見つけるために、親も張り切って何件か店をまわりました。
6年間使うのだから、良い物を・・・そんな親心とは裏腹に、娘が選んだランドセルは、リーズナブルなもの。
『せっかくだから、いい物を選んだらいいのに』。内心、そう思う気持ちを少し抑えて、もう一度、確認。
「あっちのお店のは?」
「うーん・・・・・・こっちがいい。」
すぐに私の申し出を断るのは気が引けるのか、うーん、とは言うものの、決意は固そうです。
もう一度のつもりの確認を数回繰り返して、結局、購入したのは財布に優しいランドセル。
『本人が決めたものだから、しょうがないか』。心の中でそうつぶやきながら、次の用事を足すために電気屋さんへ行きました。

駐車場に車を駐め、車を降りようとすると、娘がいそいそと箱からランドセルを取り出しています。
「背負って行く」

「え〜〜〜〜〜っ! 入学式まで大切にとっておいたら?」「みんな何でここで背負ってるんだろうって思うよ」「お店の邪魔になるかもしれないから」などと、言ってみましたが、やはりここでも、頑な娘。
私の言葉はまったく耳に入らないようで、希望通りのランドセルを背に、ルンルン気分で店に入って行きました。
休日の電気屋さんでランドセルを背負っている子どもは目立ちます。
面白いと思いつつも、早くここを立ち去ろうという気持ちに押されながら買うものを選んでいたところへ、息子がやってきました。娘が店員さんに「ぬいぐるみをあげる」と言われているというのです。急いでその場所へ向かうと、娘が硬直状態で立っていました。
「すみません、ぬいぐるみをもらってるって聞いて・・・」と分け入る私。
「ランドセル背負ってるから、あげたくなってね。これを買ったらあげることになってるんだけど、買わなくてもいいからね。頑張ってね!」
販売促進を担当していた店員さんから、商品を購入したらもらえる景品をいただきました。
話をしているうちに娘の緊張も少しずつ取れてきたのか、自分からお礼を伝えました。車に戻ると早速、ぬいぐるみを袋から取り出して、さっきの硬直が嘘のように、ランドセルに入れて遊んでいます。
ホッとしたからか、滅多にないであろう体験に笑いがこみ上げてきたことを、今でも覚えています。

そういえば彼女は店内でも、私の心配をよそにランドセルをまわりの人や商品にぶつけることなく上手に行動していました。改めて振り返るうちに、後悔の気持ちも出てきました。娘の希望を「それがいいんだね!」と受け止めてあげればよかった、と。
いつもスーパーでお菓子を選ぶときのように、迷いながらも冒険する娘の選択を気持ちよく聞き入れられるのに、ことランドセルとなると、子どもの意見を聞いているつもりで、どこかで自分の価値観を通そうとしていたかもしれません。ランドセルは、親のものではなく、娘のランドセルなのですから・・・。
この4月から娘は高校生。自分の考えをしっかり持つこの時期、彼女の意見を聞ける親でありたいなと思います。
最後に、ランドセルとぬいぐるみのその後です。
いただいたぬいぐるみは、娘の数あるコレクションのなかでも存在感が大きく、彼女の遊びによく登場していました。
そして、小学校の卒業式で水色のランドセルに描かれたのは、友達やクラブの仲間に書いてもらったメッセージ。
どちらも思い出のたくさん詰まった大切なものとなったようです。

次に襷を渡すのは、田中さんです。
お話、楽しみにしていますね。

奈良県/長野 環 





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