ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

「できない」を「できる」に


埼玉の田中です。

長野さんのランドセルにまつわる娘さんとの思い出から、私も当時を思い出しました。その光景は日本独特のものであり、きっとランドセルの数と同じだけエピソードがあるのでしょうね。

私はこの春、“できること”がひとつ増えました。それは着物を自分で着付けること。着物を自分で着てみたいという長年の思いを、長男の卒業式で叶えたのです。

嫁入り道具にと母が呉服屋さんにお願いして仕立ててくれた紋付色無地の着物。友人の結婚披露宴、息子達の七五三や小学校の入学式に華やかさを添えてくれましたが、毎回美容室で着付けてもらうことに窮屈さを感じていました。
売り場で着付のコツを教わったり、着付ができる友人に「教えて〜」とお願いするもなかなか実を結ばず、箪笥には何年も眠り続ける着物達が…。

昨年、一念発起して着付教室へ通い始めました。先生から「教室へは着物を着てきましょう」と言われつつも、毎回教室へ滑り込むのが精一杯の私。着物を着付ける時間の確保なんてとてもとても…と尻込みしていました。
でも、ある時他の生徒さんが四苦八苦して着物でお稽古に参加されているのを見て気づきました。

「私、全然進歩していないじゃない!」

“自分で着たい”という思いだけでは、前に進むのはほんの少し。お稽古の時間だけ着物の袖を通してもすぐ忘れてしまいます。“着物を着て○○へお出かけする”=”ゴール” をより鮮明にしたら、練習にも前向きになるだろうなと考えました。
それから間もなく、着付教室の新年会の席で私は宣言します。

「2カ月後の長男の卒業式に着物で出席します!!」

紋付色無地は伊達襟付、帯は二重太鼓…初心者の私には無謀とも言える宣言でしたが、それからは着付教室の日はもちろん、前日の予習に当日の復習と着付けの練習回数がぐっと増えます。着付けだけで力尽きそうになりながらも、それを着てお稽古へ向かう日もありました。

卒業式当日は着物お出かけ日和に。
苦手なヘアセットも一発でキメて、いよいよ着付けへ。まるで戦闘モードの気合いの入り様に鏡を前に自分でも笑ってしまいます。着付教室の先生からは「衣紋だけはしっかり抜いてね。あとは何も言うことはありません。頑張って!」との激励のメールが届きます。時間はちょっとオーバー気味でしたが、無事に卒業式へ向かう事ができました。

「ママ、カッコイイよ。全部自分でやったなんてスゴイよ」と夫。

「緑の着物の人、誰のお母さん?」
「おまえの? マジ?! 」と友達が驚いていたと長男。

出来映えはさておき、私は満足感で一杯でした。これまでできない理由を探しては、自分でブレーキをかけていたのかもしれない。こんなに長い時間かかってやっと辿り着いたゴールだけど、私には必要な時間でした。この歳で“できないことができるようになる”を体感して、自分にOKが出せるっていいなと思いました。

実は…腰紐を締めるのが甘かったようで開式前に下前が落ちてきてしまうハプニングが(冷汗)。貴重な学びにもなりました。
次のステージは15分で着付けること。キレイな着姿を目指して、もっともっとステップアップしていきます。

次は森屋さんへバトンタッチ。
どんなお話が聞けますでしょうか。

埼玉県/田中揚子 




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