ラッキーな大失敗
赤とんぼがのんびりとびかう新潟から、こんにちは! 櫻井です。
藤野さんの「最後の言葉」を読みながら、ナナと藤野さんご一家の心の通い合いに心打たれました。言葉を持たない動物とのかかわりは、せつなくも時として言葉以上に心が通い合うこともありますね。
人生50歳半ばを目前に、来た道を振り返り行く道を妄想する今日この頃です。
子どもの頃の私は、先生と親の言うことをよく聞くまじめでしっかり者の優等生タイプ。
学級委員や級長にもよく選ばれていました。ですが、一方で小4で胃潰瘍になってしまうほど、心配性で人の目を気にするストレスに弱い子でした。
そんな私も、今では明るく元気でちょっとおもろいおばちゃんになりました。
そそっかしく失敗も多々ありますが、めげないタイプに変貌しています。
あれ?転機っていつだったの?と考えると…
そうそう!あれあれ!
「私、高校の修学旅行でひとりで違う電車に乗りました」
関西への修学旅行の帰路、東京駅のホームで「発車しま〜す。ドア閉まります!」の声に引き込まれるように、目の前の電車に飛び乗ってしまった私。プシューと閉まるドアの外で顔なじみの男子が目を丸くして私を指さしていました。魔が差した瞬間でした。
電車が動き出し、はっ!と我に返り電車内を猛ダッシュして車掌室へ。
私は次の駅で本来乗る電車に乗り換えることとなりました。(3時間後に・・・)
その後は空いている指定席に案内され、場違いな広くて大きなグリーン席に情けなくもちょこんと座っておりました。もう頭は真っ白心臓バクバクで気持ちの整理をする余裕もありません。しばらくすると、見知らぬお兄さんが私の隣にどかっ!と座り、
「電車間違って乗っちゃったの?」とぽつり。「食べる?」と柿の種。
おそらくその電車中の乗客すべてが目にしていたホームの修学旅行生。そして発車後、車内を猛ダッシュで駆け抜けたひとりの女子高生。誰が考えてもわかりやすいシチュエーションです。そんな悲劇のヒロイン!?を元気づけるべく、お兄さんは柿の種を片手に私を訪ねてくれたのでした。
約3時間、彼はとりとめのない話をしながら私の相手をしてくれ、私が下りる時に「がんばってね!」とエールを送ってくれました。
次の駅のホームでポツンとひとり、電車を待っている時の心細さ、恥ずかしさ、情けなさといったら…思春期女子の心はMaxに落ち込んでいました。もう消えてしまいたいほどでした。
ですがここで心の声『美奈子B』がささやきます。(しょうがないじゃん! やっちゃたんだから〜!)とお気楽です。「…だよね。」と思わずつぶやく私。
無事に電車に乗り込んだ私を待っていたのは、クラスメートの予期せぬ最大限の歓待でした。それもなんだかみんな楽しそうに。
終着駅に到着し当時級長をしていた私が、担任に「全員います」と人数報告をすると、「だな、お前もいるしな」とひと言。クラス中の大爆笑の中、(ごもっとも) と、笑っちゃいました。
その後、今まで話したことがなかったクラスメートも気軽に声をかけてくれるようになり、交友関係もぐん!と広がりました。
電車を間違えたことは大失敗でしたが、それがきっかけとなり、しっかり者の優等生の鎧を脱いで、実はおっちょこちょいで人懐っこい自分を出せるようになったのです。おかげでその後は、それまで以上にのびのびと過ごすことができました。
長い人生、山あり谷ありこれからもいろいろなことが起こると思います。
ですが、これから行く道での大失敗も、自分の気持ちの持ち方次第。大ラッキーに変えていける自分でありたいと思っています。
最後のバトンを南村さんに、お渡しします!
どうぞ、よろしくお願いいたします。
新潟県/櫻井美奈子
2018年10月29日(月)
No.378
(日記)