ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

可能性の種


初めまして。リレーブログの仲間入りをさせていただきました上村明美です。
名和さんの「命をいただく」ブログ。ナーバスになりがちな内容もお互いの思いを素直に語り、受け取る様子に日頃からの素敵な親子関係が伝わってきました。
我が家は夫、大学2年の長男、高校1年の次男の4人家族です。
さて、今回は今年の5月に20歳になった長男のことをお話ししたいと思います。

小さい頃の子育てを振り返って思うのは、私の中でなんと「心配の種」が多かったか!ということです。
3歳になってもなかなか言葉が増えず、幼稚園では何をするにも一歩遅い。小学校に上がると授業が始まっても席に着かないし、面談では「いつも絵を描いていますね。授業中でもテスト中でも自分の世界に飛んでいってしまうようです」と言われてばかり。そんな息子に、どうしてちゃんとできないの? どうしてみんなと同じようにできないの? といつもイライラしていました。
その頃の私は息子に「標準」であることを求め、できている
こともたくさんあったのにまわりの子と比べて足りないところ、マイナスの部分を探しては、あれもダメ、これもダメと「心配の種」を拾い集めていたんですね。

そして10歳になったころ、「ぼくなんかだめだよ」という言葉が息子の口から頻繁に出るようになったとき、私の子育ての仕方に問題があるのでは? と、やっと(笑)思い始めたのです…

模索するなかで出合ったハートフルコミュニケーション。
実際に子育てを学んでみると、息子が息子らしくいられること、「ぼくはぼくでいいんだ」と息子自身が思えることが大切なんだと気づきました。息子の心配の種を拾うのではなく「可能性の種」を引き出ていきたい! そんなふうに思うようになりました。そしてそのために私ができることは「ありのままの息子を愛する」こと、親である私が「あなたはあなたのままでいいんだよと言ってあげられる」こと。それが息子の「可能性の種」の元になるのではないかと思いました。これまでの私は、自分の物差しだけで彼を見ていたのです。

自分の物差しを脇に置いて息子を見てみると少しずつ息子らしさを発見できるようになりました。
メダカや亀を大事そうに世話する息子。小春日和の日にはサッシの際に体を横たえて幸せそうに昼寝をする息子。ドッヂボールがいかに楽しかったかを泡を飛ばしながら話す息子。次男にキックを浴びせられてもじっと耐え続ける息子。そして、中学受験で思う結果が出なかった時、目に涙をためながら「ママ、今までありがとう」と伝えてくれた息子。
そこには穏やかで無邪気で時に我慢強く、愛情深い。そんな愛おしい息子の姿がありました!
私は心から「あなたはあなたのままがいい」と思ったのです。

そうなると今まで心配の種だったことも肯定的に見ることができるようになり、息子の好きなものや考え方、性格からくる行動パターンなども少しずつ理解できるようになりました。
そして「息子が息子らしく」あるために彼の未来は親の期待や押しつけではなく、息子のなかの「好き」や「興味」が広がり、選択肢が増え、そこから最後に息子自身が選び取っていけばいい。そんな想いに結び付きました。
それからは息子が興味をもったことや取り組んでいることにしっかりと耳を傾け承認するように心がけていきました。それが息子の「可能性の種」を引き出すことにつながると思ったからです。

中学に入ってからは「俺は人の前に立つより縁の下の力持ちでいたい。人を動かすことは得意じゃないから」と言い、いつも目立たない仕事を引き受け、高校最後の体育祭でも高3生が競技で盛り上がっているなか、ひたすら裏方仕事に徹していました。仕事を終えた彼はいつも満足そうで、私は「とても彼らしいな」と眺めていたものです。
そんな彼が大学に入ったその年、学園祭で模擬店の代表になって奔走している姿がありました! 人の前に立つ経験を自ら買って出たようです。

後日、「代表をやってよかったよ!できるかどうか心配だったけどみんな協力してくれたし、自分にとってもいい経験になった」と笑顔で話しました。
「ぼくなんかだめだよ」と言っていた男の子は10年後、苦手なことにも果敢に挑戦できる頼もしい大人になっていたのです!
私は話を聴きながら息子の未来がさらに楽しみになりました。自分で考え、選び、歩んでいく姿が想像できたからです。

20歳になった彼は今も、穏やかな時間を楽しみ、人との関わりを喜び、感謝の気持ちを忘れません。順風満帆とは程遠いガチャガチャわいわいの子育てでしたが、息子の自立はもう目の前。これからも「可能性の種」は芽を出し茎を伸ばし花開いていくことでしょう。さてさて、どんな花が咲くのかな?

では、バトンを來山さんにお渡しします。
広島からのお声、楽しみにしています。

東京都/上村明美 








No. PASS