ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

いつものコミュニケーションを変えてみたら…


森屋さんからバトンを受け取りました、兵庫県の名和です。
ありのままのお嬢さんを見守りつづけた森屋さんへ、お嬢さんからの「ありがとうございました!」の言葉。ジーンと心に響きました。

我が家の住人は、夫、娘、犬、猫、カメ、そして私の三人と三匹です。
犬は大型犬でしかもアトピー体質。夫と二人で日曜日のたびにお風呂場でシャンプーと耳掃除をしてやるのが習慣となっています。

ある日曜日、犬を洗う準備をしていたら、犬用のバスタオルが所定の場所に一枚もありませんでした。夫は早めに行動するタイプなので、急がないと…と思った私は、そばにあった店舗広告付きの大判タオルを用意しました。
そして、いつものようにシャンプーを始め、滞りなく終了しようとしたところ、夫はいつものと違う大判タオルに気がつきました。
「なんや、このタオルは」と夫。
「犬用のバスタオルが一枚もなかったから」と答えると、
「あるはずや」と。
私が「いや、無かったよ」と言ったあたりから、夫は気分を害し始めました。
もうこれ以上、何も言われたくないと思った私は、(ただ事実を言っただけなのに)という心の声を抑えて「ごめんなさい」と言いました。
すると、夫から、「また、ごめんなさいか。もう、ええ」と匙を投げるような返事が返ってきてしまいました。
ちゃんと伝えられなかったことが口惜しく、また、意に反して謝っている自分が情けなく、なんともしっくりこない思いを抱えたまま犬をドライヤーで乾かしていたら、だんだん悲しくなってきてしまいました。些細なことだけど、このようなことが度重なると、残念な感情がおりのように溜まってしまうのです。
私は、相手の否定的な感情や言葉に敏感に反応し、動揺したり、必要以上に身構えたりするところがあります。そんなときに、つい言ってしまう言葉が、この「ごめんなさい」なのです。

そんな気持ちのまま、犬に薬を塗ってやっていたら、柵の隙間に犬の足を挟んでしまいました。犬は「キャン」と鳴いて痛そうな表情を見せました。私は思わず「ごめんね!!」と言ってさすってやりました。
その時、ふと気付いたのです。これが本心の「ごめんなさい」だと。
夫へ返した「ごめんなさい」は、自己防衛の鎧であったことを。翻訳すると「モウ、ヤメテ…」でしょうか。
夫は、私の「ごめんなさい」の意味するところを見抜いていたのでしょう。
そこで私は、この「ごめんなさい」をやめてみよう、と思いました。

つい先日、こんなことがありました。
夕方の犬の散歩は夫と二人で行くことにしています。
私の帰宅が散歩時刻よりほんの少し遅くなりそうだったので、携帯電話を持ち合わせない夫に代わって、家にいた娘に「犬の散歩は一緒に行くと伝えておいてね」とメールしました。
「ただいまー」と帰宅すると、一階にいた娘と犬が出迎えてくれました。
とりあえずコートや手袋を脱いでいると、階段を降りる足音と共に「お母さん、帰ってたんか?」という夫の声が聞こえました。
「はい、ただいま」と言うと、
「散歩に行くのを待っててほしいと伝言したんやろ?そしたら、いの一番に<ただいま>と僕に伝えるべきとちゃうか?」と。
「今、ただいま…って…」
「僕は、耳が悪いから一階から言われても聞こえへんの知ってるやろ」

その時、私の心に<また、何か言われる>という思いがよぎり、いつもの自動反応のコミュニケーションをとってしまいそうになりました。例によって、「ごめん…」と言いかけたとき、
「お母さん、ほんの1分前に帰ってきたのよね」と娘が助け舟を出してくれました。この言葉で私は、
(そうだった。自己防衛の「ごめんなさい」はやめて…)と、思い直しました。
「そうね、待っててくれたものね。帰ったその足で伝えに行けばよかったね。実は、1分前に帰って来たばかりだったの」と言うと、
なんと、「ああ、そうか」という返事が返ってきました。
その言葉を聞いて私は、身構えていた心がほぐれて、すぅ〜っと力が抜けていくのを感じました。

いつもの自己防衛の「ごめんなさい」をやめたことで、心のバリアが一枚はがれて、<まだかな?>と思いながら待っていてくれた夫の思いを受け止めるゆとりが生まれました。すると、夫の表情が緩んだのを感じ、「実は…」と、伝えたかった事実をちゃんと伝えることができたのです。
私は、密かに、これを<そうね〜実は〜>のコミュニケーションと名付けました。

このことから、もうひとつ、気づいたことがありました。それは、夫は私を非難しているのではなく、ただ、自分の思いに気づいてほしいと思っているだけだ、ということです。かたくなに自己防衛しなくても、私は傷つくことはないのです。素直に私のままでいい、と思えました。
冴えわたる三日月の空のもと、足取りも軽く、二人と一匹は散歩に出かけました。

次は、東京の上村さんにバトンを渡します。東京にも春の息吹が感じられる頃でしょうね。

兵庫県/名和めぐみ 





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