ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

ファンへの転身


奈良の長野です。

松下さんの話を読み、私も家事をする時「〇〇しなくちゃ。」という言葉を「〇〇しよう!」と心の中で言ってみました。すると、今までは、『重い腰をあげる』という感じだった行動に対して体が軽くなった気がします。これからも意識してやってみたいなと思います。

今回は私の心配性についてです。
この4月に高2になった娘は、小学校の時から学校の金管バンド部に入り、楽器を吹いています。
金管楽器を鳴らすにはコツがいります。部活が始まった小学3年生のときに迷わず金管バンド部に入った娘にも、なかなか音が出ない、そんな日々が待っていました。

保護者会で先生から「大体の場合、練習量と比例して上手になる」と聞いた私は、音が出ないのは努力が足りないからだと思っていました。家で練習をしている友だちもいたのに、娘は家ではのんびり。
(うまくなりたいと思っているなら、もっと頑張ればいいのに、そんなに強く思っていないのかな)と思った私は、「もっと練習したら?」「練習方法は教わってるんだよね?」などと問いかけていました。
このままの練習方法やペースでは上手にならないのではないかと心配でしたし、個人だけの問題ではなくクラブ全体としていい演奏をするためにも上達してほしいと願っていたからです。それなのに娘からは、「うん・・・」と気のない返事が返ってきます。
低学年の時から学校での出来事をあまり話さなかったのですが、クラブのことは輪をかけて話さないので、私の心配は大きくなっていくばかりでした。

娘がクラブのことを話さないのは私の言動のせいかも・・・そう気づいたのは、ハートフルコミュニケーションで「子どもの話を聴く」ことを学んだ時です。
「聴く」とは相手の心を受け止めることなのに、私がしていたことは、娘が話したくな事をきいたり、質問攻めだったり・・・。
彼女が話したくなくなるような状況を私が作ってしまったのではないかと思いました。
そこで、学校の予定や用意する物など、最低限把握しなければいけないこと以外は、こちらから尋ねないようにしました。彼女が何か言ってきたことに対しては、私の考えを押しつけないよう気をつけながら、受け応えしました。いつしか楽器も鳴らせるようになって、私もいつのまにか、気を揉むことがなくなっていました。

ところが、娘の高校進学を前に、またまた私の心配が膨らんできたのです。
娘が進学する高校の吹奏楽部は、歩きながら演奏する大会にも出ています。歩きながら演奏するには吹く時の口の形・角度などを変える必要があるのですが、それはスポーツだったらフォームを変えるくらい大変なことで、人によっては音が出なくなってしまうこともあると、顧問の先生から説明を受けました。その代わり、今まで練習しても出なかった高い音も出る可能性もあると。
容易ではないことは素人の私にも理解できましたが、娘は挑戦すると言います。「うまくいかなかったら元に戻せばいいって、先輩が言ってた」。
そう聞いて、私の心配にスイッチが入りました。「上手くなってほしい」と願わずにいられませんでした。
でも、娘も不安を持っていることは私も分かっていました。だから先輩も声をかけてくれたのでしょう。
指導を引き受けてくれた先輩に失礼のないようにだけ伝え、私から様子を聞くことは控えました。

娘は時々、「少し音が出るようになってきた」と報告してくれました。歩きながら演奏する大会にも出場できました。
そして、先日のこと。春の合宿の予定を聞いていると、「最近、高い音も出るようになってきたよ!」と教えてくれました。続けて、「一年かかったわ」。

この言葉を聞いて、この一年をしっかり考えながら練習してきただけでなく、今までも、彼女は自分のペースで、ずっとがんばっていたんだ・・・と分かりました。
私は「娘のため」と思って心配したり、余計なことは言わないように気をつけてきたつもりでした。でも改めて振り返ってみると、心の底に、「上手に演奏している娘の姿を見たい」という思いがありました。ガツガツ頑張るタイプじゃないのに、自分の安心のために、練習する姿を家でも見せてくれることを求めていたのでした。
娘への申し訳なさと、話を聴けるようになってきたことへの少しの自信と、長年の娘の努力が実った喜びとが入り交じりました。すると娘が、「先輩に会ってお礼を伝えたい」と言い出しました。
真剣に練習してきたからこその感謝です。感謝できるような人に出会えたことも、私にとって嬉しいことでした。

今、娘は、「充実しすぎた1年だった〜。でも、来年、後輩に教える自信ないわ」と話しています。今までは、こんな言葉を聞いたら、「しっかりして〜」と心配の方が先に立っていました。でも、娘がしっかり自分と向き合いながら歩んでいると気付けた今は、ファンとして心から応援できます。

桜前線が上昇し始め、春も本番を迎えました。
田中さんはいかがお過ごしでしょうか。

奈良県/長野 環 







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