ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

彼女の成長と私


広島の來山です。
上村さんのブログを拝読し、安心して気持ちを吐き出せる人がいること、自らの偽らざる気持ちをありのままに聴いて、受け取ってもらえることが、私たちにとって、特に、苦しい気持ちを抱えている人にとってどんなに力強いエールになるのか再認識しました。大切だとわかっていても簡単ではない『聴く』ということを続けられた、上村さんのあたたかい愛を感じました。

夏休みも終わり、2学期が始まりましたね。我が家の長女は大学院生になり、来年は就活の年。いよいよ巣立ちの時も迫ってきたなーと感じています。
今年の夏、彼女は3週間という長い期間、広島に帰省してくれました。東京で既に4年間一人暮らしをしている彼女は、夕方アルバイトから帰ってくると、当たり前のように洗濯物を取り込んでたたみ、お風呂を洗って給湯器のスイッチを入れると、あとは任せたと、自室でスマホを楽しんでいます。
一人暮らしをしたことのない私は東京での彼女の毎日を思い浮かべながら、「決められた仕送りの中で、大学での研究やアルバイトもしながら自炊するのは大変なことだろうに、よく頑張っているなー。」と思うと、頼まれもしないのに奮発して、彼女の好きなご馳走ばかり作ってしまいます。それを「うまい!!」と食べてくれる娘。家に女の子がいると空気が華やぎ、話も弾みます。

帰省しても毎日をたんたんと過ごす彼女が唯一おねだりしたのが、「四国への家族旅行!」でした。就活が始まると家族での旅行も難しくなるかもしれないからと、提案してくれたのです。
旅行といえば、いつもは綿密な計画を立てる主人ですが、大まかなルートを決めるだけで、子どもたちによるアレンジの余白を残し、彼女の帰省が終わる最後の週末に、1泊2日の旅に出かけました。
高速道路が苦手な私なので、運転はいつも主人の担当ですが、今回は、免許を取った2人の子どもも交代で運転します。免許取得後ほとんどハンドルを握ったことのない彼らでしたが、主人のナビで力強く走ります。車のステレオとスマホを繋ぎ流れる音楽は、普段は子どもたちが個々にヘッドフォンを通して聞いている音楽、子どもたちはシェアーできても、私たち親は知らないものばかり。途中、自前のカメラを首にかけた娘は、窓から見える瀬戸の島々と橋の風景や、立ち寄った観光スポットでインスタ映えするポイントを探し、手慣れたように写真をとっています。四国に着いてお腹がすけば、友人から事前に得た
という、おいしい讃岐うどんの店をスマホのマップで検索し、ナビゲートしてくれます。
宿は父親リクエストの予算で皿鉢料理と温泉のある旅館が待っていました。父親が作っていた予定の空白は、友人と旅したという、仁淀ブルーの滝、道後温泉の元湯や柑橘専門のおしゃれなアーケードの散策で埋まり、スマホ片手に家族が大満足の旅に仕上げてくれました。
そして、旅行から帰った翌日、彼女は東京へと戻っていきました。

実は、ハートフルで学び始めたころ、私とその頃中学生だった娘との関係は良好だと信じていました。でも、彼女が調和を大切にし、争いごとを嫌う気質だと知ると、その関係は私が「そうしてほしいこと」を彼女がいち早くキャッチして、関係が悪くなるのを回避するために、彼女のしたいことよりも、私のしてほしいことを優先しているだけで、彼女の本心ではないこともあるのだと気づきました。
同じように、その頃まで私の母の「正しい」に沿ったレールを歩み、いったい自分は何者で、何をしたいのか見失っていた私は、娘には彼女の納得する人生を歩んでほしいと希望するようになりました。だから、それからは遠慮がちな彼女の意見をよく聞いて、彼女の意志を尊重して接するようにしました。そうして高校生になると、食物が人体にどんな影響を与えるのかに興味を持った彼女は、より専門的な勉強のできる東京の大学への進学を私たちに申し出たのでした。

「親から離れて暮らすことで、より彼女らしく素敵に成長し、自立してくれたこと」が、とても嬉しいのです。でも、そんな私の期待を上回る程に成長した彼女は、今の私にとって眩しすぎるのです。なぜなら、こんな素敵なプレゼントをしてくれる彼女の親である私自身を振り返ると、彼女の年の私は、彼女ほど自立し、成長した自分を親に見せられていなかったと思うからです。
今でさえ、やっと親の干渉から距離をとることはできるようになったものの、年老いた自分の親なのにも関わらず、彼らを喜ばせることができていないこ
とに気が付いたからです。このことも含め、自信のなさから、でも、だって、と言い訳を並べて、改善に向かう行動に踏み込めなかったり、先延ばしにしていることがたくさんあると思い至ったからです。
また、彼女が生まれてきてからこれまでの、色々なことをしてあげたり、教えてあげる役割が逆転してしまって、教わること、してもらうことが多くなっていることに気付き、何だか自分の存在価値がなくなってしまったように感じて、彼女がが颯のように私を飛び越えて遠くに行ってしまって、急に置いてけぼりになったようで、寂しい気持ちがこみ上げてきたのでした。
子どもの幸せな自立を目指して、子どもが安心して自立できるように、子離れできるようにハートフルの活動に参加しているはずなに、と、私はロスの渦中にありました。

でも、このブログを綴っている内に、この滞在中、彼女のためにできることはないかと、あれこれ普段以上の世話を焼く私に、「気を遣わんでも、いつも通りでいいのに」とかけてくれた彼女の言葉を思い出しました。すると、彼女は普段通り彼女で過ごし、私にも普段通りの私で満足してくれているのだ、と気づきました。そう思うと、少し気が楽になってきました。そうだ、これまでやってきたのと同じように、彼女が自分の世界でやりたいことをできるように、広島で私は私のできることをし、時々帰ってくる彼女がリラックスして羽を休め、家族との時を過ごせるように、元気で笑顔で過ごそう。と力がわいてきました。

子育て真っ最中の五十君さん、夏休みはいかがだったでしょうか? 次のたすきをよろしくお願いします。

広島県/來山美和子 





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