ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

わかっているようで・・・


広島の來山です。
上村さんのお母様が子どもたちに寄せる愛情深いまなざし、お母様を見送る家族の暖かいまなざし、強い絆で結ばれた素敵な家族の話。私も家族と穏やかで心通じる関係を育みたいと思いました。ハクモクレンの季節が私にとって、これまでの家族との関係を振り返り、心新たにこれからの家族を思い描く、そんな機会になりそうです。

人は自分のことをよくわかっているようで、実はよくわかっていないのかもしれないなー。と感じるできごとがありました。

娘は現在、東京暮らしの大学院生、彼女は生まれてからこれまで親に心配をかけることもなく、穏やかに、順調に、すくすくと育ってくれました。この子はずーっとこの調子で過ごしていくのかなー。と思っていました。しかし、そんな彼女が最近悩みを抱えているようなのです。それは就職(就職活動)です。

普段からのーんびりしている彼女は、思い返してみても、あれになりたいとか、これをしたいと、自分から強く主張することもなく、受験だからと言って、そうやる気を見せることもなく、「人をかき分けてまで、自分がいい学校に行こうとは思えない。」と、私からすると、少し頑張ればもっといいところを目指せそうなのに。。。と、少々残念に思えるほどに控え目ちゃんです。

「自己アピール書けって言われても、苦手なんよねー。何書けばいいと思う?」と珍しく私に相談してきました。えー、そう言われましても、私には彼女が普段大学院でどんな研究をしているのかを聞いても、その概要でさえ、かみ砕いて言ってもらわないと理解できない程度で、うーん、どうしたらいいだろうと、困っていました。

そんな折、たまたまお友達から誘われて娘がハートフルコミュニケーションのエニアグラムという講座に参加することになりました。エニアグラムの講座では、人が生まれながらに持っている気質(性格)について学ぶのですが、彼女は私が8年前に学び始めた時からとても興味を持って、その後一緒に受講し、今では私と彼女が共有する「自分と人を理解するためのツール」となっています。

講座を受講した夜、学んだことを話す相手が欲しかったのか、彼女が電話してきました。そしてエニアグラムと彼女自身を更に深く理解したなー、と思う話を聞いているうちに、ふと、私が心に抱えている自分の気質に対する劣等感について打ち明けてみようかな、と思ったのです。というのも、私は自分の周りにいる人が笑顔でいてくれるように、近づいて行ってはあれこれお世話をしたくなる気質なのですが、エニアグラムで人の気質が9通りもあると学んだことでかえって、自分がよかれと思ってしていることに自信がなくなって、人との距離感に悩むようになったからでした。

すると、彼女が、「私は母さんと違う気質でね、なんか高校まではひょいひょいとうまく進むことができていたんだけど、大学になって東京で一人暮らしを始めて、何か大変なことがいっぱいあったんよー。それはね、自分が何に困っているかがわからんってことなんよね。大丈夫、大丈夫って思っとる内にねー、時間がどんどん過ぎて行ってねー、大変なことになるんよー。でねー、考えてみたら、家にいた頃は、お母さんが私の見通しがつくように、うまーい具合に先にあることのために今せんといけんことを教えてくれとったけん、私は迷子にならずにすんどったと気づいたんよ。母さんは、人の欲求や足りないところを敏感にとらえて、それに細やかに対応するのがうまいと私は思うよー。お母さんの気質を嫌だと思う人もいるかもしれんけど、私は好きよー。自信持ちんさい!」と言ってくれたのです。

彼女のその言葉に私は救われました。そして、娘はこんなにも深く私と私の気質を理解してくれているのだと感動しました。私が無意識にその人のためと思ってやっていたことにも、いいところがあったんだと涙あふれました。私は私のままでいていいんだと安心し、勇気をもらいました。

そして気質を学ぶ前はもちろんのこと、気質を学んでいても、自分のことをわかっているつもりでいて、案外わかっていないのだと思いました。自分のことだけに当たり前すぎて気づかなかったことが、人にいいと言ってもらえて初めて、それが自分のいいところだと認識できることもあると気付きました。

また、思い出しました。娘の気質はやり始めたことを継続して続けていくことは得意だけれど、それを止めることが難しいこと、何か新しいことを始めることに対してハードルが高いことを。もしかしたら就職するという、20年近く自動的に繰り返してきた学校生活から、仕事をみつけ、新たな生活に踏み出すという大きな転換は、彼女のこれまでの人生の中で最も難関なことなのだろうと思うようになりました。そんな大変なことに挑もうとしている彼女に私ができることがあるとすれば、それは、「自分の自己アピールは何か」と迷う彼女に、彼女がしてくれたように、彼女が気づいていないかもしれない私が知る彼女のいいところを知らせることだと、思いつきました。

娘の人となりを主人と振り返りながら、『優しい、思いやりがある、正直、素直、おおらか、協調性がある、粘り強くチャレンジし続けることができる、物事を客観的に捉えることができる、人に好かれる、情緒が安定している、メンタルが強い、コミュニケーション能力が高い、などなど』きりがないほどの私たちから娘へのエールの言葉をラインにのせて送りました。途中から、息子が「何しよるん?」とやってきて、娘の就職のESを書くために、いいところを知らせていると言うと、「面接官から短所を聞かれたら、それをどう克服するかを考えて言えることが大切らしいぞ、短所を長所に言葉で変換できる土壇場のアピール力も大切らしいぞ」と、これまた就職が近づいている息子らしいエールも届けることができました。

娘からも、「私、めっちゃいいとこあるじゃん!!ありがとう!これ見ながら頑張るわー!」と返信が届きました。

既に私を遥かに超えて先を進む彼女が、自分自身の力でこの大きな壁を乗り越えることができると信じて、娘が彼女の持つたくさんのいいところを味方に、自分の進みたい道をつかみ取って笑顔で報告してくれるのを待っていようと思う今年の始まりです。

五十君さんは、どんなお正月を過ごされたでしょうか? たすきをお渡しします。

広島県/來山美和子 








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