ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

完敗に乾杯!


広島の來山です。
上村さんのブログから、上村さんの様々な側面を見せていただきました。自分らしいと納得できる部分も、そうではないかもしれない部分も含め、これが自分と認められている潔さ、どの時間も全力で過ごされてきたからですね。

私は息子にしてやられました。

最近、息子がよく私に「お母さんはおもんない(面白くない)」というので、「彼の言う面白いってなんだろう?」と考えてみました。私は物事が滞りなく順調に進んでいることに安心感を覚えるのですが、息子は、自分の思いや期待を裏切るような意外なことが起こることこそ「人生の面白み!!」と、求めてやまないようです。だから、私が想定内、予定調和を望むことが面白くないのでしょう。
そこで私は、「予定調和って知っとる?」と声をかけました。すると、息子が「それくらい漢字からわかるよー。お母さんは、俺にそうなれって言っとるんじゃろー。でもね、俺はこう見えて予定調和なんじゃけーね」と言うのです。彼なりに先の見通しを持って、成功も失敗も含めた結果を予想しながら行動していると、話し始めました。

実は私が話しかけたのには下心がありました。春休みに入ってもうそろそろ就活に本腰を入れてほしいと思っている彼が、YouTubeなどにかまけてばかりいるように見えて、「納得のいく就活をするためには、やることがあるじゃろ!!」と暗に伝えたかったのです。でもそんな私の魂胆すら、彼はお見通しでした。
それどころか、「だいたいね、見通しが甘いのはお母さんの方じゃけーね」と意表を突いてきました。「お母さんは、いっつも予定を見誤って、『ぎゃー』とか、『どうしよう』って大声を出すのが、俺にとってどんなに苦痛かわかっとるんかー。」と言われたのです。

確かに。いつだったか新しいホットプレートで餃子を焼いていた時、うまく蓋が閉められず火災報知器が作動したことがありました。パニックになった私は、「どうしよう!!」と右往左往。そばで手伝っていた彼が、冷静に警報音停止ボタンを押してくれたのです。
また、私は、その時になって足りないものに気付いたり、予定していたスケジュールをすっかり忘れて、俄かに思い出したりします。おまけに、その時に「どうしよう」という気持ちを大きな声で表現してしまうので、家族を「何事だ?!」とハラハラドキドキさせてしまうのです。

まさに彼の言う通りだ。私は物事がスムーズに進むのを望んでいて自分ではそうしているつもりでも、実際にはまったくそうなってない。失敗してもそれは自分だけのことと気にしてなかったけど、家族を大いに心配させていたと、息子の言葉で気づかされたのでした。
「確かに。それはすみませんでした」。すっかり論破された私は、反省しきり。さらには、私の予想を見事に裏切る想定外の彼の返しに、「なるほど面白いわー」と、期待を裏切る(上回る)ことの面白さも教わったのでした。

私は息子に完敗しましたが、気分は爽快でした。息子が彼らしく反撃に転じて私に言葉を挟ませず、彼の視点から、端的な言葉で私を負かしてくれたことをとても嬉しく思っていました。

私はずっと息子を自分と一体化してとらえていました。私の想定から外れる行動をされると心配で放ってはいられなかったのです。彼が小さいうちは、大人の力でどうにか彼をコントロールしていられたのですが、彼が思春期を迎えたころからは難しくなっていきました。

中学になった彼は、様々な反抗的な態度や行動で、私を引きはがそうとしていました。でも彼の優しさと、自分に対する自信が育っていなかったためか、結局自分自身で選択をしきれず、引きこもる日々が続きました。私が安心したいがために、彼の一挙手一投足に干渉しようとするので、口をつぐみ、すべての行動をストップするしかなくなっていたのだろうと思います。

しかし、ハートフルコミュニケーションの学びのなかで、私は、彼が私とは別の人格だと認識できていなかったことに気付きました。彼は、彼として生きてゆく使命を与えられていて、親は彼が成長する環境を与えさえすれば、自分自身で見事な花を咲かせるということを学んだのでした。

私は彼を一人の独立した個人として尊重しなくてはならないと感じ、私を押し付けるのではなく、彼自身がしたいと思うことや、彼の意見をよく聴く必要を感じました。また、私の彼に対する口出しや手出しを、彼が反応するぎりぎりの線で止めることを始めました。そして、彼と私は全く違うけれど、それぞれに違ったよいところがあるということもわかっていきました。そうして、彼も段々と自分自身を出せるようになっていき、私とも打ち解けていきました。

でも、それでもまだ何となく、私に遠慮しているというか、自信がないのかな?と感じさせるところがあったのです。それは、議論になりそうになると、話をうやむやにして引き下がっていたからです。しかし、今回のことで、彼が躊躇なく等身大の彼の言葉で、毅然と自分の意見を述べたことで、彼は私を完全に引きはがすことができているんだなー。自分に自信を持って歩いてゆけるんだなー、と思えたのです。

それと同時に、やっと彼を一人の個として接することができるようになったのだなーと、しみじみと感じました。そして、私のことをすっかり把握して、どちらかと言えば心配さえしてくれている彼に、子どもだと甘く見て試すようなことや、余計な口出しは禁物だな、これからは大人として対等に付き合うよう意識しようと思ったのでした。

タスキを五十君さんにつなぎます。

広島県/來山美和子  








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