鎧を外す
東京の楠野です。
日々の忙しさに後回しにしがちな自分リセットの儀式。いぎみさんの日記を読んで改めてその大切さを思い出させてもらいました。先週から朝起きる時間を少しだけ早くして、瞑想時間を伸ばしています。
私にとって瞑想の時間はゆったりと頭を休めて何も考えない「空」のとき。時間にして1日5〜10分たらず。
目をつぶって、頭の中のせわしない思考を止めてふわっと手離し、がんばってる自分を意識の中で抱きしめる。「それでいいんだよ」と、出来ないことだらけだけどちょっとだけ人の役に立つ事もできる、そんなありのままの自分を丸ごと受け入れる時間です。
人からの評価を期待することを手離してから、子育てのこだわりも手離す事が少しずつできるようになった気がします。
周りから見てどう見えるのか、人から評価されるかを気にしていた頃は「こうあるべき」に縛られて理想像からはみ出したものが許せなかったり、あるべき姿を装うためにたくさんの重たい鎧を着込んで武装していました。
「べきの鎧」を外したのは、仕事と家事と子育てでいっぱいいっぱいになって限界を迎えた3人目の子が1歳になって仕事復帰した時でした。
保育園のお迎えの時「先生に怒られるから早くして!」と子どもたち言い放ってしまった事がありました。しかもわざと先生に聞こえるように…口に出した後、ふと何かが違うなと違和感を覚えました。
私が先生に怒られるから、私がダメな親のレッテルを貼られるから、子どもにはちゃんとして欲しい。これって私が人からどう見られるかしか考えてないよね。
凄く窮屈で息苦しくなってもがいていると、別な視点が見えてきました。
そもそも、なんで先生は怒るの?先生は時間通りに終えたいから。家で待っている人のところに帰りたいからかもしれないし、仕事帰りに大切な人との約束があるのかもしれない…
なら、言うべきなのは「急いだら先生も早くおうちに帰れてゆっくり休めるから、明日もいっぱい一緒に遊べるよ。だから早くしようね」だよね。
これは数秒間の出来事でした。その場で、先の言葉を上書きするように言い直すと、なんだかモヤモヤとつっかえていた塊がスッと取れ、晴れやかな気持ちになりました。
それまで「本当の自分はもろく、さらけ出してしまうと何者かに傷つけられる」と思い着込んでいた鎧でしたが、これをきっかけに一枚目の重たい鎧、「他人の評価を気にするべきの鎧」をエイッ!と外してみると、拍子抜けするくらい大丈夫でした。攻撃して来る人は誰も居なかったのです。そこで気づきました。それまで恐れていたのは、自分自身が生み出していた幻だったということに。
人からの評価を気にしないようにする為には自分の軸を改めてセットする必要がありました。拠り所となる軸を作るために自分の内面を深く見つめ、ありのままの自分で居ても、周りからは受け入れてもらえ調和は保てるということに気づきました。
心を開いて他者を受け入れてみると、世の中は温かな助言に溢れていました。鎧の代わりに私は柳のように強くしなやかな強さを手に入れ、見えない力に守られていると感じました。
これをきっかけに鎧の武装を解く勇気が生まれ、「他人と比較して虚勢を張る鎧」「拗ねて自己嫌悪に陥る鎧」など着込んでいた鎧を次々と脱ぎ捨てていく事が出来ました。
一枚ずつ外すたび、本当の自分が顔を出します。いざさらけ出してしまうと、心はどこにでも飛んで行けそうなくらい軽やかで、生まれて初めて「自由」を感じることができました。環境も毎日の生活も何も変わっていないのにもかかわらず、不思議なことに。
自分の変化は子供との接し方にも現れました。子どもたちそれぞれ、自分自身の軸を育てて欲しかったから。「あーしなさいこーしなさい」を一切言わなくなり、その代わり「自分で考えて自分で決めて自分で選ぶ」が我が家のルールになりました。
子どもたちにとって「自分で考えて自分で決めて自分で選ぶ」は「あーしなさい、こーしなさい」と言われるよりシンドイそうで、サバイバル育児だ!と文句言いながらも、「で?あなたはどうしたいの?」と私から投げかけられるコーチングの時間を楽しんでいるようにしか見えないのはなぜかしら⁈
子どもたちにもそれぞれのユニークな得意を活かして自由な意思で軽やかに生きて欲しい。ただそれだけを願っています。
ところで、放っておくとデリケートな心はすぐにまた鎧を着たがります。毎日の瞑想はそんな心に、「鎧はいらないよ、ありのままで良いんだよ」と語りかけ、リセットする私にとって大切な時間なのです。
東京都/楠野裕子
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2020年10月26日(月)
No.484
(日記)