ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

迷ってぐるぐる


千葉のなかみぞです。
大下さん、合格おめでとうございます! 学んでいる親の姿、私も見せたいと思いました。

昨年10月、Y子の行きつけの眼科医に内斜視の手術をすすめられました。
Y子は遠視が強く弱視だったため、3歳から眼鏡をかけています。最近グンと背も伸びたし、眼球も大きくなって、斜視も解消されればと期待していたのに。来年は中学生でしょ、そろそろ見た目が気になる年頃だからと、内斜視の専門医に紹介状を書いてくれました。
さっそく専門医の診察を受けたところ、「視力は順調に育っているので、この先は遠視の度が下がってくるでしょう。けれど、今の度数の眼鏡をしていても目が寄ってしまうのだから、これからは目立ってしまいます。あとは、手術で目の筋肉を調整するしかありません」。そして、「手術しても元に戻ってしまったり、逆に外にズレることもあります。こればかりはやってみないとわかりません。お嬢さんはまだ遠視がきついから、手術しても眼鏡ははずせません」とのことでした。

斜視が目立ってしまってはかわいそう。中学校で同級生にからかわれたりしないだろうか。部活も忙しいに違いない。この先、コンプレックスを感じて積極的に人と関われないとか、視線が合わせずらくて就職の面接で不利にならないだろうか。それにこのコロナ禍、手術するなら早い方がいい。春にかけてまた感染が拡大したら、面会に行けなくなってしまうかも…と、頭の中がいっぱいになりました。
冬休み前の手術の日程を尋ねると、12/22〜25(3泊4日の入院が必要)。付き添いで泊まれますか?と重ねて尋ねると、「お母さん、お嬢さんの年齢ならひとりですよ」と一笑され、専門医は、「どう? 手術する? ひとりで大丈夫?」と、Y子にも問いかけました。「どっちでもいい…」としか答えないY子。この日はとりあえず、冬休み前の予約は取っておき、翌月の診察でどうするか決めることになりました。

Y子は最近やっと顔を洗うようになったくらいです。こだわりのない性格で、何かと「どっちでもいい」と言いがち。私が一押ししないと手術はしないかもしれません。
「んー、いつかやらなきゃいけないならやってもいいけど…目が赤くなって、みんなにどうしたの?って言われるのは嫌だなあ」とY子。やらなきゃいけないかと問われると微妙。だって、目の機能は何も問題はなく、見た目だけの問題。手術したとしても眼鏡ははずせないし、元に戻る可能性もあるのだ。
次の診察日が近づくと、Y子が「あのさ、25日はお楽しみ会でクリパ(クリスマスパーティーの略)やるんだよね。私、イベント係なのに準備だけやって当日出ないのは無責任じゃない? 他の週に変更できないかなあ。やっぱり、ひとりでクリスマスは嫌だなあ」と言い出しました。そうだよね、準備だけして当日出られないのは淋しいよね。親として、子どもに不都合なことは取り除いておきたいと思う反面、本当に今がY子にとってベストタイミングなのだろうか?と、決定打がないまま、次の診察まで私のぐるぐるは続きました。

翌月、診察前の検査で内斜の具合を改めて確認し、外斜視(目が外に向く)に比べて内斜視は内側に向く分、目立たないことが多いと検査技師から説明を受けました。眼鏡をかけた場合とはずした場合の内斜も見比べ、将来、コンタクトにしたいと思ったとき、また考えればいいのか。と思えました。今、Y子にとって大事なのはクリパ。放課後もお友達と自由に遊べない今の状況では、たかが45分のお楽しみ会でも、子どもにとっては大イベントなのだ。Y子の言う通り、クリスマスの週をはずしてもらおうか。
そうこうしているうちに、診察の番がきてしまい、「どうしますか?」と聞かれ、「えー…」と即答できないでいると、「迷っているならやめましょう。迷ってやるものじゃないです。ご本人はどちらでもいいんでしょ?」と医師に言われてしまいました。
確かに。本来は本人が熱望してやるものなのだ。このコロナ禍、厳戒体制の中で手術をやっていただくのに迷ってやるなんて失礼だ。
「では、また様子を見ましょう。夏休みにまた手術を考えてもいいですよ」と言われ、内心ホッとすると同時に、私は子どもの一大事に決断できないダメな親だと自己嫌悪になりました。そして、Y子の担任にも手術延期を話したところ、「Y子ちゃん、ホッとしてました」と聞き、やっぱりY子は気が進んでいなかったのだ。と我に返りました。

当の本人は内斜視を気にしていないし、内斜視を原因とするいじめもまだ起きていない。就職の面接もまだ先。今、手術をして社会人になるころに元に戻ってしまう可能性があるなら、先送りした方がいい。やっぱり本人に治したいという強い気持ちがなければ、術後の痛みや不便には耐えられないよね。ズバッと決断できなくてごめんね。

先日、片付けをしていたら、Y子の荷物からビンゴカードが出てきました。等間隔に定規で引いた5列5行、左上の氏名欄には様々な筆跡が何枚も。景品を折り紙で作っていたことは知っていたけれど、ビンゴカードまで手作りしていたとは。Y子の思い入れの深さを知り、ビンゴゲームを楽しむクラスメートの顔も浮かんできました。やっぱり、今、手術をしないでよかった。

子どもには子どもの世界があって、「今、ここ」を生きている。大人はつい未来を先取りしようとしてしまうけれど、「今」しかできないこともある。迷ってぐるぐるするダメな親だと落ち込む私に、ママ友が「チャンスやタイミングは手にしないと通り過ぎていくけど、迷いがあったらつかまなくてもいいと思うよ」と激励のメッセージを送ってくれました。そして、定期入れに入れているというカードの写真が添えてありました。「生きるということは瞬間瞬間の選択をすること。だから悩んで出した答えは最上の答えです」(ハートフルメッセージのカードでした)。
そうだ、迷ってぐるぐるするのは、最上の答えを出すためなんだ。そう思えたら、胸のザワザワがスーッと消えていきました。これから子どもの一大事は何度もやってくる。胸を張ってぐるぐるしようと思います(笑)。

それでは、東京の本藤さんにタスキを渡します。

千葉県/中溝浩子




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