ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

右往左往のあとに見えてきたもの


千葉の小林です。
元保育士さんだった山田さんが、理想と現実に戸惑われた経験を乗り越えて、「我が子は我が子」とすべてを受け入れて愛してきたこと。私も助産師として子育ての理想と現実に悩んだ経験があるので、その気持ちが手に取るようにわかりました。私も「我が子は我が子」と胸を張っていこうと励まされました。

さて今日は、自分の考え方のパターンを知っておくことで、ネガティブな感情もポジティブになる経験をしたので、ここに書こうと思います。
普段、私は相手の信頼を得ようとすることが物事に取り組む原動力になっています。
例えば、私の職業は助産師。産婦さんが私を信頼してくれることで相手が大船に乗った気持ちで出産に臨むことができたり、私を信頼し相談してくれることで子育ての悩みが軽くなってくれたら、それが私にとって一番嬉しいことです。また、チームで仕事をするときは、リーダーからの信頼を得たいので、指示を忠実に守りよく働くと自負しています。ただ、慣れないことに取り組むときや、準備がきちんとできていないと、相手の信頼を失ってしまうのではないか・・と不安に苛まれてしまいます。

今回、私の考え方のパターンを意識した出来事がありました。息子がお世話になった地元の中学校から「命の現場にいる立場から、命の大切さを教えてほしい」と依頼がきたのです。
数年前に学校で悲しい事件があり、子どもたちに命の大切さを伝えてほしいとのこと。私に何かできることはないだろうかとずっと思っていたので「はい、やらせていただきます」と二つ返事でお受けしましたが、さてどうしよう・・全校生徒に命の大切さを伝える・・重要な任務を受けてしまったと思いました。
子どもたちが前向きになれる話をしなくては!と意気込むのと同時に、役に立たなかったらどうしようと不安になります。指示をしてくれるリーダーもいません。「信頼を失うことだけはしたくない!」「どうしたら信頼を得られるのだろう」・・・。
「信頼」は私の原動力である一方で、不安も作り出します。大変な仕事を受けてしまったなぁと思いました。

そこでまず、中学生に何を伝えたいのか、自分を落ち着かせて考えました。私がいちばん伝えたい軸は、「人それぞれでいいんだよ」ということ。どんな人を好きになるのか、自分がどんな性として生きていくのか、それも自分で選んでいいんだよということです。趣味や物事の捉え方や好みもそれぞれあってよくて、お互いに尊重できたらいいよね、ということを伝えようと決めました。

ところが準備のために資料を作っていると、苦手なパソコン作業に時間ばかりが過ぎていき、かつ、ほかの仕事の忙しさに忙殺されてくると、段々と自分に余裕がなくなってきて眉間に皺が寄ってきます。持ち時間の制限があるのに、あれもこれも伝えなくてはいけないような気がしてきて、何をいちばん伝えたいのかが見えなくなっていきました。そしてそれがまた不安を煽ります。
それがどんな感覚なのかというと、話したい軸は丸い水晶で、きれいな水の中できらきら輝いているようなイメージとしましょう。それが、うまくできないパソコン作業や普段の雑踏に揉まれているうちに、水がどんどん濁ってきて、真ん中に水晶があるはずなのに見えない・・そんな感じです。水晶は存在しているのに見えなくなってきます。伝えたい軸から外れて、あれもこれも伝えなきゃいけないような気がしてくるのです。

さあどうしよう。当日までの時間もない。どうにかしなきゃ・・というときに何をするか。そんなときの行動パターンも顧みました。
私はいろんな人に話すのです。「こういう流れでこういうパワポにしようと思うんだけどどう思う?」「こう伝えたとしたら意味わかる?」などなど。そして、自分から散々聞いたわりには、そのアドバイス以上に、「大丈夫だよ」の一言で不安が払拭されます。
なぜかというと、誰かに不安を吐露するとき、すでに思いや話したい軸は決まっていて、そこに「OK!」と言ってもらえたから。信頼されて背中を押してもらった感覚です。

あれもこれも伝えなきゃいけないように感じていたのは、不安からくるものだったのかもしれません。その不安を手放すと、濁り水が消えてキラキラ水晶が見えてきました。話したい軸が太くなり、信頼を得られるように伝える自信に繋がっていきました。その結果、本当に伝えたいことに絞り込んでお話しすることができました。
うなずきながら聴いてくれた中学生。またお願いしますと仰ってくださった校長先生。相手に力強いメッセージとして届けることができ、信頼していただいたことがとても嬉しかったですし、やって良かったと思いました。

信頼を得ることは私の原動力になることもあれば、不安の源になることでもありますが、そのどちらも私の思考パターンです。どちらに傾くかを左右するものは、自分を信じる度合いによるのかもしれません。
ネガティブな不安の感情になったときほど、自分の思考パターンを顧みることで「いつもの私」と受け入れて、自分を信じてみる。それが、ポジティブな原動力に変えていく私の方法なんだと、今回学ばせてもらいました。

ではこのへんで、田中さんにタスキをお渡しします。
千葉県/小林由美子

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