ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

ターニングポイント


兵庫の羽木です。
田中さんのお話を読んで、ついこの間もアドバイスをしようとして「ママは聴いてくれるだけでいいの!」と娘にたしなめられたことを思い出して、「ただただ聴こう」と気持ちを新たにしました。

今回は、子どものことで悩んだ時のことについて話してみたいと思います。私は子どもの思春期に悩んで、ハートフルコーチ養成講座に通いました。ここでの学びや気づきは語りつくせない程ありますが、そのなかでも、子どもが変わっていったターニングポイントだなと感じていることを書いてみようと思います。

私は、『子どもの心のコーチング』の本を読んで、自分が目の前のことしか見えていないことを思い知りました。「目標は未来に置いて、子どもに生きる力をつけてやる必要がある」。そのための対応ができていませんでした。
特に下の息子には手出し口出しが多く、構いすぎな子育てをしていました。中学生になっていろいろ問題を感じるようになると、何とかしなければとうるさく責め立てていました。そうなると、悪循環。息子の状態も家の雰囲気も更に悪くなり、もうどうしていいかわからなくなっていました。
講座に通い始めてからは、息子との距離をおき、できていないと感じていたことをやるべくいろんな努力をしていたのですが、すぐには負のスパイラルは抜け出せませんでした。

そんな時に、講座を学ぶなかで、本を読んだだけでは思いもしなかった、私ができていなかったことに、気づきました。「子どもをできる人として扱う」ということです。できる、価値のある者と扱えば、おのずとできる人となり、出来ない扱いをしていたらそのようになっていくというお話もしてくださいました。

それを聞いて、小さな頃からの息子の扱い方に思いを馳せてみました。
息子は、早生まれでチビでやせっぽち、泣き虫で何をするのもゆっくりでマイペース。お姉ちゃんは活発で察しが良く、弟の世話もよくしてくれました。思えば小さな頃から私は上の子を頼りにし、娘は世話を焼く人、息子は焼かれる人という構図ができていました。
確かに無意識ながら、言葉がけひとつとっても、できる人とできない人への言葉がけは違います。親の言葉がけや扱い方が、子どもに、「自分はこんな人間だ」というセルフイメージを作っていくという話に深い後悔が走りました。こんなに大切に思っているのに、私はできないマイナスのメッセージを息子に浴びせ続けていたのかもしれません。
普段から、「遅いなあ!早くして!」を連発し、ママ友の前でも「もう、泣き虫でね〜」とか「何するのも遅いの、ごめんね〜」など、へりくだって言うつもりの言葉を息子の前でも言っていたと猛省。考えてみれば、構いすぎもできない人扱いなわけです。

そして、「小さな時だけではない。今はもっとそうだ。私は問題のある息子と思っている」ということに気づいて呆然。
この親は自分を問題だと思っていると感じているから、「どうせ俺なんか」という言葉もでるのだろうし、そんな風に思っている親の話など聞きたくもないはず。親がかける言葉、扱い方の積み重ねで、自己肯定感もやる気も違ってくるに違いない。

でも・・・当時の息子をどうやって、できる人と思うのだろうと、途方にくれました。どうひいき目にみてもそうは思えない状態でした。
それを講師の菅原さんに言うと、「問題のある子どもはいない。そう思う親がいるだけ」と返されました。「え〜!これのどこが問題じゃないというのだろう。」と、しばらく悩みました。

でも、とにかくやってみると決めました。私の中の息子への意識、「問題のある息子」を変えるのです。最初は無理矢理でした。意識して「息子は頭も悪くない。まだ、16才。これからいくらだって可能性のある子だ」、そう思うことにしたのです。

無理矢理にでも、「問題のある息子」ではなく「できる人」として扱うと、自然と私から発する言葉も変わってきます。まずは、私の背後から出ていたと思われる(笑)「これから一体どうするの? また、そんなことやっているの!」という無言の圧力がなくなりました。そして、「おはよう。体調はどう?」などの明るく挨拶することから始めていくと、責めるような言葉やマイナスの言葉が減りました。
すると息子の目からとげとげしたものが少しずつ減っていくように感じられました。次第に家の中が明るくなり、3か月くらいたったころからか、息子が少しずつ変わり始めました。少しですが、自分を良くしようとする行動が見えました。筋トレを始めたのです。投げやりで身なりもどうでもよく、何もやる気がないように見えていたのに、嬉しい変化です。私は息子の表情がどんどん良くなっていくのがうれしく、”できる人”として接することをやり続けることができました

半年くらいで、少しずつ会話が増え、なんと少しですが勉強も始めました。そんななかで信頼関係が回復してきたのを感じて、学んだコーチングを試してみました。
コーチングは信頼関係の下、相手をできると捉えて、コーチの意見は入れずに、どうなりたいかを聞いていきます。これからどうしたいのかを、話してくれました。この頃には無理矢理じゃなくても、息子を信頼できるようになっていたと思います。
1年後には自分で将来を考えるようになり、大学にいくことを決めて、自分からゲームをやめ、マンガ本を私に預け、予備校に行き始めました。そこからは、学んだように、気持ちを受け止めながら、口出しせず見守ることを実行するだけでいろんなことが好転していき、自分で人生を良い方向に変えていきました。
「息子を信じてよかった。息子は問題じゃないし、どうでもいいと思っていたわけじゃなかった。」心から、そう思いました。

「問題のある子どもはいない。そう思う親がいるだけ」。
この言葉、すぐには受け入れられず、理解できませんでしたが、身をもって体感したわけです。私が問題だと思い続けている限り、彼はあのままだったかもしれません。
子どもはみな、本来力を持っている。外的な要因やさまざまな理由で道に迷い込むことはあるけど、親が、子どもをできる人として扱い、信じて任せてやれば、自分で考え、幸せに通じる道を選んで頑張る力を持っているということなんだと感じています。
「出来る人として扱うこと」。子どもが、親に信頼され愛されていると感じるために、気が付きにくいけど、とても大切なことだと思わされた経験でした。

最後に、これを書きながら、頭によぎること。それは、自分をできる人として扱うこと。「私なんて」が自分の中にもあって、自信がなく一歩踏み出せないところがあります。自分をできる人として扱うこと。難しいけど考えてみたい課題です。
では、今回はこの辺でタスキを山本さんに繋ぎたいと思います。

兵庫県/羽木絵里 




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