ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

優しさとは・・・


東京の山田です。
本藤さんのご自身への手紙、そして「当たり前ということは何ひとつない」という言葉に私も今の自分を大切にしていきたいと改めて思いました。

さて、私は長男(中1)、次男(小1)の6歳差兄弟を育てる母です。そんな私の最近の息抜きといえば、コミック漫画を読むことです。本来ならドラマや映画もゆっくり一人で楽しみたいのですが、今の状況においては自分の世界にどっぷり浸かることもなかなか難しい。その点、漫画は場所や時間を選ばず便利。特に今はスマホアプリの無料版でも気軽に色々なジャンルの漫画が読めるので、自分の隙間時間で楽しむことができています。

最近もTVドラマ化で話題になっている原作漫画を、ちょっとした時間で夢中になって読みました。
主人公が事件に巻き込まれるたびに独特な蘊蓄を長々と語り、その語りによって事件が解決に向かうこともあれば、行き詰まっている人の心が救われるたりもする・・といった内容です。そんな漫画の世界ですが、私の感情が大きく揺さぶられる瞬間がありました。あるストーリーの中で主人公が次のようなエピソードを語った時です。

【父親を集めてある実験をしたそうです。簡単な計算問題か何かのペーパーを渡して1時間以内に解けと。そんなのはカンタンじゃん・・とやり始めたところに、数分おきに電話をかけたり、話しかけたり主催者側がジャマをするのだそうです。父親たちはだんだんイライラしてくる。結局誰も時間内に全問を解くことはできずに父親たちは怒り出した。「こんなにジャマされたら何もできない」そこで主催者が言ったそうです。「これが」「子育てをする母親たちの毎日なのです」達成感を味わえないその苦しみ。父親たちは黙ったそうです】

このエピソードはネット上でも子育てにまつわる興味深い話として取り上げられていたようです。実際は架空の実験のようですが、「わっ、まさに私が夫に言いたかったことだ・・」とかなり共感しました。そして自分では言葉にできなかった心の奥を承認してもらったような衝撃と安堵感を感じました。

母親となってからは、自分のことよりも子どものことが優先となっていくこと、それは当たり前のようにも感じてきました。簡単な家事でも思うように捗らない、今日こそは!と思っていたのに、気がつくとあっという間に一日が過ぎていく。その気持ちを共有したいのに「なんで、そんなに疲れているの?」「なんで、そんなにイライラしているの?」と無神経に聞いてくる夫の一言があり得ない。闇雲にあたり散らしたあと、ふと我に返り感じる虚無感や罪悪感。自分でも「なんでこうなるの・・」と言葉にならない感情だけが消化しきれずに残るのです。

本当なら夫婦で協力して子育てをしていきたい、家族みんなで仲良く過ごしたい。そんな思いが私の中には強くあるのだと思います。それなのに、どれだけ頑張っても、どう伝えてみてもわかってはもらえない・・そんな私の感情の糸がプツンと切れた瞬間、夫に期待するのも、理解を求めるのも諦めはじめました。

そうなると一緒の空間にいても動きはバラバラ、会話を交わす数も減っていきます。そんな状況のなかで次男から「お母さんとお父さんは仲が悪いの?」と唐突に聞かれ、思わず返答に困りました。
「仲が悪そうに見える?」と返すと「あんまり仲良しとはいえないね・・」
「(次男)とお母さんは仲良しなのにね・・」
「だってさ、僕とお母さんの間には優しさがあるからね!」
と、何とも的を射た言葉。
次男のいう優しさとは・・相手を思いやる気持ちや純粋に何かをしてあげたいと思う気持ち。そして自分のしてあげたいという気持ちと相手のしてほしい、嬉しい、助かったという気持ちが重なり合うこと。その点においては、今の私と夫は優しさが重なり合わないことが多いのかもしれません。
そんな話を今度は長男としてみました。すると、「仕方ないよね。お父さんとお母さんの優しさはそれぞれ違うしね・・」とこれまたサラリと言われました。

確かに夫も私もそれぞれに子どもたちを思う気持ちはあるのです。しかし「親ならば子育てに対して同じ価値観を共有するべき」という私の中での捉われが、夫の言動の全てを否定しているのかもしれません。そしてその否定こそが私自身を苦しめ気持ちを頑なにさせていた気もします。
夫の無神経な言葉、許せないと思う行動、そしてそれが息子たちに悪い影響を与えているに違いないという勝手な思い込み。どれもが自分の価値観を正当化したいという私の枠の中で起こっていることです。ならば、その捉われを一度外してみることで私自身の在り方も変わってくるのかもしれません。

思えば私一人の価値観で子どもたちが成長してきたわけでもないのです。
今回のこの執筆を通して、私と違う価値観を持つ夫の優しさを認めることはできない、という何とも頑なな感情にもそっと寄り添うことができました。そんな自分への優しさも相手の優しさを受け入れる一歩へと変わってくる・・そんなふうにも思えてきました。

それでは、この辺で最後のタスキを小林さんに繋ぎます。

東京都/やまだゆか  






No. PASS