ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

今この瞬間を楽しむこと


埼玉の岩田です。

安村さんが自分の気持ちよりも、先輩の気持ちを優先できたその勇気を見習いたいと思いました。そしてすぐに答えを出さず、娘のヘルプにいろいろと考えてくださったお母さんの存在は、その勇気を後押ししてくれたように思いました。

次女は、今年高校3年生になります。
コロナ禍で入学した彼女は、想像していた高校生活とのギャップから、次第に愚痴や不満を漏らすようになりました。もともと朝起きることが苦手な彼女は遅刻も増え、自転車で通うはずが、いつの間にか車での送迎に代わっていきました。

私には、自分で選んだ学校なのだから朝が早いことも知っていたことだし、頑張ってほしいという思いが強くありました。行きの車の中で「ママにはコロナで何ひとつ楽しめない、私の気持ちが分からないでしょ」と泣いて訴える彼女に、自分のやるべきことをちゃんとやってほしいということを、伝えていたように思います。
その後も朝の身支度で私が怒り、彼女が言い訳をするというやりとりを繰り返し、2年生になったある日のことです彼女は駅まで自転車で行けなくなった自分がダメ、お弁当も作れない自分もダメ、なんでも私に頼ってしまう自分はダメなんじゃないかと思っていると話してくれました。
入学前から私は、彼女がなんでも自分で出来るように「自立すること」をよく口にしていました。そして高校を卒業するまでには、朝起きてお弁当を作って、学校まで親の手を借りずに行ってほしいという願いを持っていました。でも、彼女の様子を見ていると、全て任せることで、辛い思いをさせてしまうのではないかと感じていました。

そんなある日、お弁当を自分で作ると言い出しました。買い物をして帰ってきて、翌日お弁当を詰めて持っていきました。ところが私は黙って見ていられず、その翌日には彼女のそばに行っては手を出していました。すると「ママは私に自立してほしくないんでしょ?」と言われてしまいました。
何となく「自立してほしくない」ということが頭の片隅にあったような気がしましたが、彼女に言われて確信に変わりました。いつまでも自分を頼っていて欲しい、しかし親なんだから教えてあげなければいけない、このままでは何も出来ない大人になってしまうのではないかと漠然とした不安との葛藤の中にいたのでした。
本当は彼女が自分でできるようになってしまったら今のこのやりとりが出来なくなってしまいさみしい。駅までの車内での会話は私のダメ出しではありましたが、それでも彼女と話せることがとても楽しくて仕方がないことに気付きました。

彼女が遅刻するかもしれないのに、私は楽しい。自分でやろうとしている彼女の足を引っ張るような自分の行動ですが、その素直な気持ちを彼女に伝えてみました。
「ママはこの時間がすごく楽しい!本当は自立してほしくないな。話してると楽しいんだもん」
彼女は嬉しそうに笑いました。そして彼女も「ママのせいにしているけど、やらなきゃいけないことは分かってるよ」と話してくれました。
それからは、車の中では楽しく会話が弾み、私は時間を気にすることをやめ彼女を心配することをやめました。

その時、私が望んでいたことがハッキリしました。彼女には笑顔でいて欲しい・・・。
ずっとそう思っていたはずなのに、頼まれてもいないお弁当を作った後で「いつまでこれを私がやるの?」「一人暮らしできないよ」などと言っていました。子どもに辛い体験させることが怖かったのです。傷ついて泣いて悲しむ姿を見るのがとても辛いと思っていました。
私の言葉を彼女が、「自転車で行けなくなったあなたがダメ、お弁当も作れないあなたもダメ、なんでも私に頼ってしまうあなたはダメ」と受け取ったのは、当然のことでした。

私が彼女に笑顔でいて欲しいと強く願うようになったのは、彼女が小学校2年生の時でした。長女が不登校になり、それに引きずられるように彼女が疲れを訴え始めました。私は彼女まで学校に行けなくなっては、学校との繋がりが切れてしまう・・・長女がいつでも学校に戻れるように長女のためにも頑張って学校へ行ってほしいと頼んだことがありました。
彼女は、不満を訴えながらも学校へ通い続けました。彼女が本当は疲れていたのに休めなかった、そしてそれを私が受け入れてこなかったことを、心のどこかで申し訳ないなと思っていました。

しかしこれからは「今を楽しむ」ことを選ぼうと思いました。可愛くて仕方がない彼女との時間を大切にできたら、私は後悔がありません。
「今を楽しむ」と決めたら、自立のことや彼女が自分のやり方や自分のペースでやることが気にならなくなりました。それまでは、私が朝の身支度に気が重く、やってあげているんだからあなたも頑張ってという気持ちだったのですが、彼女が今何に困っているのかを聴くことができるようになり、心から応援したいという気持ちに変わりました。
その後、彼女の口から「最近は疲れなくなった」という言葉が出てきました。今まで疲れていたけど頑張ろうとしていたんだと、その時初めて知りました。

不思議なのですが、つい最近では彼女は自分で起きられるようになり、準備も間に合うようになりました。駅まですんなり着いてしまった時、彼女は驚き、「あれ〜?今日早いね」と言いました。
「ゲームに例えたら、なんの苦労もなくゲームクリアしてしまうような感じだよね」という私の発言に彼女はウンウンと頷き、「今までは、スリルを味わいたかったみたいだね」と言いました。
寝坊して急いで準備して慌てて出掛け、信号待ちでイライラしていた時とは違い、何も起こらないということが、なんと味気ないことかと感慨深いものを感じながら彼女を駅で降ろし、家に帰りました。

楽しい彼女との時間を味わいながらあと少しの高校生活が楽しめるようにサポートしていけたらいいなと思います。
ここで、次の渡海さんにバトンを渡そうと思います。

埼玉県/岩田元子 






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