ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

カレーにするか、にんじんにするか


千葉の小林です。
ご主人の一言を真摯に受け止め、息子さんへの対応を変えられたチャウさん。本心を伝えることって、できているようでできていなかったことに私も気付かされました。チャウさんの素直さも真似したいと思いました。

さて、今日は、もうすぐ成人(18歳)を迎える娘が3歳の頃の思い出を振り返ってみたいと思います。
今の私の楽しみは、娘とスーパーで献立を考えながら買い物をすることなのですが、15年前は買い物恐怖症になっていたことがあります。

当時3歳の娘。買いたいお菓子があると、泣いて訴えます。「今日は買わないよ」と言うと、スーパーの床にひっくり返って泣くのです。大声で。
抱っこしようとすると、全身の力を抜いて拒否するので、重くて持ち上がりません。知らんぷりして買い物を続けていると、お店に響き渡る声で泣き叫びます。一緒に連れて行った、2歳上のお兄ちゃんがなだめようとしても泣き止まず、周りから白い目で見られていたと思います(怒りで覚えていませんが、きっとそうに違いないです)。スーパーのど真ん中で、私も叫びます。
「いい加減にして!!」

冷静に買い物ができなくて、途中で商品を棚に戻し、家に帰ります。そしてまた声を荒げます。「そんなに泣いていたら買い物ができないでしょ!」と。そして、感情のコントロールができない自分を責め、娘をコントロールできない自分が情けなく、お腹を空かせたお兄ちゃんに申し訳なく、私は泣いていました。
一緒に買い物に行くからこういうことになるんだ・・と一人で行くことにしましたが、保育園のお迎えに間に合わないこともあり、渋々3人で買い物をせざる得ないこともありました。すると、毎回決まって落ち込みながら帰路につくのです。力でぶつかってくる娘と、感情を抑えきれない私とのせめぎ合いです。

そんなとき、ハートフルに出会い、3歳といえども選択をさせてみることを知りました。
3歳にそんなことができるのだろうかと半信半疑でした。そして、いつもイライラしている自分が冷静にやれるのだろうかと不安でした。でも、子どもと楽しく過ごしたい!そんな思いが強かったので、すぐに試してみようと思いました。買い物恐怖症を一日でも早く脱したかったのです。

まず、買い物に行く前に冷蔵庫の中身を見せました。空っぽの様子をみせたほうが、買い物をしないとごはんがないということが娘に伝わるだろうと思ったからです。「今日はおいしいカレーを作りたいから、じゃがいもとお肉と玉ねぎを買いたいの。でも、途中であなたが泣いてしまうと周りのお客さんにも迷惑をかけてしまうから、お買い物は途中でおしまい。そしたら冷蔵庫にあるにんじんしかおかずがないよ。おいしいカレーにする? にんじんだけにする? どっちか選んで」と娘に聞きました。
そして、私が「もちろんカレーだよね」なんていうプレッシャーを少しでも見せたら失敗だと思ったので、極力明るく、「どっちでもいいのよ、あなたが選んでいいのよ」という雰囲気を出すように心がけました。
すると、すぐに「カレーにする」と娘。「よしよし」と私は心の中でガッツポーズ。もうひとつ、娘に聞いてみました。
「そのためにはスーパーでどうしようか?」
娘は、「静かに買い物する」と言ったのです。

今言ったことを忘れないうちに!! 家からスーパーまで急いで移動をしたのを覚えています。その道中、本当に静かに買い物をすることが実現するのだろうか、とまだ半信半疑でした。そんな不安を悟られてはいけない。とにかく余裕の態度でいよう、娘ならできるよ、そう信じていこうと決め、スーパーに乗り込みます。
「今日はおいしいカレーにするよ」と最後の念押しのつもりで笑って話しかけると、「うん!」と娘。

ちゃんとできたのです。カゴにジャガイモとお肉、玉ねぎを入れて、いつもは辿り着かないレジに到着。レジのお姉さんに娘と二人でにっこりと「おねがいします!」
奇跡が起きたと思いました。静かに買い物ができてすごく助かったよと伝えました。
そのときに駐車場に他の人が置きっぱなしにしていたカートがあり、これもお片付けしちゃおう!と言って、娘が自ら片付けをしてくれました。それも本当に嬉しくて、あちこちに放置されているカートを片付けてまわりました。泣かずに買い物をしたうえに、お店の人のお手伝いまでできたねと、満足して家に帰り、約束のおいしいカレーを食べました。
あんなに悩んで半信半疑だったけど、私もこんな子育てができるんだ!と思いました。子育てって面白いなとこのとき感じたのを覚えています。

あれから15年経った今、一緒に買い物をして、娘が重い荷物を持ってくれたり、今でも誰かが使ったカートを片付けながら「使いっぱなしで片づけないとかあり得ないわ〜」と言っている娘を見ていると、微笑ましくなります。
そして、娘と同じように床にひっくり返って泣いているお子さんを時々見かけると、「お母さんは大変だね」とお母さんに同情している娘に、「あなたもそうだったわよ〜」と苦笑い。そんな会話が繰り広げられます。

私が感情をぶつけながら娘に伝えても何も伝わらなくて、娘が自分の意思で選択をして言葉に出したことは、ちゃんと守れるということ、たかだか3歳でもできることなんだと、もっと早く知っていたらあんなに悩まなかったのにと思いました。
言うことをきかせようとコントロールしようとするからうまくいかなかったんだと、目から鱗だったのを昨日のことのように思い出します。

人から言われたことではなく、自分で決めたことはきっと行動に移すことができるのでしょうね。これは大人も子どもも同じなんだろうと思います。買い物のときは静かにしていてね、と言うだけでは伝わらず、空っぽの冷蔵庫の中身をみせて、買い物ができないと困ってしまうと伝えると、子どもなりにそれはまずいと考えたのだと思います。考えた結果、「静かにする」という結論を本人が出しました。

人に言われてやることは、いやいやだったり続かなかったりするものなのかもしれないです。私自身も、勉強しなさいと言われるとやる気が出ませんが、ひどい点数を取ってまずいなぁと思ってから人並みにやるようになった経験があります。まずいなぁと自分で気付くまでは、なかなかやる気は出ないものでした。娘の場合、それを気付かせるきっかけが、カレーにするか、にんじんにするかを選ぶという提案だったのだと思います。
どういうふうに言うことを聞かせるかより、どんな選択肢を出そうかを考えるほうが、親のほうも楽しいかもしれません。

私の子育ても終盤に差し掛かってきたからなのか、子どもたちが幼少時の頃を思い出すことが増えました。ちょっぴり寂しくもあり、嬉しくもあります。だから、一緒に買い物にいく時間がなんだかとても愛おしいのかもしれません。「自分で選択をする」。子どもも私も、そんな生き方ができたらいいなと思います。

それでは、このへんで田中さんにバトンをお繋ぎします。

千葉県/小林由美子 

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2022年06月20日(月) No.571 (日記)

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