ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

思春期男子の涙


★★★ 第11回 オンライン・ホッとカフェのご案内 ★★★
【日時】2022年8月27日(土)10〜12時
【参加費】無料
【方法】オンライン(ZOOMを使用します)
【お申し込み】
https://ssl.form-mailer.jp/fms/cfefe9db748100

ある日の泣き笑い日記を題材に語り合う、季節ごとの恒例「オンライン・ホッとカフェ」。
夏のカフェで話題にするのは、子どもに声を荒げ、自己嫌悪に陥った日々を振り返った 「カレーにするか、にんじんにするか」です。
この日記を読んで感じたことや知りたくなったことがある方、
子育てや自己成長のヒントを探している方、
ふと立ち止まって、ひと息入れたい方。
お気軽にお立ち寄りください。
菅原裕子と執筆コーチたちがお待ちしています。
★★★

兵庫の渡海です。
岩田さんと、お母様とのエピソードに、親は子どもになんと影響を与えるのか。親と子どもの境界を大切にしたいと思いました。

今回は思春期真っ只中、高校2年生息子の涙と、葛藤について綴ってみようと思います。

小学5年から中学3年まで不適応を繰り返し、七年間学校生活を安定して送れなかった息子が、自ら選択した希望の高専・機械科に昨春入学し2年生となりました。それまでの不安定な生活が嘘のように、自分の足で自分の人生を爽やかに軽やかに歩き出した姿に、親として彼の成長を眩しく頼もしく思えた高校一年目が終わりました。

彼の通う高等専門学校は、実践的・創造的技術者を養成することを目的とした、5年一貫教育の高等教育機関です。とても自由な校風で、校則もほぼ無いに等しく、制服、髪型、髪の色、ピアス、携帯電話の使用、ゲーム機の持ち込み、バイトまで、全て自由です。
その代わり、進級基準が厳格に定められています。レポート提出が半端なく多く、プラス年度末の成績で60点以下の赤点が3つ以上か、40点以下の教科が一つでもあれば、即留年です。そのため、入学時に、2年目の先輩が同級生だったり、同級生が下級生になったり、退学していく友達がいることが、普通の学校です。
入学に際して「君たちは生徒ではなく、“学生“です。自分のことは自分で管理しなければなりません」と彼らは何度も伝えられ、親に対しても「カリキュラムが厳しいので生活習慣を整えてください。朝起きる時間は今日から一定に。本人が自覚を持って生活習慣を作って行くこと。親は起こしたり、手を貸さないで本人の責任でお願いします」と強く言われました。自由の裏にある責任を、親子ともに、緊張感を持って感じた入学でした。

中学校時代、精神的に不安定な上、起立性調節障害に苦しむ彼を見ていたので、家の近くの学業的にも不安の無い普通科という選択では無く、通学に時間がかかる上に学業が難しくなる高専に本当について行けるのか?安定して通えるのか?と不安と心配の一年間でもありました。彼が留年なく余裕を持って進級出来た時は、ほっと一安心し、「もう大丈夫かも」と慢心していたのかも知れません。

2ヶ月前の、2年生前期試験後のある朝。
「涙が止まらん。どうしよう。寝られへんかった・・・」
と、泣き腫らした目で起きてきました。ポロポロと涙を流し続ける彼を前に、私は必死に平静を装いながら、“やっぱりきたか、、“と心臓をギュッと掴まれたかのように身体が固まり、次々に溢れる彼の涙を見つめることしかできませんでした。

その頃は、よく登校途中に貧血を起こしたり、頭が痛いから今日は休む、という日が何回かあった時期。「ごめん、今日はしんどくて食べられへんかってん」と半分以上残った弁当箱を出す日が増え、比例するようにオンラインゲームに向かう時間が増えていく様子に“まさか・・また?!“と嫌な予感から、彼の様子が気になって気になって仕方なく、そっと部屋のそばに行っては耳をそば立てたりしていました。2年生に進級してから、授業数、レポート数・試験科目や授業時間が増え、日に日に疲れていく息子の様子を見て、心がゾワゾワする感覚が続いていた頃です。

「授業が多すぎてしんどいし、テスト結果も散々やった。体調も悪いし、どうすれば良いか分からんし、めっちゃ不安。これからのことを思うと、寝られへんねん・・」と、独り言のような小さな声で、でも私の目を見てポツリポツリと、彼は話します。

彼の辛く弱っている姿・苦しそうな姿を前にしたこの瞬間、私は、彼の心に同化して心を抉られるように苦しくなったのと同時に、まず第一に心に浮かんだことは、自分でも意外なことでした。

「辛い時に、本当の姿を隠さず“ありのまま“のあなたの姿を、見せてくれてありがとう」

なぜなら、以前の私にだったら、彼はここまでの“ありのままの姿“を見せようとはしなかったでしょうから。7年間、彼を信じようと思い、“ありのままの姿“を見る為に私の気持ちは横に置いて一歩引いて対応し、彼の心に寄り添いたいとひたすら願った私にだから、自分を癒すために彼は今、私と同じ空間に居ようとし、そして話そうとしているんだと感じました。自分の内面をさらけ出し、自分の弱い姿・辛い姿をありのままに彼は私に見せ、受け入れて貰うことで、自分で自分を受け入れ、自分の足で進むために、私に背中を推してもらいに来ているんだと感じました。

その後、彼は、ひと通り自分の置かれている辛い状況や、体調の悪さ、試験の惨憺たる結果を話した後、「ゲームやりすぎやったな、預かって。で、個別塾行くわ。後、青汁も飲む(笑)、でも目が赤すぎて恥ずかしいから今日だけ学校休ませて。明日から頑張る」と、自分で答えを出して、ゲーム機を私に渡し、前向きに勉強を始めました。

答えは自分が持っている。責任を知った子どもは、自らの足で歩んでいける。ハートフルコミュニケーションで学んだことが、今目の前で現実の行動として現れている。そして、私も息子も成長している。と思えた瞬間でした。

今日も、「授業きついわぁ」と言いながら自分でなんとか時間のやりくりをし、転がるように元気に玄関を飛び出ていく彼の後ろ姿に、「いってらっしゃーい」と言えることに感謝し、
“頑張れ! 思春期男子!“と、心の中で全力でエールを送る私です。

では、この辺で、落合さんにバトンを繋ぎたいと思います。

兵庫県/渡海恵子 



2022年08月08日(月) No.579 (日記)

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