ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

水の恐怖克服!


落合さんが、自分の思いに執着するのをやめて愛猫ちゃんたちの思いに寄り添い始めたあたりから心が通い始めたエピソードを読んで、変えることができるのは本当に自分自身だけなんだなと改めて思いました。
カナダのチャウです。

夏休み真っ只中、こちらカナダのオンタリオ州でも8月は蒸し暑くなります。庭にプールのあるお宅も多く、9歳の娘はこれまでもよく夏休みにお友達の家のプールに誘われていました。しかし水が怖いので、いつも行くのを渋っていました。
ところが、この夏ようやく水恐怖を克服できたようで、本人も嬉しそうですが、私も同じくらいホッとしています。今日はその経緯を書いてみようと思います。

娘は4歳の頃、お兄ちゃんたちの通う近所のスイミングレッスンに通い始めました。最初は水が怖かった二人のお兄ちゃんたちも娘と同じ年齢から水泳教室に通い始め、6歳頃には水に慣れて25mプールで泳げるようになったので、私は娘もそうなるだろうと漠然と思っていました。

ところが私の予想は外れ、集団でのプール教室は他の子がばた足すると顔に水がバシャーっとかかるから嫌! プールサイドからドボンと飛び込むのが嫌! などの理由で、半年ほどで辞めました。

それでも夏の暑いときにはプールに行きたいというので、水泳教室を辞めた後も、レジャーとして家族でプール遊びに連れて行っていました。
娘はライフジャケットをつけるのを嫌がり、常に私の手の届く範囲で水に入っていましたが、ある時私が目を離した瞬間に鼻まで水にドボッと入ったことが恐怖体験となってしまい、その後プールに入る時はいつも私に抱っこちゃん人形のようにくっつき、緊張して身体に力が入っている様子でした。

娘はマラソンや鉄棒やモンキーバーなど運動は得意で負けず嫌い。ピアノでも勉強でもなんでも一生懸命に取り組むタイプ。なのでプールに苦手意識をもっていることや、怖くてできないと認めたくないために、水が顔にかかると「あの子がバシャッとやったから」とか「ママがちゃんと支えてなかったから」とか、すぐ周りの人のせいにして機嫌が悪くなっていました。

よその子どもたちが、水の中を逆立ちしたり、滑り台から飛び込んだりしてキャーキャー楽しんでいるのを見ると、内心私は「あーあ、なんでうちの娘はこんなに水が怖いんだろう? 早く水に慣れてくれたらいいのに」とモヤモヤしました。
お風呂に入るときに顔をつける練習を提案してみましたが、一向に顔に水がかかるのを嫌がるのは変わりませんでした。私も次第に「顔に水がかかったと不機嫌になる子供をだれがプールに連れていきたい?もう面倒くさいなぁ」とプールに連れて行くのが億劫になっていきました。

そんな折、パンデミックでプールは閉鎖され、疎遠になること2年以上が経った今夏のプール開き。先月7月、娘はクラスの仲良しさん8人で誕生会のプールパーティーにお呼ばれしました。そこでは、水深4mプールの上のジャンプ台から友人たちが次々と飛び込んだりしているなか、娘はプールの隅っこで見ているだけ。でもそんな娘を気遣って、交代で誰かがいつも一緒にいてくれたとのことでした。

お迎えの車の中で、娘は「パーティーは楽しかったけど、プールは足がつかないから・・・」と浮かない表情で言った後、「I want to know how to swim!」とはっきりした声で言いました。
その言葉に何かいつもと違う真剣さを感じて、私は「ようし、やろうか!」と答えていました。「泳げないままだと、お友だちと一緒に楽しめない。それは嫌だ。何とかしたい!」という彼女の思いをサポートできるのは、夫でも水泳教室の先生でもなく、私しかいないと感じました。しかもやる気になってる今がチャンスだと。

なぜこのように、私自身が娘に向き合う気持ちになったんだろうかと考えてみると、パンデミックの2年間にオンラインで学んだハートフルコミュニケーションとの出会いが大きかったと思います。これまでの子育てと自分自身を振り返る日々を過ごすうちに、プールの時だけでなく娘と過ごす時間、私がいかに心ここにあらずであったかを思い知りました。

カナダに来て5年目でようやく兄二人が小学校へ入学したのを機に就活を始めた頃に授かった娘に対して、私は仕事を通して社会と繋がれない自分の境遇が不満で、児童館のプレイグループなどに形だけは連れていっても、心がついていきませんでした。自分の本当にしたいこと、つまり社会に出て働くことは、娘のために当分我慢しなければならないと被害者意識になっていました。そして今思えば、顔には出さないようにしていても、娘はその不満を感じ取っていたのだと思います。何でも頑張ってしまうのは、「私を見て!」という心の表れだったのかもしれません。

この2年の間に、私は社会復帰ややりたい仕事のことばかりに乗っ取られていた思考を変えて、娘のニーズにちゃんと向き合えるようになりたいと思うようになっていきました。
そんなふうに私自身の気持ちの下地ができていた時に、車中で娘が言った言葉に私はピンと反応したのでした。

それからは、近所のプールへほぼ一日おきに出掛け、浅いところで顔を1秒だけ水につけるところから始まりました。1秒でも、「まったくつけられない」のとは大きな違いです。最初娘は自分でもできたことに驚いていました。
次に、水の中では鼻でフーンと息を吐くこと。これには数日かかりましたが、できたときの満面の笑顔が忘れられません。それができるようになったら水中ジャンケンしてみたり、私自身がゴーグルをつけて水中に潜って見せるようにしました。

頭まですっぽり水に潜った時、私は久しぶりに「水が冷たくて気持ちいい〜」と感じました。これまでコンタクトレンズやお化粧を言い訳にして随分長い間潜っていなかったことに気づきました。
考えてみると家族のレジャースイミングでは、「子どもが安全か見ていなきゃいけない」「水に慣れさせなくてはいけない」と義務感からプールに行くばかりで、自分が潜ったり、純粋に水遊びを楽しんでいませんでした。娘と一緒にいる時間を心から楽しもうとはしていませんでした。本当は「面倒くさい」と思いながら、娘のために付き合ってあげているのだと恩着せがましく思っていたことにも気づきました。

今回、行くたびに娘がどんどん水への抵抗がなくなるのが見られ、「また行きたい、次はいつ?」と楽しみにする様子に、お化粧が取れる体裁も気にならなくなるほど一緒に潜って泳ぎ、義務感はなく私自身の心は軽やかでした。毎回少しずつ何かができるようになり、娘はあれよあれよと言う間に、ばた足しながら15mほど顔をつけて泳げるようになりました。

娘の水恐怖を克服させようとしていたときには一向に効果がなかったのに、私自身が娘に関わる態度を変え、一緒に潜るのを楽しみ始めたとたんに、娘が自ら真似してトライし、その結果水に対する恐怖心が和らいでいったようでした。

子どものできなかったことが、できるようになるのを見られるのは大きな喜びです。今回の件で、泳げるようになりたいという娘の思いに気づけて、親として寄り添えてホッとしました。
子育てを通して体験する、うまく行かないことやモヤモヤすることのなかには、私自身がもっている抵抗感に気づいて手放し、子どもとの関わり方を変えることで、もっと軽やかに楽しく過ごせるようになるヒントがたくさん隠れているのかも知れないと思った、この夏の出来事でした。

娘は今夏、ばた足でまわりに水しぶきをお見舞いしたりされたりしても、全然平気になりました。娘のチャレンジする姿に励まされ、私自身もこの秋からカレッジとパートの二足のわらじ生活が始まります。二度とない「今ここ」を「この家族」と楽しみながら、私のカナダでのチャレンジはまだまだ続きそうです。

カナダ/チャウあつよ   



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2022年08月22日(月) No.581 (日記)

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