ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

こっちを向いてよ


大阪の安村です。
秋岡さんのお話から、子どもの習い事とその時のやり取りを反省しつつ、思い出しました。

私には、もう大人の息子が三人います。
上が高校生、真ん中が中学、一番下が小学校高学年の頃、息子達からの言葉で気付かされたことを書こうと思います。
場面は違うけれど、3人から同じように何度となく言われた言葉。
それは、「お母さんは、聞いてない!」です。子どもたちの話の内容は、学校の話や、ゲーム、友達の話など、様々。
聞き取れなくて、聞き返したりすると「お母さんは聞いてない!」とよく言われていました。

言われる度に、何を言ってるの!?
私は、一生懸命、聞こうと思っているし、聞いている。聞く気があるから聞き返したりするんじゃない!
そもそも、料理を作っていて換気扇を回している所で、急に話しかけられても全部を聞き取れる訳ないじゃん! と、子どもの話しかけてくるタイミングのせいにしたり、聞いているけれど聞き取れないことだってあるでしょ! と開き直ってみたり。
お母さんは聞いてないと言われても、自分としては、一生懸命聞いているという気持ちの方が強くて、子どもの言葉を真摯に受け止められてはいませんでした。
ただ、聞いてないと責められるのは、何だか嫌だし、どうにか出来ないかなとは思っていました。でも、どうしたらいいのか分からないまま、聞き返しては、「聞いてない!」と、文句を言われる状況が続いていたのです。

その頃、私はハートフルコミュニケーションのハートフルコーチ養成講座を受講していました。
講座の学びの中で、コミュニケーションに関することもありました。
言葉から伝わるものと、言葉以外の表情や、態度などから伝わるものがあるという話を聞いた時、ずっと、引っかかっていた「お母さんは聞いてない!」が何となく、頭に浮かんだのです。
表情や態度・・・・私はどうだったのだろう?

聞いているつもりではいたけれど、聞いていると、子どもたちが受け取れるような態度だっただろうか? そもそも、聞いてもらえていると思っていたら「聞いてない!」という言葉は返ってこなかったはず・・・。自分の態度を振り返ってみて、ようやく、これが原因かもしれないということを見つけました。
それは、ながら聞きでした。洗い物をしながら・・・、料理をしながら・・・、掃除をしながら・・・。

数年間で身に沁みついた習慣。
上の子が、小学1年の頃から、6,7年間、主人は単身赴任でワンオペ状態。日々の生活を滞りなく回すことは、私にとってやらなければならないことでした。
そのなかで、何かをしながら他のこともする。そういうスタンスが当たり前になっていて、子どもに話しかけられた時もそうしていたことに気付いたのです。

一生懸命、子どもの話に耳を傾けているつもりでした。
でも、子どもからは「お母さんは聞いてない!」と言われている。
私が聞こうとしていることが子どもに伝わり、子どもも、聞いてもらえた。と感じられるような聞き方をするために、何ができるだろう?と考えた時、聞こうとしていることをまずは態度で示そうと思いました。
ながら聞きをやめて、子どもが話しかけてきたら、手を止めてしっかり子どもの方を向いて聞こうと決め、実行したのです。

子どもが「お母さん・・・」と話し始めると、ちょっと待ってねと言って手を止め、できたら近くまで行って「何?」と聞く。
はじめのうちは意識してそうしていましたが、それが当たり前になった頃には、子どもたちから「お母さんは聞いてない!」の言葉は出なくなっていました。

聞いていないと言われていた頃は、ちょっとしたことですぐに子どもから文句を言われる、何だか子どもたちがトゲトゲしていると感じていました。
でも、聞く態度を変えてから、子ども達の気持ちが落ち着いたというか・・、なんとなく丸くなっていった感じがしています。
私が、聞き間違えても、「お母さん、今の言葉一文字も言ったことと合ってないんだけど‥(笑)」と、笑って流してくれるようになりました。

ながら聞きをしていた時のことを後から振り返ってみると、気持ちの10割を子どもに向けて話を聞いていると思っていましたが、実際は7、8割。残りの2、3割はその時やっていたことに向いていたと思います。
しっかり向き合って話を聞くようになってから、時には友達とのトラブルといった自分の困っていること辛いことの話もしてくれるようになりました。
それに対して実際に私が何かをすることはありませんでしたが、「何かあったら、いつでも言ってね。お母さんにできることがあれば何でもするよ。話してくれてありがとう」と伝えたこともあります。話した後、硬かった表情がほんの少しだけ穏やかになっていました。少しだけ気持ちを吐き出せ、自分が1人っきりではないと思えたのではないかと思います。

子どもに向き合ってちゃんと話を聞くことは、子どものことを受け止めている、大切に思っていることを態度で示すことになったのではないかと、子どもたちの変化から感じます。
手を止めて聞く、仕事を一旦ストップすることで、後で忙しくなるかもと思っていましたが、それで困ったということもありませんでした。仮に忙しくなっても、聞いていないと責められて落ち込むよりいいとも思います。
その時に、聞くのが難しいと思えば、子どもに向き合って「今、これをしなくてはならないから、後で聞かせて」と伝えると、一旦は、しっかり向き合って貰えたと感じられているからか、文句を言われることはありませんでした。時間の長さではなく、どう向き合おうとしているかが大切だったのだと思います。

子どもが聞いてもらえたと思える聞き方にたどり着くまで、しばらくかかりましたが、気付かせてもらって良かった。
話をちゃんと聞くことで、子どもたちといい関係を築けたと思います。

この辺りで、バトンを岩田さんにお渡しします。

大阪府/安村典子 






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