ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

ノー勉息子が猛勉強を始めたわけ


★★ ★ 第13回オンライン・ホッとカフェのご案内 ★★★
【日時】2023年2月26日(日)10〜12時 
【参加費】無料 
【方法】オンライン(ZOOMを使用します)
【お申し込み】
https://ssl.form-mailer.jp/fms/290b6c35765590

日記を読んで著者に訊きたくなったこと・みんなと話したくなったことを語り合う、季節ごとの恒例カフェ。冬カフェでは、習い事や塾への親の関わり方をテーマにした「習い事から考えること」を取り上げます。
子どもの希望をどこまで聴く? 親の意見をどう伝える? やめたいと言われたら?
ざっくばらんに語り合って、習い事に留まらず、あなたとお子さんとのコミュニケーションのヒントを持ち帰りませんか?
これまでの様子は、こちらでお読みいただけます。

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兵庫の羽木です。
軸は自分に置いて、自分が満足する人生を送る。私にはすでにそのように見えている田中さんのこれからに、心からのエールを送りたいと思います。

最後の投稿になります。今回は、息子の反抗期に悩み、自分と向き合うことになった私の奮闘記を書いてみたいと思います。

反抗期。中学受験をして入学した途端、息子は全く勉強をしなくなりました。目がとげとげしくなり、口をきかなくなり、態度も悪い。
可愛かったあの子はどこに? でも、よくある反抗期。そう思いながらも、「どうしてこの子は自分の幸せのために頑張らないんだろう。自分のことなのになぜ考えない!」と憤慨していました。

今思うと、中学受験には反省することもたくさんあり、息子は勉強どころじゃない、いろんな気持ちがあったんだろうなとわかるのですが、当時の私は「このままでは息子の将来が心配だ。やればできるはず。何とか勉強させなければ間に合わなくなる」「その態度は人としてどうなの?間違っている、私が正さなければ」と子どもと同じ土俵に乗り、目に見える子どもの態度や状態に反応し、私がこの子を何とかしなければと、うるさく責め立てていました。

しかし、反抗もノー勉もひどくなるばかり。そのうち、体調まで崩して勉強どころではなくなり、成績も落ちるところまで落ちて、チックまで出てきて、全てに投げやりになってしまった息子を前に号泣しました。大切な息子の人生がだめになっていく、このままではいけないと。でも、すっかり牙を抜かれた鬼ばばは、もう、どうしていいかわからなくなりました。悩んで『10代の子どもの心のコーチング』(菅原裕子 著)を読み、この人なら息子を何とかしてくれるのではと養成講座に菅原さんに会いに行きました。

行ってみると、変えるのは息子ではなく私。自分と向き合う時間になりました。
「子どもの人生は子どものもの。いつか一人で生きていく日のために子どもに生きる力をつけなくてはいけない。そのためには親は手出し口出しせずに、子どもが自分で考えて動くのを見守ることが大切」。親の在り方や子どもへの関わり方を学びました。私は、小さな頃から子どもを守りすぎてその経験をさせてこなかったこと、思春期になってもうるさく口出しして彼の領域を侵していたんだと思い知りました。

まずは、黙る。手出し口出ししないで、子どもが自分で考え、決めて、動くのを見守る。それから始めました。でも、実際にやるのは本当に難しい。家に帰れば目の前にいるのは、相変わらず暴言吐き、ゲームをしている息子です。腹も立つし、言いたいことがこみあげてくる。もう、勉強しろとは言わないと言いながら、私の背後からは「なんで勉強しないの」の責めるオーラが出ていたり、ついついいらぬ口出しをしてしまったり。「黙る」それだけのことが、まるで修行かのように難しかったのです。

養成講座は月1回、一年間。様々な学びと共に、1か月家で頑張ったことを報告して、菅原さんからアドバイスをいただける時間があります。そんな中、3回目の講座で、私の意識がまだいかに息子の毎日に貼りついているかを厳しく指摘されました。
そのおかげでやっと自分の姿が見えました。私の全部のエネルギーが息子の一挙手一投足に注がれているような、息子にとってはたまらなくウザい母親の姿がそこにありました。息子を守ろうとしたつもりが、そのやり方は間違っているとはっきりと見えて、ああ、息子をこんな状態にしたのは自分なんだ、とにかく離れる! 変わる! 何でもすると強く思いました。私の周りに張り巡らされていたガラスの覆いがパリーンと粉々に割れたのが見えた瞬間でした。

しばらくは息子から少し離れて何も言わずに静観しました。息子は相変わらず家にいるときは寝ているか、パソコンに向かっているかでしたが、身の回りのことも、何をやるかも息子に任せて、私は機嫌よく家事や勉強や自分のことをやりました。そして、以前のブログ、『ターニングポイント』で書いた、「子どもをできる人として扱うこと」の両方を、養成講座が終わってもやり続けました。
私は長年うるさく干渉してきたので、この親はもう自分の人生にうるさく干渉してこないという確信が持てるまでこの子の反抗は続くと思い、そうなるまで、とにかく学んだことをやり続けるしかない。いつになるのかわからないけれど、息子の変化を根気強く待とう、そう思っていました。

養成講座を修了した翌月くらいから、「あれ? トゲトゲしていた目が変わってきた。反抗期終わった?」となり、家の雰囲気がよくなってきました。3か月後から5年間ノー勉だった息子が急に猛勉強を始めました。
私がうるさく言わなくても、いえ、うるさく言わなくなったから、自分の人生を自分事として考え始めたんだと思います。もうその頃には、私はどうしても勉強してとは思わなくなっていましたが、息子が自分で今は勉強が必要と考えて決めてやり始めたのです。

私がしたことは、自分から予備校に行きたいと申し出てきた時に、これからどうなりたいのか、どうやっていきたいのかをコーチングで聴いていっただけでした。黙ったおかげで少しずつ信頼関係が回復してコーチングができるようになっていたのです。私が考える以上に息子はしっかり考えていました。
そこからは、自分で考えて決めたことはこんなにも頑張れるのかと目を見張るくらい勉強しました。5年間ノー勉だったわけですから、大変だっただろうと思います。本人は結果には満足していましたが、もうちょっとだけ早く始めればよかったと申しておりました。もうちょっとだけなんだ〜(笑)。

大学生活や、就活や転職した時を見ていて、うまくいかないことが起きても、この時の経験が自信となって、息子の中に、自分が頑張れば大丈夫というものが獲得されたんだな感じることがあり、嬉しく思います。ああ、これからいろんなことが起きても、この子は何とか生きていけるだろう。子育ても本当に卒業。そう思わせてもらうことができました。

子どもの人生は子どものもの。親がなんとかするのもではない。子どもが自分の人生を自分事として考え、生きていくために、それができると信じて、親は手出し口出ししないで見守る。息子が教えてくれました。
この先も息子が自分が思うようにやって、そしていつでも安心して帰りたい場所であるために、私は私で自分の人生を頑張って生き、子どもたちと報告しあえるような、そんな私で、そんな家で待っていたいと思います。

あれから10年。ハートフルコミュニケーションに出会えたことを心から感謝しながら、最後のバトンを山本さんに渡したいと思います。
このブログを書くことで、息子の子育てを通して学んだことを言語化し整理でき、長年心の隅にあった母へのモヤモヤが晴れ、書く楽しさを教えていただけました。読んでくださった方、息子や私の成長に関わってくださった全ての方に感謝しながらペンを置きます。
二年間本当にありがとうございました。

兵庫県/羽木絵里  






2023年02月06日(月) No.605 (日記)

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