ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

働くこと育てること


神奈川の秋岡です。
相手のわからないことにも思いを巡らせてわかろうとする、それでもわからないことはそのものとして受け入れることが「愛すること」、山本さんの言葉に深く頷き、そして何だか強く背中を押された気がします。これこそ、ダイバーシティの基本なのかもしれないですね。

さて、私の最後の回は、働きながら子どもを育てるということについて書いてみたいと思います。
私にとって、仕事は自分を成す非常に大事な要素であり、これまでエネルギーも時間もかなり費やしてきていると思います。そして、当然ながら子どもを育てることも、自分を成すもうひとつの大事な要素です。自分にとってこの二つは、「ワーク・ライフ・バランス」という別々のもののバランスをとるような感覚ではなく、自分の世界の中にシームレスに混在しているような感覚です。

とはいえ、最初からそんな風に自分を受け入れ、語れていたわけではありません。仕事に時間を費やすことで、子どもの成長にとって大事な時間を一緒に過ごせないのはどうなのだろう、寂しい思いをさせてないだろうか、子ども達の心の発育に悪影響が出ないだろうかと、いわゆる三歳児神話のようなものにさいなまれた時期もありました。

例えば現在中学2年生の息子と小学4年生の娘が、共にまだ熱をよくだしていた保育園時代、夜中に横で熱くなっている子どもに勘付いて目覚め、とっさに「明日の仕事をどうしよう、どんな段取りで病院に行けばいち早く仕事ができるだろう。」ということを考えました。そして、子どもの体調を心配する前に真っ先に仕事のことを考えた自分がいることに気づき、自分は母親としてなんて最低なのだろうと自己嫌悪に陥って朝まで眠れなかったこともありました。
また、現在中学2年生になった息子が小学校に入ったばかりの頃、学童の新しい人間関係でのストレスで不安定になり、仕事から帰宅すると荒だった感情を息子からぶつけられることが続き、仕事の疲れと重なってそれまでにないくらい自分の感情をぶつけてしまったことがありました。その時、自分がもっと体力と心と時間に余裕を持っていれば、息子を受け止めることができたのではないかと、仕事と自分の立ち位置に悩みました。

一方で、「あなた達のためにお母さんは仕事を諦めたんだよ」ということは、将来絶対言いたくないとも思っていました。それは、子どもに親の人生を背負わせることは、親が一番やってはいけないことではないかと、子どもを育てる前から私は感じていたからです。

そう思い始めたのは、自分自身の経験からです。
「父からのギフト」の回で書いたのですが、私は13歳で父を亡くしており、そこから家を支えていかないと子どもながらに強く感じ、同時に母が思い描く良い子でなければならないという期待を背負いながら10代を過ごしたような気がします。
そんな私が20歳くらいの時にふと思ったのです。「あれ? 私が本当にしたいことは何なのだろう」と。自分自身の思いに忠実に生きてこられたのだろうか、自分の道を歩んできたのだろうか、そしてこれから歩んでいけるだろうかと、自分に自信を無くしたことがありました。
こうしてしばらく思い悩んだ経験があることから、親は子どもに自分の人生を背負わせてはいけないということが、いつの間にか私の価値観のようになっていました。

その思いを確かにさせてくれ、自分は仕事にも精一杯打ち込んでいこうと心に決められたのは、ふたつの大きなきっかけがあります。
ひとつは、ハートフルコミュニケーションの養成講座での学びでした。親自身が幸せな自立をしているからこそ子どももより一層幸せに自立ができる、そんなメッセージを終始受け取っていた気がします。だからこそ、自分にとって大事な「働く」ということにも、しっかり向き合っていこうと改めて腹に落とすことができました。

もうひとつは、子どもからの言葉でした。
息子が小学4年生の時、仕事に加えて別のプログラムに1年間通うお話をいただいたことがありました。自分にとって明らかにプラスになり、自分自身の興味は強いけれど、参加すれば子ども達に負担をかけたり、限られた一緒にいる時間がさらに減って寂しい思いをさせたりすることが増えるかもしれないと思い、息子に「参加することについてどう思う?」と聞いてみました。すると息子は、「ママは、ママがやりたいことをやればいいんだよ。」とさらりと言ってくれたのです。

この言葉は、それまで悩んでいた私を丸ごと認めてくれているような気がしました。子どものことに関する悩みを、紛れもなく子ども自身が晴れやかに解消してくれたのです。子どもたちはちゃんと私の生き様を見て、応援してくれていると、自信にもなりました。
4年経った今でも、この言葉は私の背中を押してくれています。だからこそ、この春、私は仕事で新たなキャリアに踏み出す決断をすることができました。より自分らしい人生を送るため、やりたいことをやるための決断です。

とはいえ、たまに私が家で仕事をする日、娘が、「今日はママ、テレワークで家にいるの!?」と言って、とても嬉しそうにするところを見ると、逆に私は心が少し痛くなり、やっぱりできるなら仕事をセーブして側にいてあげる時間を長くした方がいいのかなと、また心がぐらつきそうになることもあります。
でも、恐らく娘が望んでいるのは、娘の人生を尊重して入り込んでいかない距離感の私。その距離感を仕事に打ち込むことによってうまく取っていくためにも、働くことと育てること、この二つを混然一体として自分の中に取り込み続ける人生を、楽しんで送っていこうと思っています。

ではこの辺りで、最後のバトンを安村さんに渡します。

神奈川県/秋岡美奈子



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2023年02月20日(月) No.607 (日記)

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