ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

思い込み


チャウさんがカナダでご自身と向き合い前へと進んでいる姿に、環境は違うけれど同じ海外暮らしの私も勇気をもらいました。子ども達とチャウさんの笑顔が目に浮かびます。

初めまして、タイの瀧澤です。
1回目の投稿は私が気付いた思い込みについて書きたいと思います。

私が初めてハートフルコミュニケーションの講座に参加したのは娘が8歳の時でした。
その当時、朝起きてから家を出るまで、のんびりと過ごして時間通りに支度が進まない娘に私が「早くしなさい!」とイライラを募らせ、お互いに機嫌の悪い状態で1日をスタートさせる、そんな日々が続いていました。
もちろん私は娘を笑顔で送り出したいと思っていました。ところがその思いとは裏腹に、のんびりと支度をする娘に「あと5分で出る時間だよ、早くしなさい!」「服を着替えないと間に合わないよ!」などなど、つい沢山の口出しをしていたのでした。毎朝不機嫌そうな顔でバスに乗り込む娘を見て、どうしてこんなにイライラしてしまうのだろうと後悔の念に苛まれていました。

何とか現状を変えたくて、私なりに本やインターネットで情報を集め対策を考え実行してもいました。しかしどれもうまくいかず、こんなにいろいろ試しているのにどうして早く支度ができないのだろう、とイライラしてはまた口出しをし、言い過ぎたと反省する日々でした。

私は夫の転勤に帯同し、フランスで娘を出産し、娘が3歳の時にタイに引っ越してきました。
海外での出産、育児で不安も多く、育児に関する本を読んだり情報を集めたりはしていましたが、自分の悩みは自分で解決したいタイプということもあり人に相談することはあまりありませんでした。ママ友と子どものことを話す機会はありましたが、大変だよね〜と共感しあって気分がすっきりして終わる、そういう感じで解決法を求めるものではありませんでした。

そんな時に、以前読んでいた『子どもの心のコーチング』を再度読み、ハートフルコミュニケーションのオンライン講座があることを知りました。オンラインならば、タイからでも参加できると思い、この本の著者からお話が聞けたら解決の糸口が見つかるかもと、思い切って申し込みました。

私が参加したのは全4回の講座で、子どもを幸せな自立に導くために必要なことについて学びました。参加しているのは、私と同じ主婦の方から、働きながら子育てをしているお母さん、お父さん、保育士さんや学童など子どもに関わる仕事をされている方など、様々な背景を持った方たちでした。
予想に反して参加者同士の対話や自己開示をする機会も多く、最初は自分について話すことに戸惑いましたが、否定されることなく受け入れられる優しい雰囲気に安心感を覚え、話すことにも慣れていきました。
講師と参加者同士の対話のなかで、「息子さんはなんて言っているの?」「あなたが言わなかったら娘さんはどうすると思う?」など様々な問いかけも交わされていました。

そんな対話と自己開示を繰り返すなかで、自分の考えだけを優先し、娘の意見を聞くという発想がなかったことに気付きました。また、自分は子どもを信じて見守ることができていないのではないか? という考えも浮かんできました。
口出しするのは「私が言わなければこの子は遅刻する」と思っているから、つまり、「この子は言わなければできない子」と無意識のうちに決めつけていたのではないかと思ったのです。

私は娘に「朝あなたを笑顔で見送りたいし、あなたにもハッピーな気持ちで出かけてほしいと思っている。どうしたら楽しい気分で時間通りに出られると思う?」と聞きました。すると娘から、「ママに早くと言われると嫌な気分になる。何も言わないでほしい」と言われたので、二人で「ママは何も言わない。娘は時間通りに家を出られるように準備する。」との約束を交わしました。

そして翌朝、いつも通りのんびり過ごす娘。「ほら!やっぱり私が言わないと間に合わない」と思う私。でも「何も言わない」と約束したのだからと口出しするのをぐっと我慢して見ていると、娘はラスト5分であっという間に支度を終え、時間通りに家を出てバスに乗り込んでいきました。その時の驚きと感動は今でも覚えています。あぁ、私が言わなくてもこの子はできるのだという感動、そして残り5分で支度できるのかという驚き、そして残り5分で支度するのがこの子のやり方だったのかという発見。娘が小学生になってから約2年弱、毎朝二人してイライラしていたのが嘘のようでした。

今思えば、朝の支度を娘の自主性に任せてみることは当たり前のような些細なことですが、「時間を守ることを私が娘に教えなければ」と思い込み、一人で解決しようとしていた私にはその発想が浮かびませんでした。朝の支度は娘の問題なのにそれを自分の問題として捉え、いつもの習慣どおり自分一人で解決しなければと思い込んでいたのだと思います。
人と対話をすることで視野が広がり、自己開示をすることで客観的に状況をみることができました。そして自分の中の思い込みに気付くことができました。そういう場が講座にあるということも私にとっての大きな学びでした。

この時以来、娘との関係において何か問題が発生したら、一人で考えるのではなく、娘に聞いてみる、という選択肢が私の中に加わりました。娘に聞くようになったことで、娘の考えていることも以前より知ることができ、よりコミュニケーションがとりやすくなったように感じます。
これからも、何か解決したい悩みごとに直面した時は、これは自分の思い込みかも? と一度立ち止まって自分自身と向き合いたいと思います。と同時に、他の選択肢もあるという事を忘れずに、解決法を探していきたいと思います。

それではこの辺で、鈴木さんにお繋ぎします。

タイ/瀧澤 薫  







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