ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

9歳の大冒険


こんにちは。広島の和木です。
功刀さんと同じく、我が家にも夏休み満喫中の子どもがいますが、普段より一緒にいる時間が長い分、不可侵条約の違反をしていないだろうかと、改めて考えるきっかけになりました。

今年の夏、娘は大きな冒険をしました。というのも、私と二人でパパの実家に帰省しただけなのですが、飛行機に乗り、海を越えてタイのバンコクまで。2歳まで住んでいましたが、その時の記憶はきっとなくて、彼女にとっては初めての海外のようなものです。パスポートの更新やスーツケースの購入、おみやげなど、ワクワクしながら準備を進めました。

準備もそうですし、現地に着いてからのこともたくさん計画しました。色々な計画を立てながら、私がひそかに思っていたことは、この旅は「任せて、見守り、信じる」のスタンスを貫く!ということでした。
この格言、ハートフルコーチになるための講座で先生が教えてくださったもの。子どもの自立のために、子どもに任せて、それを見守り、信じる、という姿勢を学びました。

ところで、この「信じる」は誰のことを信じると思いますか?
「『私』を信じるんです。子どもは、信じて任せても平気で裏切ってくるので、それを自分は見守り続けられると信じてください。」と言う言葉に納得しすぎて爆笑です。座右の銘と言っても過言ではないほど、大好きな言葉です。

話は戻りますが、なぜこの「任せて、見守り、信じる」のスタンスを貫こうと思ったのか。そこには、自分の力でチャレンジして、自信に繋げてほしいという思いがありました。そして私自身も、見守り続けられるよう練習したいとも思っていました。

子どもに任せて、それを見守るところまではできるんです。けれど、見守っているときに娘が失敗してしまったり、間違えたり、困った状況になってしまった時、日本ではない場所であればなおさら、自分が代わりにしようとしたり、前のめりで手伝ったりしそうで…。そうすれば、事は簡単に済みますが、娘が自分で何かにチャレンジする機会を奪ってしまいます。

前回の日記でも書きましたが、幼少期の娘には手をかけすぎていて、その時の後遺症が時々顔を出します。何かするときに「これやってもいい?」「これでいい?」と確認を取って来たり、何かしら私の顔色を伺うことがあるんです。気の小ささや恥ずかしがりな性格も相まってはいますが、「これやってもいい?」と訊かれる度、なんだかごめん…と思ってしまいます。

それを踏まえ今回の旅では、買い物、食事、交通機関など、やりたいことは自分で思うようにするよう促し、それに対してどうこう言わない、いつでもお助けする、を大事にしようと思いました。娘にもそれを伝えました。

「ねぇねぇ、タイの話なんだけどさ。お姉ちゃんいつも自分のこと全部できるから、タイでも同じようにやってみたら良いと思うんですけど、どうでしょう?」
「えぇ〜? (ニヤニヤ)」
「気になることがあったらなんでもやってみ。全部させてあげるから。分からんかったら助ける。大丈夫」
「う〜ん、いいよぉ (ニヤニヤ)」

これまでに任せることを少しずつやってきていたのと、基本楽しいことが好きな娘なので、ワクワク7割、心配3割と言ったところでしょうか。そんな顔をしながらモジモジしていました。
娘の海外でのチャレンジ(私のチャレンジ)。一体どうなるでしょうか。

旅の中でのチャレンジは大きく分けて2つありました。
ひとつは、できることを少しずつレベルアップさせること。例えば、お店や屋台での食事です。始めは本当に何も分からない、知らない娘なので、まずは私が一通りの流れのお手本になりました。

その後は、まずは何を食べるか選ぶこと、それを店員さんに伝えること、自分で受け取り、お金を払うことなど、自分でできることを増やしていき、慣れたころには「全部ひとりでやってみる?」なんて言ってみました。一人でできた時の何とも言えないはにかみ笑顔+どや顔には、笑ってしまいました。

旅の後半、ウィークエンドマーケットに行ったときのことです。
ゾウさんグッズを集めたかった彼女は、広いマーケットの中で私の前を歩き、ウロウロとお店を探します。ハートフルコーチになっていない私なら、もしかしたら「それはだめだよ」「これにしとき」「あ、そっちは行かないよ」などと言っていたかもしれません。
そしてついに欲しいものに出会ったとき、彼女がしたことに私は驚きました。娘は私ではなく店員さんに「これください」と指さしで合図したんです。その後も店員さんと何かしらジェスチャーで会話している。
その時のことを後から聞いてみたら、「ドキドキしてたけど、慣れてたからぱっと言えた」とのこと。ちょっとずつの練習が、少しは役に立ったのかなと、私にとっては旅の中でいちばん嬉しかったことかもしれません。

2つ目のチャレンジは自分の思いを伝えること。「おばあちゃんたちや友だちとタイ語で話がしたい」と練習していたものの、やはり恥ずかしさが勝ってしまい、なかなかうまくできませんでした。
「このくらいなんだから」とか「もうお母さんが言うよ」となるのは、チャレンジする安心の土台ができません。とにかく待ちました。我ながら「私、よくやった!」と思うことは、できなかったことを言うのではなく、何ができていたかを伝えたこと。そしてどこかで再チャレンジできる機会を作るようにしたことです。

タイ語で思いを伝えるのは、娘にとってハードルが激高なのは分かっていたので、ほとんど私がお手伝いしましたが、もちろんやり遂げたこともありますよ。
おみやげを買ってくれた友だちに、かなりの時間をかけて、やっとのことで一言「ありがとう」とタイ語で言えました。娘は、ふぅぅぅぅぅぅ〜っと大きなため息をついていました(笑)。

この旅を通して、彼女にとってすべてがいい経験になったと実感しました。娘が経験したことやできたことを話す目はキラキラしていましたし、行動にも現れました。
帰国してから何日か経ったあと、急に買い物に行きたいと言い出しました。「行ってもいい?」ではなく「行ってくる!」と、練習なしで初めて一人でバスに乗り、モールで買い物をして帰ってきたんです。よほどタイでの経験が楽しかったんでしょう。
そして、気が大きくなりすぎでしょうよ、苦笑いに近かったですが、安全やルールを確認したうえで「行ってらっしゃい」と送り出せた自分もまた、「任せて、見守り、信じる」ことができたと、私の自信にもつながったように思います。

私へ。
「これやってもいい?」と訊かれて「ごめん…」と思っていた自分、「ごめん」じゃなくて「どうぞ」で大丈夫!もう負い目も心配いらない。
手のかけすぎに気付いて少しずつでも任せてきたから、親子で変わってきてます。ちなみに、モールに行った次の日も颯爽とバスで出かけていきましたよ(笑)。 

最後まで読んでくださり、どうもありがとうございました。
それでは、次の藤岡さんにバトンタッチ。

広島県/和木郁 







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