ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

我が家のコーチング宣言


インドネシアの鈴木です。
子育てについて学ぶことは、とりもなおさず親が自分自身と向き合い学ぶこと。子育ての課題を親自身の課題と主体的に捉えることができたとき、初めて子どもを知ることができる、そんなことを感じた瀧澤さんの日記でした。

さて今回は、私の泣き笑い日記最終回、子どもの幸せな自立に向けた我が家のコーチング宣言について書きたいと思います。

今年12歳になる息子は8月から中学生。現在通う学校の中学部にそのまま進学するものと思いきや、息子が「このままでいいのかな?」と言い出しました。本人曰く、今のクラスで習うことはわかっていることばかりで物足りなさを感じるとのこと。
息子の通う学校は小規模でアットホーム、生徒も先生も保護者も温かでフレンドリー、みんながみんなを応援しているような居心地の良い学校です。一方で、5年生と6年生が同じクラスで授業を受け、施設などの環境面が十分とは言い難い。息子の話を聴くうちに確かに今の環境は彼の知的好奇心を満たすには不十分なのかもしれない、と思うようになりました。

そんな息子の「もう少し頑張りたい」に応えようと、私は早速、担任の先生、中学部の先生、校長先生に息子の学校での様子や、中学以降のカリキュラム、各先生のバックグラウンドなどについて教えてもらうと同時に、近隣の他の学校についても情報収集をしながら息子と一緒に学校見学に行きました。
日本からジャカルタへ引っ越した時も、親が提案したいくつかの学校に体験入学をした後、息子は迷うことなく今の学校を選んでいたので、今回も学校見学に行けば進学先はすんなり決まるもの、と思っていました。ところが、今回はどの学校を見学しても表情がさえず、「疲れた(=つまらない)」と言うのです。

我が家では、息子が小さい頃から彼に選択させるということを意識してきました。自分のニーズを一番よくわかっているのは自分という前提のもと、その選択結果については何も言わないようにしていました。
もちろん時を経て、子どものニーズは変化します。過去において正しかった選択が、今も正しいとは限りません。その時にはまた新しく選び直せばよい、そんなふうに考えていました。
ですので、今回の中学校選びについても判断の材料を渡した後は息子の判断を待つのみと思っていました。しかし今回は息子も積極的に「ココがいい!!」という学校が見つからないようなのです。結局、消去法で今の学校にそのまま進学することに決め、私は、もっと彼のニーズを満たす学校はないものかと諦めきれずにいました。

そんな折、「彼が何を選ぶかはコーチングしていくといいと思います。じっくり話し合ってください。」というアドバイスを頂きました。
息子のなかにも自我の目覚めとともに、今まで持つことのなかった将来に対する漠然とした不安が生まれてきているようです。「今、ココ」の直感だけでは選びきれなくなってきたのでしょう。
息子にとって望ましい在り方について話し合い、それを自分のものにするためにはどうすれば良いのか、課題の整理や、具体的にとるべきアクションについて本人がじっくりと考えられるようにサポートする「コーチング」が必要なのだということに気づかされました。
「任せる」とは言っても、ただ任せればいいというものではない。まだ経験も知識も浅い子どもがよりよい選択をしていくために親は子どものコーチとして必要なサポートをしていくことができるのだと思いました。

その気づきを夫とシェアし、息子には、「選択をする前にコーチングというプロセスが必要だったね」と伝えると、とても嬉しそうに「そうしてほしかったんだよ!」と抱きついてきました。
ハートフルコミュニケーションで学んだことはご飯を食べながら、お酒を飲みながら、家族とシェアし、息子もそれを聞いています。息子はコーチングを今まで自分にはなかった視点で物事を見ることに気づかせてくれるもの、悩んでいることについてのアドバイスをしてくれるものと捉えているようです。
子どもが親をその相談相手として信頼してくれていることを嬉しく思うと同時に、信頼してくれているからこそ、私が良いと考えるものを押し付けるのではなく、彼が自分にとってベストなものを自分で見つけていくためのお手伝いをしたいと強く思います。

今回の中学校選び、結果的には当初の予定通り、来年度は現在通う学校の中学部に進学することになりました。しかし、親にとっては息子のコーチとなり、彼が望む自分を生きるプロセスをサポートしていく1年間に、息子にとっては自分が何をしたいのか、そのためには何が必要なのかをじっくりと考える1年間にしよう、という我が家のコーチング宣言に繋がりました。

今までは、息子がもっと頑張りたいとか、もっと良くなりたいと思っている、という確固たる自信が私の中になかったように思います。それよりも「このままで彼は大丈夫だろうか?」という不安の方が先に立っていました。その不安を反映してか、子どもに任せる部分と、親がやるべきサポート部分の線引きを私が私の判断基準でしていたように思います。それは時に、任せたからには口出しすべからず、という大義名分のもとの放置になったり、任せたという体での親都合の関わり方になったり。
今後は、どうやって取り組むかというプロセスから息子とよく話し合い、実行段階においては、息子の人生の主人公は息子自身、という一歩引いた立場にありながらも、必要なときにはいつでもサポートできる体勢で結果まで見届けることを実践していこうと思います。

折しも、学校の授業で作った彼の詩には、
「Life is not there to follow, but for you to make.
(人生は決まったシナリオに沿って歩んでいくものではない、自分で創るためにあるものだ)」
とありました。
そのプロセスに親として関わっていくことのできる幸せを感じつつ、彼の幸せな自立に向けて私たち親も成長し続けます。

それでは、私からの最後のバトンを石垣さんへお渡しします。

インドネシア/鈴木真理恵 




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