ハートフルコーチの泣き笑い日記　～NPO法人　ハートフルコミュニケーション～

子どもたちの幸せな未来のために私ができること

石川県の石垣です。
鈴木さんの日記を読んで、私は子どもに任せるばかりで、最後まで見守るまなざしや必要なサポートが足りなかったかもしれないなぁと気づかされました。

さて、これまで私はわが子の子育てアレコレを綴ってきましたが、今日は私自身のことについて書きたいと思います。というのも、「親の背中を見て育つ」という言葉があるように、子どもの育ちを助ける上で私自身の在り方がとても大切だと感じているからです。

私は娘が高2、息子が小2の春に転職をしました。15年以上勤めた会社を辞めるのに
は大きな勇気が必要でした。
当時は、短時間勤務にも関わらず残業しなくてはならいないほどの仕事量で、時間に追われながら必死にこなす毎日。夫の帰宅は遅く、仕事を終えた後も子どものお世話、食事の支度、家事、持ち帰った仕事…と分刻みで動き回る日々。
でも、仕事が休みの週末や長期休暇には子どもたちとの時間は過ごせていたので、子育て真っ最中の今さえ乗り越えれば…という思いで、やりがいや楽しさがあったわけではない仕事でしたが、上場企業のステイタスと経済的安定のために定年まで働き続けるつもりでいました。

しかし、「親として立派でいなければならない」という思い込みは、「母親なんだから…」と育児や家事を一人で背負ったり、「自分でやった方が早いから…」と何でも自分で抱え込み、忙しい毎日に輪をかけていきました。
ひとつ物事をやり終えると「次はあれをやらなくちゃ…」と次々とタスクが頭に浮かび、「しなければいけないこと」に追われて、常に消化不良でイライラ。外食しても「これなら子どもに分けられる」とか「子どもが残したら私が食べるしかないか…」と、自分の好き嫌いで注文メニューを考えるのではなく、家族優先の生活。自分のことは完全に後回しでした。

そんななか、中学生になった娘の子育てで大きな躓きを感じてからは、フルタイムの仕事は辞めて子ども達を優先した方がいいだろうか…という考えが何度も頭をよぎりました。
でも、離婚を経験したことのある私にとって、仕事を辞めて経済的に夫に頼るというのはかなりのリスクだと感じていたので、社会的にも安定した仕事を手放す勇気がもてずに、働き続けていのです。

やがて、私は好きだった缶コーヒーをゆっくり飲む数分間ですら自分のための時間をもてなくなり、すっかり自分を見失っていました。
仕事に家事、子育て…毎日の「私がしなければならない（と勝手に思い込んでいた）」タスクに埋もれて、自分は何がしたいのか、何が好きなのかも分からなくなるほど、ホトホト疲れ果てていることにやっと気づいたのです。そして、「何とかしよう」と決心し、子どものためではなく、自分のために転職することを決めました。今の夫とならこの先もずっと一緒に居られる（離婚はないだろう）と思えたことも背中を押しました。

パート勤めになって収入は大幅に減り安定した立場ではなくなりましたが、少しずつ心に余裕がもてるようになりました。帰宅後は家でコーヒーとコンビニスイーツを堪能したり、子どもと庭の水やりやちょっとした買い物、他愛もないおしゃべりをしています。
また、ボランティアやハートフルコミュニケーションの活動など自分のやりたいことも見つかって、毎日を楽しめるようになりました。
こんなふうに自分のやりたいことができるということは、私にとって母や妻といった何かの役割に埋もれることなく、私で生きられる、つまり「私の人生を生きている」という喜びに繋がっています。

それと比例するように家の中には笑顔が増えました。
例えば、テレビを消して食べるわが家の夕飯タイム。以前は静かだったこの時間は娘と息子が我先に！と話しだし、みんなで今日あったことや失敗談などの他愛のない話で笑い合う時間になり、食後は子どもたちとカードゲームで盛り上がる日もあります。

また、「お母さんにできるなら、私（僕）にもできるはず！」「やってみようかな〜」と、子どもたちもボランティアや資格試験など新しいことにチャレンジをするようになりました。
私が日々を楽しく幸せに過ごせるようになったことが、子どもたちによい影響を与えたことは間違いなさそうです。親である私が心身共に健康になることが子どもたちの幸せにも繋がったと感じています。

現在、娘が22歳で息子は12歳。順調に成長しているからこそ、親中心の関りから友だちへとシフトしています。下の息子も中学生になり、具体的にやり方を見せたり教えるサポートはほとんどなくなりました。
そんな子どもたちにこれから私が親としてできるのは、自立して幸せに暮らす背中を見せていくこと、つまり幸せな人生を歩む未来のモデルになることだと思います。
自分でできることは自分でやり、難しい時には人に助けを求めて周りの人と上手くやっていく。時には愚痴や弱音を漏らすことがあっても、私らしく幸せに生きていく。一番身近な大人としてそんな姿を見せていくことで、大人も悪くないな、夫婦っていいものだな、人生ってなかなか楽しいものだなと感じてもらいたい。子どもたちが、歳を重ねることを喜びながら成長してくれたら嬉しいです。

今回で私の泣き笑い日記は最終回。このあたりで筆を下ろして、平沢さんへバトンをお繋ぎします。

石川県／石垣恵美　

2025年04月14日（月） No.721 (日記)