ウソに隠れた真実
★★★第25回「泣き笑い日記 オンライン・ホッとカフェ」のご案内★★★
【日時】2026年1月31日(土)午前10時〜12時
【参加費】無料
【方法】オンライン(ZOOMを使用します)
【お申込み】https://ssl.form-mailer.jp/fms/3ca85ebf872906
ホッとカフェは、日記を読んだ後の「もうちょっと聴きたい」、「もっと知りたい」を筆者と語り合いながら叶え、お互いの経験や知恵もざっくばらんに分かち合う場です。
今回取り上げる日記は、安部恵利華さんの「夫婦仲」。
ワンオペでの家事や育児に奮闘し小さなイライラを溜め込んでいた安部さんが、立ち止まり、パートナーへの気持ちを見つめ、本当に望んでいたことに気づく過程を綴っています。
ホッとカフェが「夫婦」をテーマに据えることは初めでです。
日頃感じている、夫婦にまつわるあれやこれや。このカフェで話して聞いて、自分を楽にしてみませんか。
※ 前回までのカフェの様子は、こちらでお読みいただけます。
★★★
こんにちは。東京の菅原です。
地方で下宿中の息子が、この冬二度目の帰省をしました。
たった数か月ぶりの再会ですが、更なる成長を感じ、中高生の頃を思えば本当に逞しくなったなぁと、嬉しくもあり、少し感慨深くもありました。
そんな息子の姿を見ていたら、懐かしい記憶と一緒に、過去のほろ苦い出来事もよみがえってきました。
今なら冷静に振り返れる気がして、当時のことを書いてみようと思います。
コロナの大流行で学校が一斉閉鎖になった頃、息子は中学生でした。
一人一台タブレットが配布されていたこともあり、学校のリモート授業は比較的スムーズに始まりました。
電車で30分ほどかけて通っていた英語教室も、対面からオンライン(Zoom)へ切り替わり、最初こそ戸惑ったものの、すぐに軌道に乗ったように見えていました。
毎週土曜日の夕方、息子は自分の部屋にタブレットを持ち込み、90分すると何食わぬ顔でリビングに戻ってくる。
私は疑うこともなく、ちゃんと受けていると思っていました。
ところが、ある日その英語教室から一通のメールが届きます。
「欠席が続いています。今後も欠席される場合は休会手続きをお願いします。」
……欠席?
そんなはずはない。毎週受けているはず。教室側の間違いだと、私はすぐにそう思いました。
慌ててホームページにログインし、出席状況を確認すると、そこには二か月分、きれいに並んだ「×」の印。
私は頭が真っ白になり、同時にカーッと血が上るのを感じました。
毎週土曜日の夕方、部屋で何をしていたの?
息子が私にウソをついていた?
どうして?
さまざまな感情が、一気に押し寄せてきました。
けれど、感情のまま怒鳴るのだけは避けたい。
当時すでにコーチングを学んでいた私は、”自動反応”だけはやめようと、反射的に思いました。
紙を出して、頭を整理し、聞きたいことや質問の流れを書き出し一人作戦会議を。
「学んだことを生かせる時かもしれない」そんな思いもありました。
どう切り出す?
何を聞く?
私は冷静でいられるだろうか…。
ドキドキしながらタイミングを見て息子に声をかけました。
「教室からメールが来てね。欠席が続いてるって言われたんだけど、何かの間違いだと思うんだけど…」
そう言ってパソコンの画面を開こうとした瞬間、息子の顔色が変わり、逃げるように自分の部屋へ。
少しして戻ってきた息子の目は、うっすら赤くなっていました。
正直、やりとりの細部はあまり覚えていません。
ただ、「責めたい」よりも「知りたい」「聞きたい」という思いで質問を重ね、答えを待とうとしていたことは覚えています。(できていたかは分かりませんが)
一番知りたかったのは、どうして二か月もレッスンに参加できなかったのか。
そして、参加していないのに、参加しているふりを続けていた理由も。
きっと、私には言えなかった何かがあるに違いない。
叱るよりも、息子の言葉で、息子の気持ちや考えを聞きたい。そう思っていました。
息子がZoomに入らなかった理由は、
「宿題をやっていなくて、当てられるのが怖かった」から。
一度欠席してしまうと、次からはますます入れなくなった、と言いました。
対面でも同じことをしたかと聞くと、
「それは絶対にない!」
と、大きく首を振り、まっすぐな目で否定しました。
そういえば、通学していた頃は、行き帰りにこっそり寄り道をしたり、自販機でジュースを買ったり。
彼なりの楽しみが、そこにはちゃんとあったのです。
ウソは確かについていました。
けれど、その日の会話の中に、ウソは感じられませんでした。
涙を浮かべながら話す息子の姿に、私も胸がいっぱいになりました。
話していく中で見えてきたのは、
英語教室での対面レッスンとオンラインの違い、
それから、学校のオンライン授業と、英語教室のオンラインとの違い。
英語教室では、手を挙げた子が指される。
でもオンラインでは、突然名前を呼ばれて発言しなければいけない。
画面いっぱいの顔に、強い緊張を感じていたようでした。
学校は「知っている人たち」だけど、英語教室は週一回。
仲のいい友だちがいるわけでもない。
息子は小さい頃から、人見知りで場所見知り。
まず「人」に慣れて、そこから少しずつ「場所」に慣れていく。
初めての人や場所にいつもドキドキしていた幼い息子の姿を懐かく思い出し、
ふっと力が抜けた気がしました。
「あぁ、そうだったね」
「君にはそんなところがあったね。」
なじみのある人には安心できる。
安心できない場所では、強く緊張してしまう。
息子にとっては、そのオンラインレッスンはちょっとしんどかったんだね・・。
話せてよかった。
話してくれてありがとう。
最後は、そう息子に伝えました。
その後、宿題のやり方などについても話し合い、「宿題はまずやろう」と約束をして、オンライン授業にも無事参加できるようになりました。
そして、しばらくして、対面レッスンも無事再開。
今振り返れば、反省点はたくさんあります。今なら、息子ともっとよい対話ができたと思います。
それでも、あのとき瞬間的に感情任せに怒鳴らず、一度立ち止まって話を聴こうとした自分を、少しだけ認めてもいいかなと思える今です。
この出来事をきっかけに、
息子を「正したい私」から、息子のことを「知りたい」「理解したい」私へと、視点が少しずつ変わっていきました。
嘘をつかれたことは確かにとてもショックでした。
けれど、嘘そのものを責めるよりも、その背景にある、息子の不安や思いに目を向けたことで、彼への理解が深まり、親子の関係も少しずつ変わっていったように思います。
そしてもう一つ、私にとって大きな気づきだったのが、「待つ」ということ。
考えるのに少し時間が必要な息子を、以前の私は待てていませんでした。
待てば、彼はちゃんと自分の言葉で話してくれる。
その考える時間を奪っていたのは、私だったのでした。
あの出来事は、子どもを変えようとする前に、まずは立ち止まり、話を聴くことの大切さを教えてくれた、ほろ苦い親子の思い出です。
人見知りなところが少し心配だった息子も、今や、親元を離れ地方で大学生活を送っています。
全く知り合いのいない世界に自ら飛び込み、自分で考え自分で行動できる人になってきていることに、著しい成長を感じます。
正直なところ、未だ息子に対する心配は多々ありますが、今回過去の出来事を振り返ってみて、息子を信じて任せよう!という気持ちが更に湧いてきました。
それではこのへんで次なる功刀さんへバトンをお渡しします。
東京都/菅原典子
2026年01月05日(月)
No.761
(日記)


