何気なくUNOをする夜
「ママ、UNOしよう」
夜10時。しかも明日からテスト。
以前の私なら、間違いなくこう返していました。
「え?何言ってんの?明日からテストやん!」 「もう22時やで!」「勉強したん?」
心の中で思うだけではなく、ちゃんと言葉にしていました。
親だから。心配だから。ちゃんとさせないと、と思っていたからです。
でも最近、その言葉を飲み込めるようになりました。
せいぜい30分のUNOです。
もちろん、テスト勉強も大事です。生活リズムも大事です。でも、それ以上に大事なことがあるんじゃないかと思うようになりました。
いつまで「ママ、UNOしよう」と誘ってくれるんだろう。
いつまで一緒に笑いながらカードを出してくれるんだろう。
そう考えたら、30分なんて本当に短い時間です。
子どもと過ごせる時間は、人生全体から見ると驚くほど限られています。
一緒にご飯を食べたり、ゲームをしたり、何気ない話をしたり。
永遠に続くように思える日常も、振り返ればきっとあっという間です。
だから今は思います。
テスト前の30分より、「ママ、UNOしよう」と言ってくれるこの瞬間の方が、ずっと貴重なのかもしれない、と。
その夜、UNOをしながらふと思い出したことがありました。
昔、子育てを始めた頃によく心に留めていた言葉です。
「家族にとって帰りたくなる家でありたい」
失敗しても責められない家。
疲れて帰ってきてもホッとできる家。
何かあった時に、「ただいま」と帰ってこられる家。
そんな家をつくりたいと思っていました。
でもいつの間にか私は、「帰りたくなる家」をつくることより、「ちゃんとさせること」に必死になっていました。
勉強はしたのか。宿題は終わったのか。早く寝なさい。もっと頑張りなさい。
子どものためを思って言っていたつもりでした。
でも、ハートフルコミュニケーションで学んだのは、子どもを動かす方法ではありませんでした。
子どもを信じること。
思い通りにしようとするのではなく、その子が持つ力を信じて待つこと。
その難しさと大切さでした。もし学んでいなかったら、私は今でも子どもを責め続けていたと思います。
「なんで勉強せえへんの」「なんで言うこと聞かへんの」
そんな言葉ばかりを投げかけていたかもしれません。
でも今は、少しだけ違います。
UNOをしながら笑う。くだらない話をする。そんな時間を、もったいないと思わなくなりました。
その夜、長男が何気なく歌い始めました。
♪ぼくらはまだ先の旅の途中の中で いつの間にかこの日さえも懐かしんで♪(藤井風「旅路」)
すると次男も歌い出し、気がつけば私も一緒に歌っていました。
何でもない夜です。
特別な旅行でもない。
誕生日でもない。
記念日でもない。
でも、きっと何年後かに思い出すのは、こういう夜なんだろうなと思います。
テストの点数は忘れても、夜10時にUNOをしたこと。三人で歌ったこと。
大笑いしたこと。そんな何気ない時間は、きっと心の中に残り続けます。
子育てをしていると、つい「できていないこと」に目が向きます。
でも振り返ってみると、幸せはいつも「今ここ」にありました。
子育ては、子どもを育てる時間だと思っていました。
でも今は少し違います。
子どもを育てるだけではなく、子どもと一緒に過ごす今を味わう時間なのだと思うのです。
明日の心配をしていると、見えなくなるものがあります。
テスト前のUNOも、何気なく一緒に歌った時間も。
きっと今しかありません。
だから私は今日も、この時間を味わいたいと思います。
「ママ、UNOしよう」
そんな何気ない一言が聞ける幸せをかみしめながら。
最高の人生だな、と思います。
それでは阿部さんにバトンを繋ぎます。
大阪府/中泉あゆみ
2026年06月22日(月)
No.786
(日記)


