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乳幼児期学童期思春期凸凹っ子

娘が素直に謝りません

お友達とケンカした時、悪いことをした時、怒られた時、どんな時も素直に謝ることができません。

『なんていうのかな?』と促しても言えず『ごめんなさいは?』と怒っても、なかなか言えません。 ときには、ふくれっ面で、プイッと離れて行ってしまいます。

素直に謝れない娘が、この先、小学校に入学してお友達と上手くやっていけるでしょうか?

子どもの気持ちに寄り添ってみる

我が家も同じような経験があります。

兄弟やお友達との関わりの中で「ごめんなさい」が中々言えない時が度々ありました。 本人なりに謝れないのには理由があるのかなと思い、子どもの話を聴くことを心掛けるようにしました。 「どうしたの?」と子どもの目線に合わせて声をかけると「だってお兄ちゃんがね・・・」 「あのね○○君がね・・・」と話し始めます。 「そう、それは嫌だったね」「だから悔しかったんだね」 「○○して欲しかったんだね」と子どもの気持ちを受け止めると 「僕の気持ち分かってくれた!」と安心したように見えました。

子どもの気持ちを受け止めることで、子ども自身も自分の何がいけなかったのかを反省出来るように なっていきました。 そして我が家では、すぐに謝ることが出来なくても反省しているのが分かれば良しとしました。

ゆっくりお子さんの気持ちに時間をかけて寄りそってみてはどうでしょう。

自分の体験から子どもは学びます

息子には近所にとても仲良しのお友達がいます。 お休みの日には、お互いに用事がなければ1日中遊んでいます。

こんな2人ですが、1年前は遊びの途中でケンカになり解散なんてことがよくありました。 子ども同士で遊んでいると、故意ではなく叩いてしまうなんてことがありますよね。 1年前の2人はそんな時にどうしても謝れないでいました。 そして、謝れない相手を許すこともできず、「もう帰る!!」と言い出し、母たちが 「そんなこと言わずに謝りなさい」とか「許してあげなさい」といっても全く聞かず、あえなく解散です。

しかし、少し時間が経って落ち着いてくると、また「○○くんと遊びたい~」となります。 そんなときは「そうだよね。もっと遊びたかったよね。どうすればもっと遊んでいられたんだろうね?!」と 子どもの気持ちに寄り添いつつ問うと、息子は黙ったまま、先ほどまでの自分の態度に思いを馳せている ようでした。

ケンカをしては早々に解散、その後に反省?!・・・こんなことを繰り返すうちに、2人とも少しずつ 自分が悪いときには謝れるようになってきました。 自分たちの苦い体験から、謝るべきときに謝らないと楽しい時間が続かないと学んだのでしょう。

最近では、叩いてしまったり、物を取りあってケンカをしても、「ごめんね」と「いいよ」をしてすぐに 仲直りし、長時間楽しく遊べるようになりました。

言葉ではない「ごめんなさい」の気持ち

我が家でも子どもが自分から「ごめんなさい」を言えず、いつも私が促す形で言わせていました。

ある日、公園で息子が小さな子どもとぶつかってしまい、その子が大声で泣きました。 私は慌てて息子のそば寄り「ごめんなさいは言った?」といつものように促しました。 しかし息子はうつむいたままで何も言うことができませんでした。

また別の日に公園で遊んでいると、今度は息子に勢いよく走ってきた子どもがぶつかってきました。 その子のお母さんが飛んで来て、謝ってくれましたが、その子は何も言いませんでした。 その夜、息子が布団の中で、「今日、ぶつかった子はきっとびっくりしてごめんなさいを言えなかったんだよ。 ぼくもそうだったもん」と言いました。

言葉では「ごめんなさい」が言えなくても、子どもたちの中には「ごめんなさい」の気持ちがありました。 子どもはまだまだ未熟で自分では気持ちをうまく伝えられないこともあります。 それでも言葉ではない「ごめんなさい」を他の形で表わしているのかもしれません。

謝らせることばかりに囚われず、親として子どものそんな気持ちを大切にしたいと思っています。

謝ることだけが重要ではないと気が付きました

私の娘も素直に謝れなかったので、ことあるごとに、私は謝るように教えました。 すると、ある時から娘は「あー!ごめんなさい、ごめんなさい!!」と私に対してだけ頻繁に謝るように なったのです。 娘がテレビをずっと観ていて私と目が合った時や、部屋が散らかっているのを私が見てそれに気が付いた時など、 私が何か言う前に「ママごめんなさーい!」といとも簡単に口にするのです。

それは全然心に響かない「ごめんなさい」でした。 私があまりにも謝る事を強要してしまったせいで、娘は「とにかくごめんなさいと言っておけばいいんだ」と いう心理が働いてしまったのかもしれません。 安易に謝る娘を見た時に、謝るということはとても大切で重みのある言葉だからこそ、誰かに言われてまで 無理に謝らせなくてもいいのではないかと思い直しました。

小学生になった今でも、まだ素直に謝れない時はたびたびあります。 それでも、お友達とケンカして胸がざわざわしている気持ち、悪い事をしてしまって後悔している気持ち等、 自分の心と葛藤する経験をしていく中で、しかるべき時に娘は誰に促されることなく、自分がちゃんと 謝りたいと感じた時には、きっと真摯に謝れるようになれるのではないかと信じて、今は見守っています。

大丈夫、言えなくても、感じています

私は幼稚園教諭だったときがあり、ある時から、「ごめんなさいは?」を、言わないと決めました。 子どもをみていれば、態度で気持ちが良く分かるから、言葉よりもまず、何を感じているかを大切にして 見守りました。 それは、我が子も、保育で関わる子でも同じです。 相手が泣いたり怒ったりすると、悲しそうな顔や、困った顔をします。 時には、私が代わって、相手の子に本人の気持ちを伝えることはしました。 子どもは、自分で仲直りの仕方を考えていました。それで十分だと思っていました。

私の娘が年中のときのエピソードです。 担任の先生が娘に頼まれてあやとりの毛糸を解いてくれましたが、娘が黙って受け取り、先生は嫌な気持ちに なったそうです。 「一生懸命やったのに、なんだか悲しいな」とだけ、娘に伝えたそうです。 娘は家に帰って、先生に手紙を書きたいと言いました。 そして、一生懸命、「ありがとうと言わないでごめんね」と書いて、次の日に渡しました。 先生は、とても驚いてまた手紙をくれました。

あとで、私が事の全体が分かったとき、思いました。 娘は先生を悲しませてしまった事を後悔し、それを抱えて帰り、一晩どんな気持ちだったろうかと。 彼女は手紙という手段で仲直りしましたが、それは、その場でごめんなさいを言うよりも時間のかかる ことでした。 でも、言わされて言うごめんなさいよりもずっと相手とつながることができたと思いました。 先生には娘の気持ちがきちんと届き、さらに仲良しになれたのです。 その場でごめんなさいと言わせていたら、あっけなく終わって、心に残らなかったかもしれません。

子どもがどう感じているかを観察してみよう

私たち親は、子どもには、きちんと謝れる子になってほしいと願い、「ごめんなさい」を教えています。

しかし、教えたいのは「ごめんなさい」という言葉ではありません。

その時自分がやってしまったことへの反省だったり、相手への思いやりだったり、自分の行動に責任を持つ ということです。

子どもが「ごめんなさい」を言えないからということだけで判断せずに、子どもがどう感じているかを観察し、 子どもの気持ちを理解しながら、謝ることの大切さを伝えていきましょう。