活動記録

プログラム当日の様子や概要などをハートフルコーチがお伝えします

ハートフルコーチ養成講座初級/大阪(4)


10月13日に大阪で開催されたハートフルコーチ養成講座初級4回目の前日、かつてないほどの大型台風が猛威を振るい日本に上陸しました。
当日、大阪府外から来られている受講生の方も無事会場に到着され、安心したのと同時に、受講生の方々の一回の講座に対する真剣な思いと重みも伝わってきました。

菅原はまず台風の話題にふれ、被害の心配と、早め早めに対策を打つことの大切さを話しました。それは子育ても同じである、というところからチェックインが始まりました。
チェックインでは、受講生それぞれがとても個人的な話しをします。家族構成も、子供の年齢も、悩みも違うはずの受講生みなさんが、それぞれに話す内容は深いところで繋がっていて、みなさんが自分のことのように話しに聞き入り、それに応える菅原の言葉に耳を傾けます。
私も経験がありますが、チェックインの話しを熱心に聞いているうちに、自分が始めに話そうと思っていた内容がどんどんと膨らみ、思いを熱く語っているのに気づきます。そして、子育てを学びに来ているはずなのに、子どもだけではない自分を取り巻く人間関係が、少しラクになっているのにも気づきます。子育てが「人対人」ということを考えれば納得のいくことですが、学びの中で無意識に変化している自分を知るのは驚きでもあり、楽しみでもあります。みなさんがチェックインを終えた頃にはとっくにお昼を過ぎていました。

午後からのテーマは、「子どもを幸せにするしつけ」です。
菅原が用意した興味深い実験を通して、受講生たちは客観的に自分のしつけを振り返ります。
「しつけは、まず子どもに何をやってほしいか具体的に目標を決めることから始まります」
私はこれが衝撃でした。現在、中1を筆頭に、小5、小3の三人の子どもを育てています。母親としてしつけをしてきたつもりでいましたが、目標を決めたことなどありませんでした。人の迷惑にならないようにとか、危なくないようにとか漠然としたものはありましたが、具体的な目標などなく、あれもダメこれもダメと言っていたような気がします。
子どもたちは、親の「ダメ!」を受け取って、一応は親の言うとおりに動いてくれます。これがしつけができているように思う落とし穴でした。

長男が小学生のころのことです。料理に興味を持ち始めた長男と、一緒に晩ご飯を作ることになりました。新しいレシピを覚えたいとウキウキと調理にとりかかった息子に、包丁を持てば「そんな持ち方は危ないからダメ!」火を使い始めると「あー!やけどするよ!」と、ダメダメ連発。そうしているうちに、息子の手が止まってしまいました。そこで私は「料理は段取りが大事。手を止めてはダメ!」。今思うと笑い話のようですが、当時はもちろん真剣そのもの。息子の手が止まった理由に気づくはずもなく、料理を教えてあげられて良かったぐらいに思っていました。
私が息子の手が止まった理由に気づいたのは、この「こどもを幸せにするしつけ」を学んでからでした。
学びの機会があってからまた長男と料理を一緒に作ったとき、調理を始めてしばらくは、息子は何度も「これでいい?」と聞いてきました。「思うようにやっていいよ」と言う私の顔を見て、それでも何度かは確認してきましたが、そのうちに自分で工夫しながら調理を進めていきました。
そんな息子を見守りながら、以前はあぶなっかしかったのにえらいちがいだなぁ、と思ったとき、「あ!」と気づいたのです。もしかして、私が「ダメ」っていうのをやめたからかも。
確かに、彼の成長もあったのでしょう。けれど、当時そんなに頻繁に料理をしていたわけではなく、いきなり調理技術が上がったとは考えにくいことでした。料理が出来上がった、とい事実はどちらも同じ。でも、そこへ向かうプロセスが全く違うことに気づいたのです。
当の息子は、「ダメと言われていやだった」などということはありません。気づかないうちに、親の「ダメ」に支配されて動けなくなり、自分で判断できなくなっていたのです。これに気づいたとき、学びの場があって本当によかったと思いました。

多くの親はみんな、一生懸命に子育てをしています。表現の違いはあれど、子どもには幸せになってほしいと願っていると思います。私自身も、子どもを守りたくて「ダメ!」と言っていたわけです。
子育てに正解はないのかもしれませんが、学びのなかでヒントを得ることで、自分自身が気づき、行動に反映され、それがまた新たな気づきに繋がっていくという体験は、本当に貴重なものです。
変わっていく自分自身も楽しみながら、残りの講座も参加させていただきたいと思います。

ハートフルコーチ・田中千世子 





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