ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

約束


時を経て、数年前の嫌な記憶を笑い話に変えた息子さん。それを見守るチャウさん。親が幸せな姿をみせることの大切さを改めて考えました。カナダから養成講座を受講されていたのですね。学びは自分だけでなく、周りも成長できることをシェアしていただきました。

千葉の小林です。
今回は私の過去とこれからのことを書いてみたいと思います。

先日、息子の20歳を祝う式に参加しました。
まだ息子が小さかったころは、先輩ママたちにあっという間に大人になってしまうよ、いまが一番かわいいよとよく言われました。でも、今を大切に過ごさなきゃと思いながらも、日々慌ただしく過ぎ去ったように思います。けれど、自分がいま周りの人よりも先輩ママになってみて、やはりそれは本当だったと心から思い、私の子育てを振り返ることがよくあります。もっとこうすればよかったなとか、あのときなんであんなことを言ってしまったのだろうとか後悔することのほうが多い気がしますが、今回は「できたこと」に焦点を当て、私のこれからにも生かしていきたいと思います。

小学校1年生の頃、息子が夜にうなさせていることがありました。毎日続くのでなにか学校で嫌な事があるのかなと思い、どうしたのか訊ねてみました。
なかなか重い口は開かずそのうちに泣き出してしまい、話してくれません。「泣いていたらわからないよ」「ママは怒らないよ」と伝えても、そんな言葉は信じないよと言わんばかりに口を閉ざします。私がなにかを言えば言うほど息子の心は塞いでいくように感じました。

これはなにか大きなことが起きたのかもしれない、このやり方では一向に話が進まないと思い、とにかく「聴く」ことだけをやってみようと、息子を膝の上に抱き、何も話さずに背中をさすっていました。背中をさすっている間、私は覚悟を決めていました。なにか驚くことが起こったとしても、私は最後まで聴くぞと。途中でアドバイスしたり叱ったり、絶対しないぞと。

30分も経ったでしょうか、あのね・・と話し始めたのです。「友達からね・・ずっと前に借りてたものがあってね・・DS(ゲーム)のSDカードをね・・ずっと持ったままでね・・時間が経っちゃってね・・返しにくくなっちゃったの・・」と話してくれました。
これもすらすら話してくれたわけではなく、一言一言かみしめるように話してくれました。「うんうん」と頷きながら話し終えるまで背中をさすり続け、息子が全部話し終えてから、ずっと悩んでいたんだね、つらかったよねと伝えると、息子がほっとした顔をしたのを覚えています。ママがついているから大丈夫と息子に伝え、「ごめんなさい」と一緒にお返しにいき、その夜からはぐっすり眠れるようになった息子でした。

覚悟をしていなかったら、きっと私は「借りたものはすぐに返さなきゃだめじゃないの」と叱ってしまったり、30分間背中をさすって待つことはできなかったと思います。どうしたの? なにがあったの? と質問攻めだったはずです。なぜなら、私は心配性なので待つことが苦手だから。受け止めることが私にできるのか不安だからです。
そんな私の不安が子どもに伝わり、そんなママには正直に言えないと子どもが思ってしまうのは、私の本望ではありません。本当に困ったときには子どもが相談できる存在でありたいのです。あなたの全部を受け止めるよ、私がついているから大丈夫だよと私が不安にならずにいられたら、子どもは自分の話したいタイミングで話をしてくれるんだと気付きました。

悩んでいないでさっさと返せばよかったのにとも一瞬頭をよぎりましたが、体温を感じながら話し出すのを待ち、最後まで聴くことで、日が経つにつれて言い出しにくくなっていった息子の気持ちも理解できました。そういうことってあるよね、わかるわかると心で共感できたのです。

そんなエピソードを思い出し、今度の3月に最後の宝塚受験を控える娘に対しての私の在り方をいま考えています。
「今度もしだめだったら、グレちゃうかも」と真顔で話す娘に、「そんなこと言わないでよ」と受け止めきれなかった私。そうなってしまったらどうしようと不安に陥る私。ぜったい合格すると、結果ばかりに力が入ってしまう私。
息子のエピソードを思い出し、目をつむり、私自身が静かに腹を据えていこうと思いました。なにがあっても大丈夫、グレたって私がずっとついているからという覚悟を決めようと思いました。それができたとき、きっと私は言葉に出さずとも静かに構えていられるのです。
言葉で励ますことに勝る、どっしり構えた母ちゃんになる!とここに約束したいと思います。

今回でリレーブログを卒業しますが、書くことで目の前に起こることに振り回されずに、自分を俯瞰して見られることに気付きました。私の心配性が顔を出そうとしているなと思った時には、ノートに書き留め、大丈夫!と自分に言い聞かせようと思っています。

それではこの辺で、私からの最後のタスキを田中さんにお繋ぎします。

小林由美子/千葉県 







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