ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

「ただいま」「お帰り」


埼玉の田中です。
長野さんのお母様の愛情いっぱいの宅配便の中身。おすそ分けを戴いたようでホッコリとした気持ちになりました。

夕暮れになると夕飯を作りながら家族の帰りを待つ私。3日前でした。「ただいま」の声と一緒に入ってくる気配を感じて玄関の方へ目をやります。ダイニングへ入ってきたのは長男。学ランにランニング用キャップを目深にかぶり、視線を合わせません。ドカッと腰を下ろし、沈んだ声で、
「タイムが縮まらない…今日のペース走はグループで一番最後だった。もう、陸上部やめないといけないかも…」

そこまで言うと、あとは言葉にならず、わんわん(本当にこんな感じで)と泣き始めます。
陸上部やめるは大袈裟だなと思いながら、ひとしきり泣き終った頃に夕飯を出し、前に座ります。すぐに食べ始めるところをみると食欲はあるようです。

昨秋、県駅伝メンバーに入れなかった時もギャン泣きしていた長男。その時の悔しさを忘れることなく、冬のトレーニングを続けてきましたが、ここにきてタイムが思うように縮まらず、今日の練習では他の長距離メンバーに追走もできず、正に“置いて行かれてしまった”状況に激しく落胆したのだろうと思います。

もう自分自身を信じられないと嘆く長男に、「あなたは誰と戦ってるの?自分自身を敵にまわしちゃダメよ。自分は常に自分の味方じゃないと。今までやってきたことは認めていいと思うよ。今はスランプかもしれないよ」と私。
受け止めてあげようと思う反面、内心は全くめんどくさい男だわとイラッとしている私や、一緒になって落ち込んでしまいそうで逃げたい私がいます。

長男は複雑な顔をして自室へ入ってしまいました。
昨秋と違い、今度は長いトンネルに入ったように思えました。親はどうしたらいいのだろうかと手に取った『子供のやる気のコーチング』(菅原裕子著)。偶然にも今の私にドンピシャなテーマ、《気持ちの立て直し方を教える聴き方》を見つけて何度も何度も読み返してみます。

〜子供が親に否定的な気持ちをぶつけるのは、自分のこの気持ちを何とかしたいという思いの表れです。それで助けを親に求めたのです〜

すっと私の心に入ってくるフレーズの数々。私は私の心の不安から長男の辛い気持ちを“聴いていたつもり”だったのかもしれない。彼の現状や悩みから逃げずに、丸ごと受け止めても大丈夫なんだ。彼はそれだけを求めているし、受け止めても私自身には何も問題が起こらない。解決しようとする必要はない。彼が現状と向き合い、前向きになれる時を待つとしよう。

トンネルの出口が見えたような気がしました。

翌日、私は実家の父を見舞うために福島へ。母と一緒に実家の庭にあるさまざまな花達を愛でながら私自身が癒されて、「そうだ! 長男にも」とスマホのカメラで撮って何枚も送信しました。元気になってくれるといいなと思いながら。

大泣きの夜から2日後。長男は思いのほか早くに気持ちを立て直します。
きっかけは、学食で長距離メンバーと昼ご飯を食べている時のたわいないやりとりと、そこに同じ陸上部の後輩女子から「○○先輩、学食のチュロス買ってくださーい」とお願いされたこと。

「みんないるのに、俺に対して買ってくれって言うんだぜ。はぁぁ。後輩にこんなこと言わせることができる先輩でいられるなら、俺にも存在価値があるかもなと思ったよ」とにやけながら話す長男に、あんぐり口を開けてしまった母でした。
そのまた翌日には練習最後のタイム走だから頑張ってみようと気合いを入れた1000M走で自己ベストのプレゼント。「ただいま」の声も益々明るくなったのは言うまでもありません。

気づくと、長男のLINEのプロフィール画像には福島の庭にあったバラの花が。ステータスメッセージは「大丈夫。今遅くてもきっと3年後、5年後に花が咲くから」となっていました。

長男は自分の力でトンネルを抜け出しました。抜け出しただけでなく、すぐに後輩から相談を受け、少し前に起こった自分の葛藤や陸上部を辞めたくなった気持ちを言葉にして伝えていました。
息子ながらあっぱれ!と心からの拍手を送りたくなりました。そして私自身、親の在り方を再度学ぶ機会だったなと感謝する出来事になりました。

次は森屋さんです。気持ちよく襷リレーできて、ホッとしてます。

埼玉県/田中揚子 




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