ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

出会いがくれた学びの力


兵庫の渡海です。子供との関係を作るには、こちらが素直になること。それが子供たちの素直な反応となり、親を育ててくれる。岩田さんの言葉に、私も自分がまず素直になることの大切さを感じました。

今回私は、幼少期の出会いがきっかけとなり、私の人生を照らしてくれている「学び」について、考えてみようと思います。

奈良県の田舎に育った私は、遊ぶところも少なく、多くの時間を図書館で過ごしました。
そこには、大好きな司書のお姉さんがいて、私がウロウロしていると「何探しているの?」とか、「これおすすめだよ」と私が好きそうな本を教えてくれたり。「これ読んでください」と言えばいつでもニッコリ笑顔で答えてくれました。この司書のお姉さんのおかげで、私は図書館が大好きになっていました。

そしてこの図書館で、私はたくさんの本と出会い、たくさんの感情を味わい、たくさんの自分が知らなかった物事や事実を知ります。その中の一冊が、『トミーが三歳になった日』です。
壁の外を眺める可愛らしい男の子の表紙に、美味しそうな食べ物、綺麗な花の絵やおもちゃに惹かれ手に取ったこの本は、チェコにあったテレジーン収容所に隠されていたスケッチブックに解説が足され出版された、ユダヤ人画家の本でした。

私はこの本で、ユダヤ人迫害や収容所での生活を知りました。
収容所では、絵を描くこと自体が犯罪行為。ナチスの監視の目を盗んで我が子のために秘密で描いた、三歳のバースデーケーキの絵に、胸が苦しくなりました。収容所しか知らない息子に、壁の向こうにはこんなに豊かな幸せな世界が広がっているよ、だから戦争が終わったら君にこれらの自由をたくさん経験してほしい。

ユダヤ人の画家のお父さんにとっての狂おしいほどの「望み」は、私にとっては「普通の当たり前の日常だ」ということを知り、胸が締めつけられました。普通に家族で食事をし、普通に服を着て、普通に絵を描き、子どもの誕生日を祝うこと。今ある自分の生活は当たり前じゃない。今あること、この私の日常・平和が、この画家のお父さんにとって狂おしいくらいの望みであり、今の私は幸せの中にいるんだと、この本が教えてくれました。

そんな時間があったからこそ、小学5年の時に、小さな私は大発見をします。国語の授業である人の研究記を読んだとき、「この研究者が何十年もの人生をかけて得たものを、私は教科書を『読む』という数十分の行為で自分の中に入れることができるんだ!」と。
雷に打たれたような感動でした。
本を読むということは、何通りもの人生を生きるということ。自分以外の人格になって自分以外の心や脳を手に入れること。読むことは、知ること。知ることから、学びもはじまる。それは、私が広がることだ! と、小さな私は興奮して全身が熱くなりました。
今でも、ありありと思い出せます。そして、この読む・知ることの感動が、学ぶ意欲になって、私を助けてくれています。

息子が不適応を起こした時も、自分ができること・自分に足りないことを、がむしゃらに調べ、学びました。たくさんの意見、情報、溢れる情報に流されそうになった時も、『子どもの心のコーチング』(菅原裕子 著)のシリーズを何度も読み返し、実践教室やハートフルコーチ養成講座で子育てを学び直しました。また、先輩コーチの姿から学ぶことで、私の視野が広がり、私が変化し、そして息子も変わっていきました。
「学びは、可能性を広げ、希望となる」。その時、私は強く感じました。

そして、娘が生まれ、自分との感覚の違いや、まわりの子どもたちとの違いに、不安と心配で押しつぶされそうな時も、学びが助けてくれました。彼女を正しく知ることの大切さ、彼女の特性を学び、彼女の世界を知りました。
視覚支援の方法、見通しの重要性、出来る所・強い所を伸ばす事、年齢・人権の尊重、そして自分のことは自分で決めることの大切さを学びました。この学びのおかげで私は彼女の世界を理解し受け入れ、自分を大きくすることができました。
それは彼女をこちらに無理やり合わせるのではなく、ありのままの彼女で生きる方法を知る学びでした。学ぶことで、可能性を知りました。そしてそれは真っ暗いトンネルに灯りとなって灯る、希望です。その希望が見えるから、学びを深め実践し続けています。私が学ぶことで、子どもたちはありのままの姿で輝きを放ち、私を照らしてくれます。

司書のお姉さんとの出会いがきっかけとなり、私の人生を照らしてくれる「学び」。学びが私の視野を広げ、人間として成長させてくれています。私たち家族の希望となり、人生を照らしてくれています。

出会い・行為が誰かの一部となり、育まれ、誰かを照らす。互いに、影響しあい、支え合い、照しあって、世界はできている。だから、私は真摯に学び続け、そして今自分が出来る事に精一杯取り組んで生きたいと思いました。

では、この辺で落合さんにバトンを繋ごうと思います。

兵庫県/渡海恵子 






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