ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

自分の感情に寄り添ってみたら


落合さんの日記を読みながら、私もカナダで長年暮らしている側の者として病院との関わりを振り返っていました。初期の頃、病院にいくのも恐る恐るで、ちゃんと症状を伝えられないのではないかと、辞書で調べて書き出してから病院に行っていたのを思いだしました。
おかげさまで出産を始めこれまで医療者の方々には親身にケアしていただき、今では信頼して通うことができています。相手はきっとわかると信じて、いろいろな表現で伝えようとしてくださること、本当にありがたいです。

カナダのチャウです。
保育や子どもに関わる仕事をしようとカレッジで学び始めて1年半が経ちました。学んでいくなかで、保育者として子どもをどのような対象として見るかという基本的なこどもの捉え方が、何度も繰り返しでてきます。それは、「子どもは有能で、複雑な思考ができ、好奇心旺盛で、可能性に満ちている」というフレーズです。

そして、元々このような存在である子どもたちにどんなカリキュラムや学びの環境づくりを用意できるのか、というのが私たち親や保育に関わる大人の在り方だと教わります。子どもにとっての学びは遊びの中にあるので、子どもたちが示す興味や関心をベースにそこから彼らの「面白いからもっと知りたい!」という自然な欲求を探求させてあげる環境づくりが必須と習います。

文はさらに、「子どもの家族は、有能で好奇心があり、豊富な経験をもった一人一人からなっており、保育者は、有能で、好奇心があり、豊富な経験がある」と続きます。このような見方を持った時はじめて、幼児期の子どもに、本当の意味でよい環境を用意することができるというのです。

実は、私はこれまでこの文言を読むたびに、どこか複雑な気持ちになっていました。なぜかというと、まず自分のことを有能だとは思えないこと。そして、自分が子どもの時に、そんなふうにまわりの大人に見られているようには感じていなかったことが心を締め付けたからでした。
こんな私が保育の現場にいても、子どもたちにいい影響を与えられるのだろうか?という不安が押し寄せて、勉強がはかどらない日々がありました。
でも「レジリエンスを育てる」ということ学んでから、次第にこの不安が和らいでいったのです。

レジリエンスというのは、逆境や困難に直面した時に立ち直って前に進む力のこと。もともとの性格とかではなく、できなかったことがどんどんできるようになったり、一時は落ち込んでもまわりに助けてもらったりしながらできるようになっていく経験を経て、レジリエンスは育てていくものだそうです。

子どものレジリエンスを育てるのにとても大事なのは、まわりの大切な大人からの共感だそうです。
困難や逆境の時に、できなくて「悔しい」「悲しい」「イライラする」といったネガティブな感情に寄り添って、「今そう感じているんだね」とそれを言語化してくれる大人の存在。それをただ受け止めてくれる存在。そういった経験を通して、子どもは自分の負の感情の渦に巻き込まれるのではなく、客観的に受け止める練習を繰り返していけます。

子どものレジリエンスについて学ぶことは、私にとって自分がなぜこれまで、「人生思うようにいかないことだらけだな」と感じ続けていたのかを、深く考える機会となりました。
これまでの半生で、私も数々の逆境や試練と思われる出来事に出会ってきた自負があります。英語圏でコミュニケーションに苦労してきたこと、そんな中での職探し、子育て。いや今でも上手くいかないことだらけです。
思うようにいかないと感じた時ちゃんと自分の感情に寄り添って、言語化して、ただただ受け止めるなんてしてきたかしら? するとやはり、私はただ怒りや悲しみの感情の渦に巻き込まれていただけだったのではないかと思いました。

成長途中の子どもたちが、親身に関わってくれる大人の共感を得てレジリエンスを育んでいくということが分かり、もし年齢だけ大人になった私にレジリエンスが育っていないとするなら、私自身が自分の感情に共感してレジリエンスを育てる必要があると感じました。
ハートフル養成講座ですでに学んでいた、「気づいて、止まって、見て、選ぶ」という意識的な選択が親のマインドセットとして大事、という教えがここに繋がってきました。「止まって、見て」は、そう感じている自分へ共感で、そこから「問題を解決する思考を選ぶ」ことで自分のレジリエンスを育てているのではないかと思いました。ならば、せっかく学んだことを日々自分でコツコツやればいいだけなのだと再確認しました。

自分の感情に共感するようになってからは、あれ?上手くいかないなと感じても、それに対する感情の波が穏やかになったように感じます。心が穏やかであれば、「じゃあ、どうしたら上手くいくかな」と冷静に思考しやすいように思います。

もともと固有の有能さを兼ね備えて生まれてきている私たちとは言っても、長い人生には逆境や困難はつきもの。それを上手に乗り越えて、元々の有能さや好奇心を開花させて人生を楽しく過ごしていくには、自分も子どもたちの人生においてもレジリエンスを育てることがとても重要だと痛感しています。レジリエンスを育てていくと結果として、自分にも人にも優しくなれるのではないかと感じています。

ではこの辺でタイの瀧澤さんにバトンをお渡しします。

カナダ/チャウあつよ



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