ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

心が震えると


楠野さんからバトンを受け取りました、神奈川の松下です。
楠野さんのブログを読んで、私も思春期の娘と、日常生活で起こった良いことも、辛かったことも、率直に語り合えるような関係でありたい、と改めて思いました。

娘が中学生になり、別々の行動が増えた我が家ですが、
この夏、親子一緒に、またとない体験ができました。

そこはミクロネシア連邦にあるジープ島という無人島。
一周4分、ヤシの木とコテージ2棟が建つだけの、おとぎ話にでてくるような小さな島です。
海の中、ポツンと浮かぶその島は、数年前テレビ番組で「世界絶景第一位」にも選ばれたそうです。
基本的に電気も水道もありません。もちろんwi-fiも。
男女別相部屋での宿泊客に、お世話してくれる現地スタッフさんがいるのみです。

長年、その島に泊まってみたいと切望していた娘。そのうちね、と答え続けていましたが、
この先一緒に行くチャンスもないかと思い、この夏、意を決して旅行することにしました。

出発前、実家の両親に「一体何をしに行くの?」と聞かれ、
「ボーっとしたり、自然を満喫したりとか?」と答えたものの、
私自身もよく分かっていません。
荷物は何を持っていったらいいのか。
身体拭きシート?暇つぶしの本?スマホ用のバッテリー?
勝手がわからず、たった5日間なのにすごい大荷物で出発しました。

グアムから飛行機で1時間半、そこから更にボートで40分。

本物のジープ島は、出発前の心配が嘘のように、満ち足りた世界でした。
何もないけど、全てある。
溢れんばかりの自然の美しさ、神々しさ。
世界は祝福されていて、誰もがこの美しい自然の中で生かされている。
そんなことが、すとんと胸に落ちました。

周りが一面海なので、地球が丸いこともよく分かります。
毎日、太陽が昇り、沈み、月が満ち欠け、新しい一日が与えられている。
なんて、有り難いのだろう。
その場にいた私、娘、偶然一緒に泊まったゲストの皆さんが、同じ感動を共有していました。

バケツ一杯の雨水で流すシャワーは心地よく、ハンモックに揺られて過ごす時間は時計を見る必要も感じません。
昼間は輝く透明な海でシュノーケルをしたり、島にいる犬、ヤドカリ達と遊び、
夜は降るような満天の星空の下に寝転んでいると、心も穏やかになっていきます。
初めて会ったゲストの方々とも、まるで以前からの知り合いだったかのように、娘もおしゃべりしていました。

用意していった様々なグッズは、ほとんど出番もなく。

日常生活に戻った今でも、ジープ島の景色と過ごした時間を思い浮かべるだけで優しい気持ちになります。
そして、美術、音楽、文学など、人が創造する芸術の多くは自然への賛歌だったのだと気づきました。

私はヴァイオリンを弾きますが、私が奏でる音楽も、今、この瞬間に生まれ、何より私自身が誰よりも感動しています。
集中した、いい本番のときは、舞台の空間で出演者の意識が一体になったように感じられ、
客席と繋がり合っている感覚があります。

感動するとは、すなわち、今、ここにいると実感すること。
心が震えたこの夏の体験は、一生の宝物となりそうです。
粘り強く提案してくれた、娘に感謝です。

ちなみに娘の感想は、
「太陽も、星も、月の道も、すごかった。海は、テレビで見た通り、本当にきれいだった」。
どうやら、娘も満足できたようです。

芸術の秋、スポーツの秋、食欲の秋へと、季節は移り替わりました。
長野さんはいかがお過ごしですか。

神奈川県/松下いづみ 






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