ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

信じること


奈良の長野です。

松下さんが体験した感動が響き渡る文章の中でも、グッと気持ちが引き寄せられたのが、ジープ島を表すこの言葉。
「何もないけど、全てある」
改めて、感動するってどういうことか考える機会となりました。

私は、この夏、「信じる」ということを改めて考える機会がありました。
高校2年生の娘は、朝、リビングで必要な物を揃えます。部屋に鞄を持っていってほしいな〜と言っても「うーん」と気のない返事が返ってくるだけ。鞄が自分の部屋に連れて行ってもらうことは、一年を通してほとんどありません。朝、その日の準備をリビングで行うのが日課となっています。鞄から出したものは自分の部屋に持っていっているようですが、教科書やノートなどがダイニングテーブルに置かれていることもしばしば。

夏休みが始まって1週間ほどたったある日、1枚のプリントが、ダイニングテーブルの椅子の上に置かれていることに気づきました。プリントには、夏休みの宿題と書かれています。見ると、夏休み中にオープンキャンパスに行き、感想などを書く宿題のようです。
部活の休みがあまりない中、どうするつもりなんだろう、と思った私は、娘が帰宅するのを待ち尋ねました。
すると、「部活は休めるけど、休む時は2週間前に言わなあかんねん」と、ため息交じりに答えました。
「部活が休みの日に、オープンキャンパスはやってないの?」と私が聞くと、「そうか!」と言って、スマホを取り出し調べ出しました。「ここなら休みの日に行ける!」と見せてくれた学校は進みたい分野とは違う学校です。「そこを受験したいの?」と私が聞くと、「ううん。行かない」と答える娘。部活を休むと届けるのが面倒なようです。

今はとりあえず宿題のために行って、受験の時は行きたい学校を選択するのも、彼女が選ぶことだからいいかなと思いましたが、ひとつだけ提案することにしました。「懇談の時、先生が、そろそろ行きたいと思う学校のオープンキャンパスに行った方がいいって言ってたから、しっかり考えて決めたら?」と提案すると、「うん・・・」と納得したのかしてないのか、はっきり答えずにそのやりとりは終わりました。

部活の予定表を見ると、数日後とお盆休み終盤に休みがありました。お盆休み終盤にオープンキャンパスはやってないだろうから、次の数日後の休みには行かないといけないのでは? 急がないと!

すぐにでも調べなくてはいけない時期なのにまったくその気配のない彼女を見ていると、やきもきしてきました。忙しそうだし、調べてあげようかな。
ここはどう?と何校か教えてあげたら、その中から選んで、部活を休まず希望の分野の学校のオープンキャンパスに行けるかもしれない。

そう頭に浮かんだ瞬間、『待って!』と、もう1人の自分が叫びます。
『彼女の宿題だから、彼女が調べた方がいいよ』

そう、これは私の宿題ではありません。
どんな学校を選んでも何も言わないことにしよう、そう決めました。

待とうと決めた私ですが、1日経っても、彼女の頭にオープンキャンパスという言葉が浮かんでいる気配がありません。
私は「どうなってるの?」という言葉を飲み込みました。
あくる日もそのまたあくる日も、一向にこの話題にならないことに不安が溢れてしまいました。
スマホを手に取り、検索してしまったのです。

すると、再び、もう1人の自分が登場しました。
『それでいいの?』

だめだ!
私はすぐにその画面を閉じました。
休みの前日の夜、「明日のご予定は?」と聞いてみると、
「特にない」という娘。

夏休みは残り3週間ほど。部活を休んで行くとしたら、2週間前というタイムリミットも近づいてきています。
もう何も言わない! 自分でやるはず! と決めましたが、日一日と時間は経っていきます。夏休み終了まで2週間を切り、宿題やらないつもりかな・・・そう思ったお盆合宿前日のことでした。
「ここに行きたいけど、1人じゃ嫌だからついてきて〜」と言われました。
「いつ?」と聞くと、「合宿から帰った次の日」と言って、スマホを見せてくれました。
それは、大学のホームページのオープンキャンパスの案内でした。そして、その大学は進みたいと言っている分野の学校でした。
まったく調べていないのではないかと思っていましたが、娘は目処をつけていたようでした。

宿題を間に合うように考えてたこと、自分の進みたい道を考えて決めたことに、ほっとしました。
と同時に、信頼しても大丈夫、というより、やっぱり大丈夫だったという気持ちがあったような気がします。
『彼女は自分の将来を考えて、その場しのぎではない選択をするだろう。そして宿題もやるだろう』と。
不安が膨らむ心の片隅で、任せても大丈夫!という気持ちがあったから、もう1人の自分が私に話しかけてくれたのだと思います。

電車の時間も駅に着いてからの場所もすべて調べておくよう伝えました。
いつも、こういうことも自分でやったほうが早いのでやってしまうのですが、今回は私は付いていくだけという形にしたかったのです。すぐに調べ、これで準備完了!

気持ち良く行けると思ったオープンキャンパスですが、調べた電車は、始まる時間はギリギリ。ようやく着いたと思ったら、人の気配がない・・・どうやら違う建物でやっているようで、もう一度移動。数分遅れかな?と思ったら、時間を間違ったようで、すでに開始から30分経っている。
そんなおまけはありましたが、無事に参加することができました。

息子は自分とペースが似ているので、そういうことでやってあげようとは思うことはありません。でも、最後には自分でやることは分かっていても、のんびり屋の娘を待てなくて、あれこれ言ってしまったりやってしまったりすることがありました。今回も危うく娘が困らないように先回りしてしまうところでした。
内容は難しいことではありませんでしたが、今回、改めてできるということを見て、もっと信じて大丈夫!と思えました。大丈夫かな?と思うことがあったとしても、ドーンと構えていられるかな、そう思った出来事になりました。
できるを積み重ねて成長していくのは、子どもだけじゃなく親も一緒なのかな、そう思います。不安との葛藤の中で信じる事を選択できたことで、お互いをより尊重し合える気がしています。

秋の空を眺めて、その美しさに元気をもらっているこの頃。
田中さんはどんな秋をお過ごしでしょうか。
タスキを渡しますね!

奈良県/長野 環 





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