ハートフルコーチの泣き笑い日記

日々の発見やつぶやきなど。

次男のゲームと父親の変化


東京の本藤です。
中溝さんの「相手が最善を尽くそうとしていることを認め、寄り添うこと。」という言葉にジーンと来ました。包み込むような温かい関わりが世の中にあふれるといいな、私の中のマザーテレサも育てていきたいな、と思います。

さて、今日は次男のスマホやゲームにまつわる話をしたいと思います。
次男が自分のスマホを持ち始めたのは中学1年の秋頃。それまでは「俺はガラケでいい」と話していたのですが、クラスのほぼ全員がスマホを持っていたことで「俺も欲しい」と言い出しました。
でもOKの一つ返事で買えないのがスマホです。次男は、どちらかというとゲームや好きなものに過集中になりがちで、周りが見えなくなる傾向があり、SNSリテラシーやゲームの使い方など心配なことが山ほどありました。そこで、スマホのルールを決めようと親子三人で話し合いました。
「家でスマホを使うのは1日2時間まで。夜10時以降は使わない。夜はリビングで充電する」
次男がわかった、守れる!とうなずきます。その横で、父親は新たにルールを出してきます。
「帰宅して勉強を〇時間やったらスマホを使っていい。成績が下がったら使える時間を減らす。約束を破ったら取り上げる」と、いつの間にか条件付き約束が追加されていきました。
大丈夫だろうかと心配する母親にはお構いなし、父子で調子よく決めていき、次男は笑顔でスマホを手にしました。しかし、2週間も経たずしてルールの危機がやってきたのです。

「あれ? もう時間だよ」と声をかけても次男には届きません。「約束と違うよね」と忠告ワードが増えても効き目なし。そして、実際に父親に取り上げられること数回、その度に「みんなは自由なのに、なぜうちは厳しいんだ! 俺はちゃんとやっているのになんでコントロールされるんだ?」と、父子ともにそれぞれの主張を譲りません。しまいには、次男は部活が終わっても帰宅せず、どこに行ったかもわからなくなる日々も出てきました。

それから約半年後、次男に別の問題が起きました。友達との間で納得できない出来事があり、学校に行けなくなったのです。そして、スマホ・ゲームへの依存が強くなっていきました。
そんな次男を見て父親は冷やかな態度です。スマホを渡したから悪い、学校に行かなくても約束の時間は変わらない…など、次男を否定する言葉が増え、自然と私も自分の子育てを否定されているような気持ちになっていきました。
それを見た長男は「本人が学ぶしかないんじゃない? 任せるしかないよ、アイツの人生なんだから」とひと言。
確かにこれは彼の問題です。私にできることってなんだろう…と思い始め、次男が居心地よくいられるように接していこうと心がけました。少しずつ次男の様子が穏やかになって話もできるようになったのですが、でも家の中の空気感は重い感じがします。やっぱり父親の接し方がキーかな…と感じ始めました。
これまでも、もうちょっと子どもたちへの接し方を変えてくれれば…と思う場面は多々ありましたが、父親の価値観やべき論に触れるところにエネルギーを使いたくなくて、できるだけ避けてきました。でも、今回は根本的なところにメスを入れない限り、状況はよくならない、向き合わないと・・・と思ったのです。

ここは、覚悟を決めて、「相談を持ちかける姿勢」で父親に臨むしかない、そう思って話すことにしました。
現状をすべて共有して、「子育てって何なんだろうね。次男にどうなってほしいと思う?」と父親に考えを聴き、その上で私から一緒に協力してほしいとお願いすることにしました。普段なかなか話すことのない「子育てで目指すこと」ですが、自分に自信をもって幸せに自立してくれたらいいよねーと同じ方向を見ていて安心しました。ただ、父親はやはり優しくすべきでないという価値観を強く持っていました。ここからは、まるでもう一人の子どもを育てるような感覚で接するしかありません。父親を励ましては応援する…そんな関わりをしばらく続けました。

次男への否定的な小言を言わないようにしたり、次男が関心のありそうな話題で声をかけたり、笑いの雰囲気を作ろうとしたり。努力する父親の様子が健気に感じられ、次男もそんな父親の態度の変化に気づいたようで、少しずつ心開くようなっていった気がします。
もちろん、すべて調子よくいくわけではありませんが、お互いを尊重できるようなよい空気が流れ、私も素直に感謝できるようになって、心地よくチームプレーができている嬉しさがありました。

あれから一年あまりが経ちました。高校生になった次男は今でも相変わらずゲームをしています。でも、以前とはだいぶ違い、堂々とリビングでオンラインゲームをやっていて、時折、ボイスチャットの声がうるさいのですがとても楽しそうです。
先日、次男に「ゲームのしかた、変わったよね。楽しい?」と聞いてみたら、「楽しいよ」と即答。そして、意気揚々と語り始めました。
「中学の時はゲームしても罪悪感ばっかりだった。制限されて認めてもらえてなかったし、約束を破って自己嫌悪になった。でも今は違う。自分で考えて時間もコントロールしている。否定されなくなったから自分でも否定しなくなった。自分の性格や悩みにもとことん向き合ったし、やりたいゲームをするためにどうすればいいかって一生懸命考えたからね。今は罪悪感がなくなったから楽しいんだよ」
「あとね、ゲームは意味がないことなのかとも考えたけど、ゲームって学ぶことが本当に多い。チームプレーとか戦略とか忍耐力とか。精神的にも鍛えられる」
ゲームの話が止まらない次男に、あぁ一皮むけて良かった!と心から嬉しくなりました。

そして、明るくなった次男を見て父親は、「自分自身で舵取りできるってすごいと思う。俺にはできなかったことだよ。お兄ちゃんもそうだけど、とことん悩んで考えて、子どもたちはよく頑張ってるよね」と嬉しそうです。
今回は、あらためて「子育てを通して成長できるって幸せだね」と共感し合えたことも私たちの喜びになりました。これからも色々なことは起きそうですが、家族のチームプレー力で乗り越えていきたい、そう思っています。

それでは、山田さん、タスキをお願いします。

東京都/本藤克子 









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